育児と向き合う

「子供を怒鳴ってしまう」育児を苦しめる原因から、逃げる勇気が母親には必要。

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この記事を書いた人
いしみほ さん【育児コラムライター】

社会福祉学を専攻し、保育士・幼稚園教諭の資格を持つ育児コラムライター。社会福祉学部では「家庭環境ごとの子どもへの支援の必要性」や「北欧各国の福祉と教育」を学んだ知見を活かしコラムを執筆。2人のお子さんを育てながら、執筆の他にハンドメイド作家(タティングレース、イヤリングなど)としても活動中。

「一生懸命作ったご飯を残されて怒鳴ってしまった」
「おもちゃを全く片付けてくれなくて怒ってしまった」
「いつまでも眠らずにグズる子供にイライラをぶつけてしまった」

やりたい家事で残っている時、出先で急いでいる時なんかに限って子供が泣き出してしまうとお母さんは「もう!いい加減にして!」と言いたくなりますよね。

でも、溜まりに溜まったイライラが爆発して子供に怒鳴ってしまった後のあの悲しい感覚…私も子供を怒鳴った後に何度寝顔を見て泣いて謝ったか分かりません。

「怒鳴ってはいけないと分かっているけど怒鳴ってしまう」というのはお母さんにとっては一番大きな悩みの一つだと思います。今回は子供に怒鳴ってしまう時、お母さんに必要なことをお話していきたいと思います。

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子供を怒鳴ってしまうのはあなたが「真剣に育児をしている証拠」

そもそも大好きな子供を怒鳴ってしまうのはどうしてなのでしょうか?“私の人格がおかしいの?” “私に母性本能がないから…” “私の要領が悪いから…”こんな言葉が頭を巡っていませんか?お子さんを怒鳴ってしまうのは「母親の自分が悪いからだ」と思っていることでしょう。

ですが、よく考えてみて下さい。児童館や公園で出会った他所のお子さんにそこまで怒るようなことがあるでしょうか。答えはNOですよね。

ちょっとワガママなことを言われてイラっとするようなことがあっても“私の子供じゃないしそこまで言わなくてもいいかな”と思うことが多いですよね。

なぜなら、その子のために野菜を小さめに切って食べやすいご飯を作っているわけでもないし、掃除や洗濯の合間に手を止めてブロックで遊んであげるようなこともないからです。お母さんはそうやって毎日お子さんにちゃんと寄り添っているのです。

【子供を怒鳴ってしまう原因1】周りの人から褒めてもらえない、報酬もない、でも毎日頑張っている

お金がもらえるわけでもない、旦那さんがものすごく賞賛してくれるわけでもない、実の父母や義両親が褒めてくれるわけでもない…でもお母さんは毎日お子さんと真剣に向き合っています。

毎日のことだから普通だと感じているかもしれません。お母さんだから当たり前だと思っているかもしれません。でも本当にお子さんがどうでもいいのなら、怒鳴ることなんて絶対にありません。

お子さんが可愛いから、誰よりも大切だから、そしてそのお子さんのために人一倍頑張って育てているからイライラして、思い通りにいかなくなると怒鳴りたくなってしまうのです。

だから「自分が悪いんだ」「駄目な母親なんだ」と責めないで下さい。お母さんはただ真剣に育児をしているからイライラしてしまうだけで、決して母親失格なんかじゃありません。

【子供を怒鳴ってしまう原因2】やることが多く時間に追われている

子育てをしていると自分の時間は全くないのに1日がすぐに終わっていきませんか?お着替えをさせて、朝ごはんを作って、掃除して、洗濯して、公園に連れて行って、ご飯を作って、そして気付いたら「あぁ、もう今日一日終わる」というのがお母さんの日常ですよね。

お着替えをさせる時間には旦那さんは仕事に行っていませんし、ご飯だってできあいのものを買ってくるのは小さい子供には塩分が強く添加物も気になります。

外にも連れて行ってあげないと夜も寝てくれないし…という具合に日々お母さんがすることは本当に多いものです。

これに加えて、子供が小さいうちは毎月のようにある予防接種や数ヶ月に一度定期健診にも連れて行きます。突然子供が体調を崩したりすると色んなことを後回しにして病院に連れて行ったり、風邪薬を飲ませたりするのもお母さんの仕事ではないでしょうか?

