育児と向き合う

子供の行動を変える「伸ばす叱り方」。成長に繋げる具体的な方法

育児と向き合う
この記事を書いた人
鈴木 邦明さん【帝京平成大学 講師】

教育学を専門とする大学講師。22年間小学校の教員のご経験を活かし「小学校入学時に子どもが感じる不安と小一プロブレムの関連、小学校の学級経営のあり方」等の研究をされています。また自身での書籍出版や、All Aboutの「子育て・教育ガイド」、日経DUAL、リセマム 、ベネッセたまひよ、学研ママノートなど、執筆や取材協力など多岐にわたり、教育にまつわる情報を発信しています。

「叱る」ことで子どもを伸ばすことができていますか?

単に親の感情をぶつけてしまっているだけの場合もあるかもしれません。大人が適切に子どもを叱ることができれば、子どもは伸びていきます。

しかし、逆の場合もあります。今回、ちょっとした配慮で随分と変わる子どもを伸ばす「叱り方」についてまとめてみました。

スポンサーリンク

なぜ子供を叱るのか?

改めて「なぜ叱るのか?」を考えてみると色々な発見があります。

本来、大人(親や教師など)が子どもを叱る時は、「その子どもの行動が間違っているので、それを正し、良い成長に繋げたい」という思いがあるはずです。

しかし、実際に大人が子どもを叱っている状況では、そういった感じになっていない場合も多いです。

ポイントは「子どもの行動に変容があったか?」です。大人が叱っても子どもの行動に変容が起きず、何度も同じことを言わなくてはならないような状況も起こります。

その状況は、子どもに大人の思いが伝わっていない状態ですし、子どもが納得できていない状態であることなどが多いです。子どもが行動を変容させる時は、子どもが大人の話を理解し、納得した(できた)時です。

子どもの行動に何らかの不適切なことがあった場合、それをきちんと伝えていくことはとても大切なことです。

もし子どもが不適切な行動を取ったのに、それに対し大人が何もアクションを起こさなかったとしたら、それはその行動を「容認している」という意味になります。子どもは「やっても良い」と理解します。

私が長く勤めていた小学校では、新しい学級が始まる4月にそういった教師と子どもの駆け引きが起こります。

新しいクラスが始まった時、子どもは新しい担任がどこまでのことを許してくれるのかを探ってきます。

明らかに担任の様子を伺いながら、少し悪さのようなことをします。新しい担任は、どのラインでダメだと言ってくるのかを探ってくるのです。子どもとの駆け引きのようなもので、教師の力量が試されます。

経験のある教員は、そういったことを理解した上で、「ダメなものはダメ」、「良いものは良い」ということを分かりやすく、全員の子ども達に伝えていきます。

そうやってクラスのルールのようなものが出来上がっていきます。経験年数の少ない教員のクラスが少しずつ乱れていってしまうのは、こういった部分への対応が十分でないことが原因の一つであったりします。

「しない」約束ではなく「する」約束を

次に叱る際の具体的な声かけの方法について考えてみたいと思います。

何かのトラブルがあった場合、例えば、子どもが周りの人をぶってしまった場合には、「もうぶたない」という約束をすることが多いと思います。

その後、しばらくは良いのですが、何かのきっかけでまたぶってしまうことがあります。

そういった際、大人は「またぶって・・・」「まったくもう・・」「約束を守ろうとしていたの?」などのネガティブな言葉を言い、再度「もうぶたない」という約束をさせます。

しかし、しばらくするとまた・・・ということが繰り返されることもあります。こういった状態では、自己肯定感は高まりませんし、子どものメンタルの状態も悪くなりがちです。

こういったケースにおいて、「ぶたない」ではなく、「仲良くする」という約束をすると良いです。同じようなことを言い方を変えただけです。「〇〇しない」ではなく、「〇〇する」という言い方に変えます。

そうすると、ぶっていない間は仲良くしていることになるので、褒めることができるようになります。「仲良くしていて偉いね」と褒めることができます。

子どもも大人も褒められると嬉しいので、そういった状態を維持しようとします。自己肯定感が高まることにもつながります。

先に挙げた「ぶたない」の場合、「ぶっていないので偉いね」とは少し言いにくいものです。ぶたない状態は、当たり前なので、そのことを敢えて褒めるようなことはしないことが多いです。

その点、「仲良くしていて偉いね」は、そのことについて約束をしているので、ぶっていない状態が続いていれば、毎日でも言うことができます。

そういった状態は、トラブルを抑止する効果になります。

「叱る」ことを子どもの成長につなげる

「叱る」という言葉には、叱る人の感情の乱れのようなものを感じさせます。「叱る」に似たような言葉で「指導する」というものがあります。

比較するとやはり、「叱る」状態は、何となく大人が顔を赤くして、興奮しながら子どもをまくしたてるようにしているイメージがあります。

子どもの成長を願うのであれば、顔を赤くして、興奮して子どもに話をするよりも、どうしたら子どもが成長をするのかを論理的に考えると良いと思います。

先ほど書いたようなやり方(「しない」約束ではなく「する」約束をする)をしたり、子どもの行動のどこの問題があるのかを分かりやすく伝えたりというやり方が良いでしょう。

今回、子どもの叱り方についてまとめました。大人の関わり方次第で子どもへの影響が随分と違ってきます。上手に叱ることで子どものより良い育ちにつなげていきたいものです。

▼関連記事

タイトルとURLをコピーしました