子どもの学び・教育

幼児の英語学習は意味ない。英語の必要性よりも「子どもの考える力」がもっと重要。

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この記事を書いた人
いしみほ さん【育児コラムライター】

社会福祉学を専攻し、保育士・幼稚園教諭の資格を持つ育児コラムライター。社会福祉学部では「家庭環境ごとの子どもへの支援の必要性」や「北欧各国の福祉と教育」を学んだ知見を活かしコラムを執筆。2人のお子さんを育てながら、執筆の他にハンドメイド作家(タティングレース、イヤリングなど)としても活動中。

「英語って小学校入学前から習わせた方がいいの?」
「近所のお子さんが英会話教室に入っていて娘も入れた方がいいのか悩んでいる」
「幼稚園のお友達が楽しく通っていて子どもがやりたいと言ってきた…」

幼稚園に通い始めると、周りに英会話を通っているお子さんがいたりして「自分の子供もさせるべきだろうか…」と思うことってありますよね。

2020年から英語教育が小学校3年生から開始されることにもなり、話題になっていることもありますが、幼児期に英語の習い事は本当に必要なのでしょうか?

今回は子供の英語教育について大切なことをお話していきたいと思います。

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幼児期は英語の発音覚えるよりも「日本語力」を育てるのが大切

結論から先に言いますと、幼児期は英語の習い事よりも「日本語力を育てること」を重視すべきです。その理由をお話していきましょう。

週1回の英会話で子供は英語が話せるようにならない

まず、先にお話しておきたいのですが、たとえ子供であっても週に1回の英会話を習っただけで英語を話せるようにはなりません。英語を身に付けるためには「英語が日常的に必要な環境」が必要だからです。

これは、例えば、海外で生活する際に英語ができないと食べ物を買いに行けない、英語しか通じない相手と話さないといけないような環境です。

留学した人の多くが話せるようになるのは、日本語が通じず、海外での生活で英語が分からないと生きていけないほど日常的に英語が必要になるからです。

日本では英語を日常的に話す環境がない

英語が話せるようになるためには、上記のように日常的に英語を話すような環境が必要です。しかし、日本ではそういった環境に身を置くこと自体がとても難しいのです。

英語とは本来言語であり、使ってこそ初めて上達するものなので、せっかく英語を覚えても日常的に使えるような環境でなければ上達していきません。

例えば、両親のどちらかが英語圏の人で日常的に英語を話す場合、家族との会話の中で日常的に英語が話されます。ですから、ハーフの子供達は日本の中で育っても英語が身に付くことが多いのです。

しかし、多くの日本人はそんな恵まれた環境にはありません。ですから週1回の英会話で子供は話せるようになるということ自体、日本ではかなり無理があるのです。

英語の発音よりも日本語で「考える力」を伸ばすことが大切

ですが、ここで少し考えてみて下さい。世界で素晴らしいと賞賛される人物達は「流暢な英語を話せるから」といって賞賛されているのでしょうか。答えはNOですよね。

英語を習わせるか悩んでいるのは、お子さんの将来に必要だと考えていらっしゃるからだと思います。

ですが、逆にお子さんは今の段階で英語を使って「何を伝えたいのか」「何を表現させたいのか」は決まっているでしょうか?意地悪な言い方になっていたら申し訳ありません。ですが、英語と言うのはあくまで言語であり「自分の考えを伝える手段」の一つなのです。

スティーブ・ジョブズ氏やビル・ゲイツ氏が世界中から尊敬されるのは英語が話せるからではなく、iphoneという画期的なツールを生み出したり、パソコンというツールを世界に広め浸透させたりと素晴らしいアイデアを考え、それを実現することができたからです。

それは、世の中の人が求めているもの、必要なことは何かという「考える力」の賜物です。

1兆円規模の利益を生み出す孫正義氏も流暢な英語を話せるわけではありませんが、その思考とアイデアに世界のトップクラスの人々が惹き付けられています。

ですから、正しい発音で話す英語力よりも日本語で「考える力」をしっかり育てることが、本当の意味での国際教育になるのです。

先人達によって学問が開かれている日本語

幼児期は考える力のベースとなる「語彙力」を伸ばしていく大切な時期です。日本語でたくさんの言葉のシャワーを浴びた子は、その言葉を吸収し、やがて「考える力」へと発展させていきます。

とても幸せなことに、日本は多くの先人達のおかげで江戸時代から広く海外の学問が開かれています。幕末から明治時代にかけて鎖国を解いた日本には、新しい考え方や学問が数多く入ってきました。

そして、「学問のすすめ」で有名な福沢諭吉や啓蒙家として活躍した西周らによってたくさんの抽象的な言葉や学問が日本語に翻訳されていきました。

ですから、英語で書かれた難しい言葉も、優れた哲学も既に日本語にきちんと訳され学問が深められているのです。

今でも日本では、世界のベストセラーや優れた本が和訳され図書館にあれば無料で読むことが可能です。世界では英語が分からなければ学ぶことを絶たれる国が数多くありますが、日本では日本語が豊かになればそれだけ数多くのことを学ぶことができるのです。

ですから日本語での「語彙力」を伸ばし、多くの日本語が分かるようになった分だけ「考える力」を伸ばす道がどんどんと開いていくのです。

幼児期に日本語を豊かにすることが「考える力」を伸ばす原動力

教育評論家の尾木直樹氏をご存知でしょうか?「尾木ママ」という愛称で呼ばれ、お話が上手でテレビでも人気の教育評論家の方です。

早稲田大学を卒業し、東京大学の教育学部でも教鞭をとり、現在は法政大学の名誉教授となっている尾木さんのお母様は学校の先生でした。そして、小さい頃から言葉豊かに尾木さんを育てて下さったそうです。

例えば、次の日に大事なことを先延ばしにしようとした時は「明日ありと思う心のあだ桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」と短歌で伝え、何かを失敗すると「直樹は“大器晩成”型だから大丈夫だ」と言葉豊かに様々なことを教えてくれたといいます。

豊かな日本語力を育てることは、一見すると英語を勉強するよりも地味な気がするかもしれません。しかし子供が「考える力」を身につけるためには、こうして豊かな日本語を獲得することが何よりも大切なのです。

「自分に英語が必要」と考えれば自然と勉強に向かうもの

いかがでしたか?今回は幼児期に英語が本当に必要かどうかについてお話していきました。もちろん、子供がやりたい気持ちがあるのなら、尊重してあげてもいいと思いますが、焦る必要はないということはお分かり頂けたと思います。

私の友人に日本人で英語を話せる人が3人います。彼らがどうして英語を勉強したのか聞いたことがあるのですが、実は3人とも共通してしっかりとした目標がありました。

「小学校の頃、ラジオで流れてくる洋楽の歌詞の意味を理解したかった」「世界地図が家にあって、小さい頃から海外に絶対に行きたいと思っていた」といった目的もあれば「一目ぼれした人が外国人で、どうしてもその人と話したかった」といったものもありました(笑)

実際、3人とも幼児期には英会話など一度も通ったことがないと言っていました。やはり、大切なことは英語が自分に必要なものだと考えられるかどうかであり、しっかりとした目的があれば自然と英語の勉強に向かうものなのだと私は思います。

知り合いの子が英語を習い始めると焦る気持ちはありますが、ぜひお子さんのペースに合わせて様子をみていってあげてくださいね。

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