こうして客観的に見てみても、子育ては本当に大変な量のことを毎日こなしています。イレギュラーなことばかり、上手くいかないことばかりの子育ての中でこれだけ大変なことを毎日こなしていれば、イライラするようなことがあっても無理ありません。

育児は大変なことが7割、楽しいことは3割の子育て

私はまだ子供のいない友人に「子育てって楽しい?」と聞かれることがあるのですが「大変なことが7割で楽しいことが3割くらいかな」と答えています。正直、大変なことが8.5割くらい占めていることもあります。

でも、子供が時々見せてくれる成長した姿や笑顔のエネルギーがとても大きいから毎日なんとかなっているという感覚です。

子供を怒鳴ってしまった後に「私は母親失格かもしれない」と思っている方もいるかもしれません。でも、目の前のお子さんは間違いなく、産まれた時よりも大きくなっています。

お子さんが大きくなったのは、ご飯を残されてもめげずにご飯を作って、公園で豪快に汚した服を洗濯して、手を汚しながらオムツを替えてくれるお母さんがいたからです。

お子さんはその苦労を話してくれなくても誰よりも分かっています。だから、お母さんに怒鳴られてもお母さんのことが大好きなのです。

上手くいかないことがあっても、今目の前でお子さんが元気にしてくれていればお母さんは自分のことをそんなに責めなくてもいいのではないでしょうか。

怒鳴ってしまうお母さんに必要なことは「逃げる勇気」

とはいっても、お子さんに怒鳴ってしまうというのは本当に辛いことですよね。

でも、お母さんが一生懸命に育児や家事をしているとつい自分のことを後回しにしてしまいます。自分の時間がないというのは思っている以上にストレスが溜まるものですので、このままではイライラが解消されません。

ですから、お母さんは心の余裕を取り戻すとめに「逃げる」という行動が必要です。

【子供を怒鳴らないための対策1】とにかく「休む」

「逃げる」というのはつまり「休む」ということです。“そんなこと言ったって休む暇もないから困ってるのに…”というお母さんもいらっしゃると思います。

でも、子供に怒鳴ることが続いてしまう時、イライラして心に余裕がないなと感じた時はお母さん側が限界を感じているということです。ですから、意識的に「休む」ことが必要なのです。
どう休んでいいか分からないという時は下記を参考にしてみて下さい。

  1. ・ご飯を作らない(好きなものを食べに行く、惣菜パンで済ますなど)
  2. ・自分の時間を持つ(本を読む、ハンドメイドを楽しむ、花を生けるなど)
  3. ・自分にご褒美を買う(我慢している服、アクセサリー、化粧品など)
  4. ・人に預ける(旦那さん、ご両親、リフレッシュ保育も活用)

【子供を怒鳴らないための対策2】 洗わない、家事を増やさない

例えば「ご飯を作らない」と決めたら私は「お皿洗いまでしなくていいように」ということを考えます。

レトルトで済ませてもお皿に移すと余計な家事が増えるので、本当にサボりたい時はそこまで意識しています。外に食べに出て洗い物がいらないようにする、惣菜パンを買って来て袋のまま公園や家で食べておしまいにする、と徹底しています。

【子供を怒鳴らないための対策3】 時間を決めてちょっと別行動

私は自分の時間を持ちたい時は、子供の機嫌が良い午前中に別室でしてしまうことも多いです。ただ、際限なくテレビを点けていると良くないかなとも思うので時間を決めて楽しむようにしています。

具体的には、リビングで子供の好きなとなりのトトロのDVDを見せている間だけハンドメイドでアクセサリーを作ったり、雑誌を広げたり、スマホでウィンドウショッピングをしたりします。
ちょっとしたことなのですが、別室で少しでも自分の時間が持てると精神的にとっても楽になるのでおすすめです。

