思春期の子供との接し方は「見守り」「放置」「信じる」が基本

思春期の子供との接し方は「見守り」「放置」「信じる」が基本

「小学校5年生になってから娘が私との会話を避けるようになった」「『ウザイ』『は?』などのキツイ言葉が増えてきた」「話しかけてもすぐ怒るのでどう対処したらいいのか分からない…」反抗期とは分かっていても毎日こんな状態が続いてしまうとお母さんは疲れてしまいますよね。特に真面目なお母さんほど子供に問題行動が見られると“私の育て方が良くなかったのかも…”と落ち込んでしまうこともあると思います。

ですが、反抗期とは一時のものであってずっと続くわけではありません。学校教育を学ぶ人間なら、必ず子供の成長過程を勉強する中で「第二次反抗期」と呼ばれる思春期の反抗について勉強します。それほど子供の成長としてはごく一般的なことです。

ただ、思春期のお子さんと接する際はお母さんの心構えとして知っておいたほうが良いこともいくつかあります。今回はそんな少し難しい時期に入った思春期の子供との接し方についてお話していきたいと思います。

思春期の反抗は親の育て方とは別問題

日本では「子供が問題行動を起こすと親が謝る」ということが社会的によく見受けられます。若手俳優の犯罪が発覚するとなぜか女優のお母さんが出てきて「この度は息子が多大なるご迷惑を…」と涙ながらに謝罪会見をする姿も珍しくはありません。学校でも問題行動があれば必ずと言っていいほど親御さんに連絡が入り、年配の方の中には「子供は親の背中を見て育つからねー」と平気でお話される方もいて、真面目なお母さんはますます追い込まれてしまいます。

しかし、よく聞く「子供は親の背中を見て育つ」というのは思春期の問題行動とは別の問題ではないでしょうか。確かに幼児期には親がやっていること、話していることをそっくりそのまま話すような場面は見受けられます。例えば、洗濯をするお母さんの真似をして、幼児がハンカチを椅子にかけたりするのはその典型です。

ですが、10代ともなれば、生活の中心となる人間関係は友人関係に移行しており、学校での時間の方が家庭での時間よりも圧倒的に長くなっています。
「ウザイ」「は?」などキツイ言葉を言ってくるのは友人関係の中で日常的に使われている言葉です。また、親に対する反抗的な態度も友人からの目線などを気にしている、もしくは自分が好きな友人の真似をしているだけと考えられます。

このような状況から考えても、子供の思春期の反抗を親の育て方の問題だと結びつけるのは安易なことです。思春期の反抗は「自立したい」「でもまだできない」という微妙なラインを生きる10代の子供達のイライラが親にぶつかるものであり、健全な精神の成長の証です。ですから、まずはお母さん自身が自分の育児を責めることなく、お子さんの思春期の反抗について寛容になって下さいね。

子供の言葉遣いが心配な時は

思春期は「友達付き合い」に最も悩む時期

10歳以降の子供の人間関係は先ほども述べたように友人関係に移行しているとお話しました。そしてもう一つ知っておいて欲しいのが、この頃のお子さんは友達との人間関係の良し悪しや評価によって自分の価値を見出しているということです。

「え?自分の価値を友達からの評価で決めてるの?」と戸惑うお母さんもいらっしゃると思いますが、思春期にはメタ認知(※)が発達し人からの目がとても気になる時期になります。そして、お子さんの人間関係の中心は友達ですから、どうしても評価の基準は友達が中心になってしまうのです。

しかも、近年はSNSの発展で小学校高学年になれば親のスマホなどを使って連絡を取り合う子供達も増えています。学校意外の時間でも友達同士で連絡を取り合うのは日常的なことです。特に思春期は仲間割れなども起こりやすい時期なので、自分の評価を維持してくれる友達との人間関係を壊さないように子供達も必死です。「友達のメッセージに返信しないと」「グループでの会話には参加しなくちゃ」と一日のほとんどを友達との交流に費やしています。

さらに思春期頃になるとなんとなく親の存在を照れくさいと思うようになります。そして「友達からバカにされたら嫌だ」という思いから余計にお母さんに冷たい態度を取るようになります。
「うちの子何を考えているのかさっぱり分からない…」「すぐに怒るしどうしたいのやら…」という悩みを抱えているお母さんも多いと思います。ですが、お子さんはお子さんなりに色々と大変な友人関係を生きています。そして、それを乗り越えるためにお母さんに冷たくしているという背景も分かってあげて欲しいのです。

