子どもの学び・教育

「小学生で勉強できない」子供がすすんで勉強するようになるのコツ

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この記事を書いた人
鈴木 邦明さん【帝京平成大学 講師】

教育学を専門とする大学講師。22年間小学校の教員のご経験を活かし「小学校入学時に子どもが感じる不安と小一プロブレムの関連、小学校の学級経営のあり方」等の研究をされています。また自身での書籍出版や、All Aboutの「子育て・教育ガイド」、日経DUAL、リセマム 、ベネッセたまひよ、学研ママノートなど、執筆や取材協力など多岐にわたり、教育にまつわる情報を発信しています。

子供が小学生になって、家庭学習を始めてみたけども、何回教えても同じ間違いをする。

いくら教えてみても自分もうまく教えられない。子どももうまく解けないと、怒られないように親の顔色を窺うようになり、どんどん状況が悪くなる。

実は「やらされている」勉強と「自らやっている」勉強では、その学びの質に大きな違いがあります。

親が「宿題はやったの?」「勉強しなさい!」と言っているだけでは、より良い学び、より良い育ちにはつながっていかないことが多いです。

今回、勉強を自分からする子どもに育てるにはどうしたら良いのかということについてまとめました。

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小学生の「やらされている勉強」は効果がない

私が小学校の教員をしていた頃、クラスの子どもに「自らやっている」勉強と「やらされている」勉強は10 倍くらい効果が違うという話をしていました。義務感のようなものからやっている勉強は形だけのものになりがちです。

宿題などが義務的なものになると子どもにとっては「宿題などを仕上げる」ことが目的となってしまうことが多いです。

例えば、漢字の宿題に取り組む際、部首だけを先に書いてしまうなどのことが起こります。

「柱」という字をノートに20個書くという宿題の場合、まずノートに「木」だけ一気に書いてしまいます。その後に「主」を書いて、出来上がりにします。

「柱」の字が書かれたノートだけをみると、きちんとすべきことができているように感じます。ただ本来の目的である「柱という漢字が書けるようになる」という目的からすると、その目的の達成は難しいのではと思います。

小学生が自分から取り組むことで「学習の質」が上がる

一般的に物事の習得では「取り組みの質」×「取り組みの量」が習得に影響を与えます。「質の低い学びをだらだらとやっていても、学びは深まらない」ということです。

多くの場合「取り組みの量」に焦点を当ててしまいがちです。「取り組みの質」にも焦点を当てることで、学びに影響を与えます。

また、ダラダラとした感じで学習に取り組んでいると親や教師から叱られるきっかけにもなります。そういったことがさらに学びのモチベーションを下げることにもつながります。

そして、学びの「負のスパイラル」に落ち込んでしまうことになります。

小学生に「なぜ勉強する必要があるのか?」を考える

上で書いた「漢字練習」の例だけではありませんが、子どもが学ぶことに対して意欲的でない場合、そのまま取り組ませることは得策ではありません。学びの質は低いですし、余計に時間も掛かります。

そういった際は「なぜその勉強をする必要があるのか?」を考えることなどが有効です。

だらだらと漢字の書き取り練習に取り組んでいる子どもにその学習の必要性について考えさせるのです。「なぜ漢字の勉強をする必要があるのだろう?」ということを考えたことのある子どもは少ないはずです。

子どもに考えさせてみるとかなりきちんとした考えが出てきます。「漢字などができないと大人になってから仕事ができない」「学校に入る試験で落ちてしまう」「危険を知らせる標識などが読めず、ケガなどをしてしまう」などです。

親も一緒に考え、親としての考えを伝えることもとても良いでしょう。一手間かけて、こういったことをすることで、その勉強に対する心構えのようなものが確実に変わってきます。漢字に関して言えば、子どもが「漢字は使えた方が良い」と思えば、その学びが子どもにとって主体的なもの(自分から取り組む)となっていきます。

私は小学校の学級担任をしている時、年度の始めに全ての子どもと「学びの必要性」について考えていました。色々と忙しい時期ではあるのですが、そのタイミングでクラスという集団として、また個人として、「どうして学ぶ必要があるのだろうか?」「学ぶ意味は何なのだろう?」という学びの必要性、意義を考えることはその後の日々に大きな影響を与えるものでした。

勉強を通して「自分がすべきことは何か?」を考える

親の「宿題はやったの?」「勉強しなさい!」のような声かけは、「指示待ち」の子どもを作ってしまう可能性があります。

「指示待ち」の子どもは、多くの場合が大人になってからも「指示待ち」な傾向の強い人になってしまいます。そういった傾向は仕事をしていく上ではマイナスになることが多いです。勉強だけではないのですが、「自分から取り組む」ことは、その人の人生にも大きく影響を与えるようなことです。

「なぜ勉強する必要があるのか?」を考えることは、子どもが自分の人生をどのようなものにしていきたいのかということを考えていくことです。その子どもの年齢に応じて、「何がしたいのか?」「何をすべきなのか?」ということを考えていくことがその子どものより良い学び(育ち)につながっていくでしょう。

子供自身が勉強に取り組むきっかけを作る

子どもがどの段階(何歳)であったとしても、冷静に考えることができれば、「勉強をしておいた方が良い」という結論に達することが多いと思います。

もし勉強以外に大切なものがあるのだとしたら、それは「人生」という長いスパンで考えても、その時にすべきことなのかを考えていくと良いでしょう。

また小学生であれば様々な教材が販売されています。取り組みやすい教材を選ぶことで子供も楽しんで学習することが出来ます。おすすめは大手の通信教材とプログラミング学習です。

大手の通信教材は子供が興味を持って取り組めるように、たくさんの工夫がされています。幼児~低学年でも学習に取り組めるようになっているので家庭学習で使うのにとても向いています。

プログラミング学習は近年人気となっています。特に子供が興味を持てる「ロボットプログラミング」がおすすめです。工作やブロック、パズルなどが好きなお子さんはとてもおすすめです。

じっくりとしっかりと考えた上で、自分のやりたいことが勉強よりも大事であるということであれば、親も覚悟を決めて子どもの選択を尊重してあげるのが良いのではないでしょうか。こういったことは、小学校の高学年から、中学校、高校と年齢が上がる中で起こってくるものです。

今回、子どもが自ら学習に取り組むことについてまとめました。このことは、単純に子どもが学習に取り組むということだけでなく、どのように生きていくのかということにつながってきます。

少し遠回りのように感じても、じっくりと「なぜ学ぶ必要があるのか」ということを考えていくことが大切でしょう。

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