【子供を怒鳴らないための対策4】 子供は「体験」、お母さんは「自分の時間」

お母さんの心が本当にしんどいなと感じた時は、ためらわずに誰かにお子さんを預けて下さい。「人に預ける」ということに抵抗がある方もいるかもしれませんが、心の余裕がなくなったらこれは絶対にやった方がいいと思います。

旦那さんや両親に頼るのが難しいという方は市町村が短時間預かってくれるリフレッシュ保育も活用しましょう。

お金がかかることもあって抵抗がある方もいると思いますが、普段とは違う1日を過ごして子供も意外と成長したりするので、子供の「体験費用」だと考えるといいと思います。

そして何よりいつもイライラしているお母さんが笑顔になって帰ってきてくれれば、旦那さんも子供達もその方がずっと嬉しいものです。

私も最初は旦那さんに預けて出かけることに抵抗があったのですが、半日ほど預けて出かけると心もリフレッシュできますし、旦那さんも子供と仲良くなってくれたので定期的に出かけるようになりました。

【子供を怒鳴らないための対策5】 溢れ返る子育て情報を鵜呑みにしない

今世の中は色々な情報で溢れかえっています。育児書は数え切れないほどありますし、ウェブ上でも様々な情報を閲覧することができます。

SNSの発展で自分が全く知らない「素敵なママ」を写真付きで見るようなことも増えてきました。その情報や写真を見て“私はなんてダメなんだろう…”と落ち込むこともあると思います。

ですが、色々な情報を見ている中で、お子さんへの期待が高くなってしまっていないでしょうか?「○○君はオムツが取れたのにうちの子は取れない」「ネットでは○歳で円が描けるって言ってたけどできない」「絵本を読めば本好きになるって言ってたけど全然ダメ」と情報を先行してしまってはいないでしょうか?

でも、よく考えてみて下さい。その育児書や情報は目の前のお子さんを基準に考えてくれたものでしょうか?色々な統計の平均値であったり、お子さんとは全く個性を持った子供についての情報を、まったく違う個性を持ったお子さんに当てはめても仕方ありません。

【子供を怒鳴らないための対策6】 目の前の子供と向き合っていれば「育児書」は必要ない

公園で出会う子供達を見て下さい。ブランコを楽しんでいる子、アリばかり見ている子、風で飛ばされた葉っぱを追いかけている子、ただボーっとしている子…誰一人として同じ子供はいないと思います。

育児書に書いていることはほんの一部です。育児書に書ききれないほど色んな子が世の中にはたくさんいます。育児書には書いていないけどできることもあれば、他の子にはないけれど素晴らしい面もお子さんは持ち合わせています。

だから、情報に気を取られてお子さん自身を見失わないようにして下さい。お母さんがお子さんを笑顔で見守ってあげていれば、お子さんなりの成長曲線で成長してくれます。

家族のために「逃げる勇気」を持って笑顔を取り戻して

いかがでしたか?子供を怒鳴ってしまう時に必要なのはお母さんがもっと頑張ることではなく、お母さんが休んで心の余裕を取り戻し、リフレッシュすることだとお分かり頂けたと思います。

特に家事や育児というのは「休日」というのもがありません。誰かが「あなたちょっと顔色が悪いから休みなさい」と言ってくれるわけではないので、責任感が強いお母さんほど無理をしがちになります。

でも、イライラして子供に当たってしまう時、怒鳴ってしまう時はお母さんも心の中で「私も休ませて…」と悲鳴を上げている時です。こういう時は躊躇なく休むことが必要です。

忘れないで頂きたいのは、お子さんは自分のためにご飯を作って、家事の合間に遊んでくれて、時々怒られてしまうけど、自分に一番の笑顔を見せてくれるお母さんが大好きだということです。

ですから、イライラすること怒鳴ることを減らして、笑顔のお母さんを取り戻すためにも意識的に休むように心がけて下さいね。

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