忘れないで頂きたいのは、お子さんも「お母さんは冷たくしても私のことを見捨てたりしない」という信頼感から冷たい態度をとっているということです。ですから、ここはお母さんが大人になって“友達に当たれないから私に甘えてるのね”と察してあげて下さい。

※メタ認知…自分のことについて周りの状況から客観的に分析する能力のこと

「子供扱いしない」が最重要。思春期の子供の接し方の基本

では、思春期に入った子供とは一体どのように接するのが良いのでしょうか?基本的に大切なのは「子供扱いをしない」ことです。お子さんを一人の人間として尊敬・信頼をすることが思春期の親子関係を構築する大切なポイントとなります。具体的な内容を7つご紹介します。

子供が返事をしてくれなくなる「尋問・命令」は堪える

思春期の子供との関係を良好に保ちたいのなら気をつけなければいけないことがあります。それはお子さんを尋問・命令するような行為はしないことです。具体的には下記のような内容です。

  1. 尋問…相手に答えを要求するような話の振り方
  2. 命令…相手に文句を言って行動を制限するような言葉

先ほどお話したように、思春期というのは「自立したい」という気持ちが高まる時期ですから、誰かに指示をされたり干渉されたりすることを極度に嫌います。単刀直入に言えば、自分のことは自分でやりたい時期なのです。
親にとって子供は一生大切な子供なので、学校での生活が気になる気持ちはよく分かります。しかし、このような状況を続けてしまうと、お子さんは自分を干渉してくるお母さんと会話するのが嫌になって無視するようになります。
ですので、お子さんを「尋問・命令」するような言葉がけは思春期に入ったなと思ったらグッと堪えて下さい。

「私はこうだったのに」は絶対に言わない

お母さん自身と子供を比べる行為もNGです。特に子供の頃、成績が優秀だったお母さんや家の躾が厳しかったお母さんは「私はこうだったのに」と子供に言ってしまいがちですので注意して下さい。

例えどんなに顔が似ていようとも、醸し出す雰囲気が似ていようとも、お子さんは持っている能力や個性、良い点、欠点全てが全く別の人間です。ですから、間違っても「私はこうだったのに…」とお母さん自身と比べてはいけません。
当たり前のことなのですが、案外このことをお母さんは忘れがちです。というのも、お母さんというのは十月十日の間、自分の子供をお腹の中で育て、辛い陣痛にも耐え抜き、大切なわが子をこの世に授けます。ですから、どこか子供を自分の分身のように捉えてしまいがちで「私みたいなったらいけないから!」という心配から先回りをして子育てをしようとしてしまうところがあります。

しかし、子供の人格を尊敬し大切にしていかなければ、お子さんはお母さんのことを自分の人格を制御しようとする人間だと認識して避けるようになります。お子さんを制御する行為は親子の信頼関係が大きく崩しますので、どんなにお子さんの欠点が自分と似ていて気になってもこの言葉だけは言わないようにしましょう。

子供扱いは厳禁。一人の大人として接する

思春期の子供は自分のことを子ども扱いされると、自分の気持ちを踏みにじられているような気持ちになります。例えば、家から帰ってきた子供との会話で

子:「ちょっと遊びに行ってくるね」
母:「洗濯物入れるの伝って。宿題はどうするの?」
子:「は?何で手伝わなきゃいけないわけ?放っといてよ」

というパターンになってしまっていないでしょうか?この会話では子供は「遊びに行きたい」「宿題は後からしようかな」という気持ちを頭ごなしに否定されたような気持ちになってしまいます。相手の気持ちを尊重せず、子供扱いすることは最も思春期の子供が嫌がる行為です。
ですから、思春期のお子さんと話すときに大切なのは、一人の大人として接するように心がけることです。イメージとしては仲の良い友達と会話をする感覚が良いと思います。例えばさっきの会話ならば

子:「ちょっと遊びに行ってくるね」
母:「ごめん、遊びに行きたいところ悪いんだけど、洗濯物入れるの手伝ってくれる?今日洗濯物がすごく多くって大変でさ…」
子:「え、しょうがないな~」

このような会話をするようにすれば “遊びに行きたいという気持ちは分かってくれていて、それでもお願いしている”という感覚は持てるので頭ごなしに否定されたとはお子さんは思いません。
少し回りくどいなぁと思われるかもしれませんが、このちょっとした子供の意思を汲むか汲まないかが思春期の親子関係では大きく影響します。相手を子供扱いせずに一人の人間として尊重するような言葉がけを意識して下さい。お子さんは今、一人の人間として認められたいという欲求がとても強いので、友達と会話をする時のようにきちんと理由を述べ、面倒くさがらずに言葉を尽くすようにして下さい。

