あなたは「自分ってどんな人間だろう?」「自分の考えは正しいのだろうか?」という疑問を持つことはありませんか。
自分自身のことは、自分がいちばん知っているようで、実は一番知らない……などとも、よく言われますよね。人間は、思い込みや無意識で言動してしまうことが多く、自分でも気がつかないうちに考え方のクセやパターンを繰り返していることがあります。
自分を理解することは、子育て・仕事・夫婦関係・人間関係など、さまざまな場面でとても大切です。子育てのみならず、自分の人生全体を通して活かすことができる「自分を理解する方法」をお伝えしていきます。
自分を理解する第一歩は「怒り」の感情に注目すること
子育て中にもっとも大きな悩みの種になるのは「イライラ」や「怒り」といった感情ではないでしょうか。この、イライラや怒りというのは「第二感情」といわれています。第二ということは、その前に「第一」の感情があるということ。怒りは表面的な感情に過ぎず、その裏には根本的な思いや気持ちが隠されているのです。
第一感情と、第二感情
子供に対してイライラする、感情的に怒ってしまうという場合は、その後ろに、別の「第一感情」が隠れています。
例えば、子供が宿題をしないことで親がイライラしたり、怒ったりする場面を思い出してみてください。おそらく「子供が学校で困るのではないか」「子供に怠けグセがつくと将来困るかもしれない」などの不安や、焦りが隠れています。
自分がどんな場面でイライラしたり、怒ったりするのかを振り返ってみましょう。すると、今まで自分でも気がつかなかった不安、焦り、寂しさといった第一感情が見えてきます。その第一感情は子供とは関係ない「自分自身の感情」であることに気づきましょう。
第一感情には、自分を理解するためのヒントが詰まっている
第一感情は、不安・焦り・寂しさといった、ネガティブな感情です。これがあなたの中にある理由は何でしょうか?
例えば、自分自身が幼いころから「早くしなさい」「ちゃんとしなさい」「完璧にやりなさい」と躾けられてきた経験からくるものかもしれません。あるいは「子供の成長は親のしつけがすべてだ」「子供はこうあるべきだ」という固定観念かもしれませんね。
そこからわかるものがどんなものでも、自分自身の不安や焦りなどが原因となっているでしょう。子供に対して抱くネガティブな感情は「自分自身に対して抱いている感情である」ともいわれます。自分の考えや感情に偏りがないかなど、振り返って考えてみましょう。
自分を理解するために、すぐ実践できること
自分を理解したいと思うのは、悩みや困りごとがあるからです。その悩みを解決するためには、起こったことや感情を自分の中に溜めずに表現していくことが改善の第一歩となります。
相談やカウンセリング
誰かに自分の内面について話すことは、とても大事です。例えば、身近な人に話を聞いてもらうことができればいいですね。特に、子育ての悩みを夫婦で共有し合えるのは理想的です。
カウンセリングやセラピーを受ける人も、近年増えています。カウンセリングは精神疾患がある人だけに必要なものではありません。あなたの身に起こっているできごとや、あなたの考え方を、専門知識を持ったカウンセラーが「まとめてくれる」という感覚です。頭の中の散り散りばらばらになっている思考のひとつひとつを、客観的に見て並べ替えたり、繋げたりしてくれるイメージをもってみましょう。もちろん、これはカウンセラーだけでなく、家族や友人がその役目を担ってくれることもあります。
紙に書く
悩みごとや自分の内面については、紙に書いて整理し、可視化することが実はとても効果的です。誰にも話ができない人、カウンセリングに行く気になれない人、カウンセリングに行ける状況が整わない人など、さまざまな事情があるでしょう。
そんなときに、誰もが簡単に、今すぐできる方法は「紙に書く」ということなのです。これは、心理療法でも用いられる方法で、私自身も実践してきました。紙に書いて感情を吐き出すだけでもスッキリしますし、書いたものを繰り返し読むことで新たな発見や気づきを得られます。
自分を理解するには、過去のできごととの関係と向き合う
あなたが今抱えている、ネガティブな感情には必ず理由があります。生まれつき、心配性な人や臆病になりやすい人もいます。ただ、思考は生まれ持ったものだけでできているわけではないため、自分がこれまで置かれてきた環境や対人関係についても振り返る必要があります。
自分の過去の人生を振り返り、違和感を覚えたことや憤りを感じたことなどを関連付けて考えていきましょう。また、実際に「トラウマ」を抱えている自覚のある人は、そのトラウマと向き合うことも必要ですね。
自分を理解することは「楽に生きるための訓練」
自分を理解するのはなかなか難しいもので「ここまでやったら理解できる」という基準がありません。自分のことはもうだいたいわかったと思っても、それが正解かどうかは誰にもわからないのです。しかし「自分を理解したい」という自意識に目が向く人は、伸びしろがある人ですので「訓練」だと思ってやっていきましょう。
その都度自分の感情を無視せずに「なぜこうなってしまうのだろう?」という自問自答を繰り返すことが大切です。自問自答ばかりではつらくなるため、ときどき誰かに話を聞いてもらうことや、カウンセラーやセラピストの力を借りることも視野に入れてみてくださいね。