子どもの学び・教育

不自由な家族キャンプが、子どもの主体性を育てる。

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この記事を書いた人
chi93さん【育児コラムライター】

教育大卒で小学校・中学校・高校の教員免許を持っている、元小学校教員。現在は5歳の娘と3歳の息子をもつママさんライター。子供の教育・成長・発達といった情報を発信しています。「初等教育(小学校教育)」と「音楽」を専門分野としており、子育ての悩みを抱えるお母さん達へ、実践的な育児・教育方法をご紹介しています。

アウトドアブームもあり、キャンプへ出かける家族が増えています。日常生活では経験できないような自然体験を通して、子どもは一回りも二回りも成長するでしょう。家族キャンプを行うことで、子どもの自主性や主体性を育てることができますが、そのためには接し方に注意が必要な場合もあります。
今回は、家族キャンプで育てる子どもの主体性について紹介します。

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数字では測れない「自主性」「主体性」ってなに?

子どもがもつ各教科の学力は、テストや模試などで「点数」「偏差値」として数値化されるため、客観的に判断することができます。ところが、近年特に重要視されるようになってきた「自主性」「主体性」または「コミュニケーション能力」といった力については、数字で表現することができません。「人間力」「生きる力」とも呼ばれるこれらの能力は、机に向かって教科書を広げて行う勉強では身につかないでしょう。子どもが成長して社会に出れば、机に向かう勉強だけでは生きていけません。目の前に立ちはだかる様々な問題を発見し、解決していく力が求められているのです。
家族キャンプを始めとする自然体験を行うと、子どもの「自主性」や「主体性」を育てることができると言われています。今すぐテストの成績が上がるわけではありませんが、キャンプ中に発生する問題を解決したり、自分に与えられた役割を果たしたりすることで、「生きる力」を育てることができるでしょう。
次項からは家族キャンプを行うときの注意点について紹介します。

あえて「不自由」を残したキャンプ計画を

キャンプと言っても、近年人気が高まっている「グランピング」は、全てがそろった状態でキャンプを楽しむことができます。WiFiが完備されたキャンプ場で、エアコンの効いたロッジやコテージに布団を敷いて寝る。キャンプ初心者にとっては安心感があるかもしれませんが、本来キャンプで味わうはずの「不自由」を一切感じないのは残念です。
家族キャンプを計画するときには、あえて少しの「不自由」を残すのがおすすめです。いつもより少ない食器、冷蔵庫のない環境、布団よりも寝心地の悪いシュラフなど、キャンプならではの不自由を楽しみましょう。少しでも快適に過ごせるような工夫をしたり、少ない物の中でやりくりしたりすることが、子どもの自主性や主体性を育てることにつながります。

時間を気にして急かしてはいけない

普段「早くしよう」「遅刻しちゃうよ」という言葉をよく言ってしまうママこそ、キャンプ中は時間を気にしないようにしましょう。終わりの時間を決めずに山の散策や川遊びを楽しんだり、会話を楽しみながら食事をとったりすることも家族キャンプの醍醐味です。毎日、習い事や宿題に追われて自由な時間が少ない子どもは、ふと暇な時間ができたときになにをすればいいのか分からないことがあります。そのまま大人になると、休日の過ごし方が分からない、自分で休日の予定が立てられない大人になってしまいます。たっぷりの時間の中で自由に過ごし、家族全員が肩の力を抜きましょう。

決めたルールの中では自由にやらせる

自然体験を行うにあたって、普段は禁止されているような少し危険なチャレンジをする機会があるかもしれません。「川遊び」「火起こし」「山の散策」など、せっかくたくさんチャレンジする機会があるのに、その度に「そっちは行っちゃダメ!」「それは触っちゃダメ!」と注意を受けたら、子どもは自由に楽しむことができません。かといって危険すぎるチャレンジはママも不安ですから、事前にルールを決めておくようにしましょう。「両親の目が届かない場所にはいかない」「火に直接触れてはいけない」など、事前にルールを決めておけば、子どもはそのルールの中で自由にチャレンジすることができます。少しの冒険とハラハラドキドキ体験で、子どもの生き生きした表情を引き出すことができるはずです。

「役割」を与えて、やり遂げる力を

子どもが小学校中学年~高学年以降になると、一人の戦力としてキャンプ中に役割を任せることができます。「テント設営リーダー」「カレー係」「火起こし隊」など、子どもの得意なことややってみたいことに合わせて役割を与えましょう。子どもがまだ小さい場合は、「家の玄関に置く飾り物を作って」とか「川で一番綺麗な石を探して」など、難しくないお願いをするのもおすすめです。明確な役割を与えられることで子どもも一層やる気を出し、その役割を果たそうとやり遂げる力を身につけることができます。家ならば簡単に諦めてしまう子どもでも、キャンプという非日常の中では粘り強く頑張ることができるでしょう。

家族キャンプで、失敗したりつまずいたりする経験を

以上、家族キャンプで育てる自主性や主体性について紹介しました。
現代社会においては、人に迷惑をかけることや失敗することを恐れる子どもが多いです。親も、子どもの失敗を減らそうと、先回りして道を整え、手を差し伸べる傾向にあるようです。ところが、そういった生活ばかりを続けていると、子どもの自主性や主体性は育ちません。家族キャンプならば、少しくらい失敗しても他人に迷惑をかけません。失敗を恐れずに初めてのことにも挑戦し、子どもの「生きる力」を育みましょう。

▼子供の外遊びやキャンプでの成長

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