自分のことは自分で管理させ、基本的には放置

子供が明日テストだということを知っていると、お母さんはついつい子供を勉強させようとしてしまいます。「明日テストなんでしょ?」「準備はできてるの?」と小言を言ってしまいがちです。ですが、そんな言葉は思春期の子供からすれば“は?そんなの分かってるし”という感覚になりますし、気持ちを逆立てるだけです。

ですから、例えお母さんはお子さんの予定が分かっていて気になっても、自分のことは自分で管理させるようにしましょう。大切な日だと分かっていて遊びに行くのなら、それもお子さん自身の選択です。「まぁ自分の成績だから好きにしなさい。でも後で泣きついてもお母さんは知らないよ」と宣言し基本的には放っておいて下さい。習い事の宿題や塾の課題についてもそのスタンスで問題ありません。 「でも、そんなに宿題や練習を放棄したら遅れが出るんじゃ…」と心配されると思います。しかし、人間と言うのは「やらされている」という感覚があるうちは何事も本腰を入れて取り組まないものです。

むしろ、自分自身がテストで悪い点数を取るのが恥ずかしいと感じることや、習い事が人よりできなくて悔しいと思う方がよっぽど大切です。内側から湧き上がる理由がなければどんなに技能を積み上げたところで成長はいつか止まってしまいます。親がお尻を叩いてやらせたからといって子供の能力が伸びないのです。
逆に親の命令・指示で動かしてばかりいると子供は自分自身で何も選択できなくなり、誰かの指示待ちでしか取り組まなくなります。指示待ちで育った人間は自分のことを自分で決めることができません。そして最後は責任を人に押し付けて「私が決めたわけじゃないし…」と投げ出してしまう人間になるのです。

思春期の「自立したい」という気持ちを尊重して、子供自身で自分の行動を決める管理することは、大人に成長するために大切な経験です。その機会を決して奪うことがないように、お母さんは子供自身に行動の選択をさせ「忍」の姿勢で見守りましょう。

どうしても叱るなら「気持ち」と「行為」を分離

基本的には放置でいいお母さんですが、時には怒らなくてはいけない時もあるでしょう。例えば、万引き、窃盗などの犯罪行為は社会的に許される行為ではありませんし、連絡の一つもなく外泊などしてきた場合は女の子なら特に心配でしょう。
こうした「人や社会に迷惑をかける行為」「犯罪に巻き込まれる心配のある行為」は叱っても構わないと思いますが、一つだけ注意して頂きたい点があります。それは「気持ち」と「行為」を分離して叱るということです。

【犯罪行為の例】
気持ち⇒「仲間内の流れでやってしまったのかもしれない」
行為⇒「犯罪行為はあなたが成人していたら刑務所に入ってしまう」

【外泊の例】
気持ち⇒「楽しくて帰りたくない時もあるのは分かる」
行為⇒「性犯罪に巻き込まれたら一生体に傷が残るし、せめてどこにいるかは連絡して欲しい」

このように「気持ち」と「行為」を分離して叱ると子供に受け入れてもらいやすくなります。
たとえ「うるさいよ!」とその場でつっぱねても、思春期の子供は自分の気持ちを分かってくれる人の言葉はないがしろにはしないものです。ですから、どうしても叱る時は子供の気持ちを汲んで叱るようにして下さい。

悩み事を打ち明けやすくするには「雑談」が大切

先に述べたメタ認知(※)という能力が発展してくると色んな意味で自分のことを過剰に気にするようになります。特に自分に自信のない子供達は「どうせ私なんて…」と自分を諦めてしまったり、近い友人の評価が高いと自分自身の良い点を見失ってしまったりこともあります。
こんな時お母さんがするべきことは何かというと、それは悩みを打ち明け易い雰囲気作りをすることです。といっても「どうしたの?」と尋問するということではありません。子供に話題を求めるのではなく、自分から雑談をすることです。

