育児と向き合う

一人っ子育児ならではの子育て。辛さや不安に囚われず育児を楽しむ方法

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この記事を書いた人
夏野 新さん【心理カウンセラー】

虐待防止や家庭環境についての専門家。心理カウンセラーの資格を活かしながら「妊娠、出産、育児」といった女性向けのサポートをするための情報を発信しています。2児の子どもを育てながら、2019年には自身の書籍「世界が変わる! アダルトチルドレンの自己観測」を出版し、悩みを抱えるご家庭への問題解決に尽力しています。

さまざまな事情により、各家庭で子供の数は違います。ただ、子供を複数設けたいと思う人の割合は多く、一人っ子家庭は少数派であるように見受けられます。一人っ子の親御さんは「兄弟は?」「二人目は?」という何気ない言葉のプレッシャーをかけられてしまうこともありますよね。

昔は「一人っ子はわがままになる」というイメージを植え付けられることもあり、それも不安要素の一つとなっているのでは。この記事では、一人っ子育児の不安を解消し、素晴らしい一人っ子育児のメリットと育て方のポイントをお話していきます。

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一人っ子でどんなことが不安ですか?

一人っ子育児に対して、どんなことが不安だと感じていますか?悩みを明確にすることで、その対処法が見えやすくなります。

1.寂しい思いをするのではないか?

「家庭の中は賑やかで、騒がしいくらいのほうが楽しい!」という意見をよく耳にします。一人っ子の場合、家庭の中で遊び相手や話し相手がおらず、寂しい思いをするのではないかという不安を抱えてしまいがち。

確かに、兄弟がいれば勝手に遊んでくれたり、兄弟関係の中でさまざまなことを学んだりとメリットもいっぱいです。自分以外の子供がいるという安心感や、騒がしくも楽しい雰囲気というのは、確かに複数兄弟のメリットです。

2.人との関わり合いが苦手になるのでは?

家の中に、親と子という関係だけしかないと、人との交流スキルが育たないのでは?という不安も大きいものです。親は、言動を子供に合わせたり、順位を優先したりするもので、子供同士の関わり合いを学ぶ機会は確かに少ないです。これが「わがままになりやすい」と言われる原因でもあります。しかし、あくまでもこれは一部の一人っ子の傾向やイメージに過ぎません。

ただ、一人っ子を周囲から見て「羨ましい」と感じる子供がいることも事実。十分に手やお金をかけて育てられていることを羨ましいと感じた友達に、一人っ子の子供がいじめられるというケースは少なくありません。これはデータにも表れているのですが、小学校低学年くらいまでの傾向のため、生涯を通して不利になるというわけではありません。

3.将来、孤独になってしまうのでは?

「将来を見越して、兄弟を設けたほうがよいのでは?」という意見もあります。ずっとずっと先の将来、親の介護が必要になったときや病気になったときなどに、相談や協力ができる兄弟がいないのは不安……ということですね。

確かに、一人っ子の場合親になにかあったとき、全て自分で判断して様々な手配をすることになります。相談できる相手がいるかどうかは、子供の将来の自主性にかけるしかありません。しかし、だからと言って「自分の老後のために兄弟を作る」というのは、なんだか目的が違っているようにも感じられるため、無理に兄弟を作ることを推奨はできません。

一人っ子育児の不安はこうして解消しよう!

一人っ子育児への不安は、以下の様なことをしっかりと家族で話し合いましょう。例え少人数の家族でも、この先子供が自信を持って外に出られるように応援し、複数の居場所を提供するような心がけが必要です。

一人っ子はどんどん外に出して交流させる!

一人っ子は家庭の中で、対等な立場の兄弟がいません。親御さんがいくらお子さんと対等にあるよう心掛けていても、親と子の立場は違って当然ですよね。

子供同士で関り合う機会が少ないからこそ、どんどん外に出して交流させる場を作ってあげることが必要です。
例えば……

・近所の子供たちと積極的に遊ぶように促してあげる
・年齢の違う子供が集まる習い事に参加する
・イベントやサークルなどの、子供が集まる場にでかける
・親戚、従兄弟などとの関りから学ぶ

このように、兄弟関係以外にも、子供同士の関わり合いを学ぶ機会はたくさんあります。普段の幼稚園や小学校などの集団生活でも、しっかり交流の仕方や協調性を身につけてきます。それでも不安があったり、引っ込み思案な気質で心配があったりするときは、積極的に練習の場を用意してあげてほしいです。

一人っ子には、たくさんの自信をつけさせてあげる!

一人っ子が、親から離れてしっかりと自分の足で歩いて行くには、大きな自信をつけてどんどん外の世界に飛び出せるよう、可能性を伸ばすことが必要です。
一人っ子の場合、性格や環境によっては、親が心配しすぎ、過保護になりすぎる場合があります。過保護が加速すると「過干渉」という、依存のような形になりやすいもの。結果、子供の可能性をつぶしてしまうことになるのです。
親がひとりの子供に手をかけやすいぶん、心配な気持ちが先回りし「転ばぬ先の杖」になってしまいやすいという側面を覚えておきましょう。

何事も経験させ、失敗させること。その失敗から学ぶ力をつけさせることが、親が一人っ子にできることではないでしょうか。また、親が子供に依存しすぎないために、適度に自分の好きなことや、楽しめる世界を持っておくことも必要だといえます。

兄弟がいても、一人っ子でも、与えるモノは厳選しよう!

一人っ子は、ひとりにかけられるお金が、兄弟のいる家庭より多くなります。そのため、不要な物の与えすぎ、わがままなおねだりに応じやすいのも事実です。
ここは、しっかりと基準を決めるべきところ。「一人っ子だから」という考えをやめ、仮にもう一人子供がいても、同じようなモノの与え方をするかどうか、できるかどうかを常に考えていくとよいです。

子供にお金の使い方や、欲しいモノの選び方を教えること、不要なモノを買うことのリスクなどを教えることも忘れずに。経済的に余裕があっても、お金の無駄遣をしないように気をつけましょう。子供にお金をかける余裕がある場合、モノではなく経験や教育費の方に回すことをおすすめします。

一人っ子だからこそ、将来のことを考える力を育てる!

一人っ子は将来、自分だけで親のあとを看取る可能性が高いです。もちろん、人生にはどんな不運が訪れるかわかりませんし、もし兄弟がいても仲が悪ければ、協力するどころか、相続や親の介護問題等で揉めごとが起こる可能性だってあります。
ここでもやはり「一人っ子だから」という一般論の当てはめはあまり意味がないといえます。

一人っ子家庭では、将来のことや親が亡くなったあとのことを、早い段階でしっかりと話し合い、子供に覚悟を持たせておく必要があります。「子供が将来孤独になるのでは」という、まだ起こってもいない未来のことを不安に思って、悲観的になる必要はありません。
そうならないよう、家族で考えて話し合いましょう。

一人っ子育児ならではの子育て術を身につけて、楽しい子育てを。

一人っ子だから寂しい。兄弟がいるから楽しい。そんな枠組み的な考えを捨てることで、子育ての幅は広がります。どんな家庭にも足りない部分はあり、そこをどう補っていくかが大事なことです。

枠に当てはめて考えるのは、子育てだけではなくさまざまな場面で自分や家族の首を絞めることになります。一人っ子ならではの子育て術を身につけて、お子さんの成長を見届けてあげてくださいね。

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