雑談というのは質問ではなく、取り留めのない話です。近所のお母さん達や自分の友達とするような他愛もない話をして下さい。具体的には「このドラマの犯人誰だと思う?」「新しいニット買おうかと思うんだけどさ、青色って似合うかな?」こんな感じで大丈夫です。
「学校の話題じゃなくていいの?」と思われるかと思うのですが、お子さんは1日のほとんどを学校と友達の中で過ごし、毎日同じような人間関係の中で評価を受けています。時にはそれによって悩んでいることもあるのです。
ですから、お子さんが気分転換できるように、他愛もない話をしてあげる方がいいのです。そうしたリラックスした雰囲気を作ることによって、お子さんは“お母さんなら何を打ち明けてもいいかな”という気持ちになっていくのです。

そして、もう一つ大切な点はお子さんの良い面が見つかった場合はさりげなくその点を伝えてあげることです。「あなたって推理ドラマの犯人見つけるの上手いわね!」「あなたって人に似合う服装を見つけるセンスあるねー」こういったことでいいのでお子さんの強みを伝えてあげて下さい。強みが一つ見つかるだけでも、自信をなくしているお子さんは自分を肯定的に捉えられるようになりますし“意外と私いいところがあるかも”と自分自身を好きになるきっかけにもなります。落ち込みやすい思春期にはこうしたちょっとしたことで心の傷が癒されるものですから、ぜひ強みを教えてあげて下さい。

過剰な期待を捨て「あなたはそのままでいい」と伝える

子供が大きくなるにつれてお母さんは子供への期待も大きくなりがちです。「もっと良い成績をとって」「もっと難しい曲が弾けるようになって」「もっと部活のレギュラーに入れるよう努力して」といつの間にか理想が高くなってしまっていませんか?習い事や塾の費用はかさみますし、送り迎えもしていらっしゃるので色々言いたくなる気持ちは分かります。
しかし、お子さんは自分自身のことはもうメタ認知ができていて、自分の実力を分かり始めているのでお母さんの過剰な期待を口に出してはいけません。
それよりも大切なのは、子供のことをありのまま受け止めてあげることです。

10代の悩みで最も大きなものの一つが「進路の選択」です。自分がどんな能力があって、どんな仕事に活かしたいのか、自分自身のことが分からず多くの学生がその壁にぶつかります。そんな時、身近にいるお母さんが「あなたにはこんな能力があるよ」「そのままのあなたでも十分素晴らしいんだよ」とメッセージを送り続けることで、子供は自分の能力に気付き、自分の選択に自信を持っていくことができます。

思春期のデリケートな時期にお母さんに求められるのは、悩み苦しんでもがいているお子さんを丸ごとドンッと受け止めることなのです。
先にも述べたように、お子さんはあなたの分身でも所有物でもありません。過剰な期待はお子さんの可能性を潰してしまうだけです。思春期という時期は大人への一歩を踏み出し始めているのですから、その背中を信じ、励まし、見守ってあげることが思春期の子供を持つお母さんの一番の役割です。

反抗しても愛情は忘れず覚えているもの、信じてそっと見守って

以前読んだ書籍の中に、親の役割についてたった一言で述べた言葉がありました。「親にできることというのはそんなに多くはない。親にできることというのは子供の選択を信じ応援してあげることだけ」という言葉です。思春期の子供のためにお母さんができることというのはまさにこの言葉に集約されているのではないでしょうか。
今まで手がかかっていたお子さんの手を離すのはとても勇気がいることだと思いますが、早めに手を離してあげればお母さんの気持ちを汲み取って大人になって戻ってくるのも早くなります。どんなに反抗していようとも、お母さんが子供の味方でいれば、子供は必ず愛情を覚えているものです。

私の家はとても厳しい家だったのですが、その親に反抗して私が家を出て上京する時、東京行きの夜行バスが出発した後、母は車の中で泣き崩れたそうです。その時、私は私以上に私の身を案じて厳しくしてくれていた母の愛情の深さを知りました。そして、親元を離れて東京で毎晩コンビ二弁当を食べながら母に作ってもらったご飯がどれほど美味しいものかを思い知りました。そういった一度反抗した経緯があるから私は今では母に心から感謝できるようになっています。
何だか湿っぽい話になってしまいましたが、子供というのは親が思っている以上に親の愛情を覚えているものです。あまりその時のキツイ言葉に傷つかずに長い目で待っていてあげてもらいたいと思います。

大切なお子さんのことですから、色々と気になるのは無理もないことです。ですが、お子さんの人生がより良いものになるように、お母さんは今まで手を出していた部分を少しずつお子さんに任せていって下さい。お母さんとお子さんがお互いに自立した関係になればいつか「あの時は大変だったよね」と笑える日がきますので、ぜひ、お子さんを信じ見守ってあげて下さいね。