育児と向き合う

学校の先生ガチャとか言って一喜一憂しない。新しい担任から、良い学びを得るための心構え。

育児と向き合う
この記事を書いた人
鈴木 邦明さん【帝京平成大学 講師】

教育学を専門とする大学講師。22年間小学校の教員のご経験を活かし「小学校入学時に子どもが感じる不安と小一プロブレムの関連、小学校の学級経営のあり方」等の研究をされています。また自身での書籍出版や、All Aboutの「子育て・教育ガイド」、日経DUAL、リセマム 、ベネッセたまひよ、学研ママノートなど、執筆や取材協力など多岐にわたり、教育にまつわる情報を発信しています。

4月、学校ではクラス替えが行われ、新しい担任、新しい友達との出会いがあります。

子どもは新しい学級担任の書かれた学校便りなどを持って自宅に帰ります。その後、ネット上にはたくさんの先生達の噂が飛び交います。

「あの先生はハズレ」などの言葉が親から発せられ、ネット上を、時には食卓において話題になっていきます。学校の先生ガチャなどと揶揄されることもありますが、当たりハズレといった考えは親にとっても、子どもにとっても良いものではありません

年度始めのそういった教師に対する様々な情報はあまり有益なものでは無いと私は感じています。

親が新しい担任に対して否定的な判断(発言)をしてしまうと、子どもも同じように担任を見てしまう可能性が高くなります。そういったことが子どもが担任と信頼関係を結ぶことを邪魔します。

多くの情報に惑わされるのではなく、その一年間関わることになる担任からどういった事を学ぶことができるのかという事を考えていく方が良いでしょう。

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年度始めにネットを飛び交う様々な情報に振り回されない

新年度が始まった日に親は自分の子どもの担任が誰になったのかということに興味があり、周りの人と情報交換をします。「あの先生はハズレ」「あたり」などの発言は昔から行われていたことです。

ただネット社会の現在は、情報が非常に多く飛び交います。スマホなどが身近にあり、情報のやりとりが容易になったことが影響しています。

そういったことによる良い面もたくさんあるのですが、逆に悪い面があるのも事実です。飛び交う情報の中には、真偽の分からない、噂なども含まれた様々な情報も含まれます。

また、そういった際、ネガティブな情報の方がよく伝えられます。
「あの先生は、ちょっと言葉使いが荒い」
「字が雑だ」
「男子(女子)ばかり可愛がる」
「授業が分かりにくい」
「宿題のチェックが甘い」
「持ち物の連絡がいつも遅い」
そういった情報がたくさん耳に入ると「今年の先生はハズレなのかも・・・」という思いを親が抱いてしまうこともあります。

4月中は新しい担任の様子を見たい

先ほど書いたように色々な情報が入ってくることもあり、「ハズレ」「あたり」などと判断してしまいがちですが、そういった判断は早急にすべきではありません。実際に会ったことも無い人の判断を他の人の噂のようなものだけで決めてしまうのは危険です。

情報に振り回されるのではなく、そういった情報から少し距離を置くことが望ましいでしょう。新しいクラスの始まりをワクワクしながら過ごせることが親にとっても子どもにとっても良いことでしょう。

子どもから新しいクラスでの出来事を聞いたり、担任が発行する学級便りの文章を読んだりしながら、新しい担任がどんな人なのかをイメージし、初回の授業参観に臨むのです。自分の目で新しい担任の様子を見て、どのような人なのかを判断すると良いでしょう。

「親が担任をどのように捉えているのか」ということは、子どもの学校生活に大きな影響を与えます。親が「あの先生はダメだ」というような捉え方をしていると、それがそのまま子どもに伝わります。子どもも担任のことを「ダメな先生」だと認識し、行動します。

担任と信頼関係を築いていくことが大事

学校での教育は信頼関係があってこそ成り立ちます。その信頼関係が無い(崩れた)状態においては、様々な学びの質は大きく低下してしまいます。教師が子どもに対して何かを伝えた時、基本的な信頼関係があるから伝わっていきます。

新しい学級においては、担任と子どもははじめの日々(4月)にそういった信頼関係を作り上げていきます。親の「あの先生はハズレ」のような発言は、子どもが新しい担任と信頼関係を築く際の阻害要因となります。

その結果、担任と子どもの関係はギクシャクしたものとなってしまいます。そして、それは1年間影響を与えてしまう可能性があります。

より良い一年間になる方法を考える

多くの親が「ハズレ」「あたり」などと表現するものは、その担任が自分の子どもに「合う」「合わない」というようなニュアンスが含まれています。そういったものを親が軽い気持ちで「ハズレ」という表現をしているという面があるように思います。

小学校の教員はそれぞれ得意な部分、苦手な部分があります。私は自然科学系・運動系に関することは得意でしたが、音楽系のものは苦手でした。1ヶ月位様子を見ていると新しい担任は何が得意なのか、そうでないのかが見えてきます。

最近の小学校ではクラス替えは1年間毎であることが多いです。小学校の6年間では6人の担任と関わることになります。様々な個性のある担任からその1年間でどういったことを学ぶことができるのかということを親は考えていくと良いでしょう。様々なタイプの担任と関わることで、それが子どもの成長においてプラスになっていくはずです。

ただし、ごく稀に非常に質の悪い担任がいることも事実です。今回の文章で書いたことは、そういった担任に関わってしまったケースを含んでいる訳ではありません。そういった場合は、様子を見て、学年主任、管理職などに相談することが必要でしょう。

今回、4月に新しい担任に出会った際の親の捉え方をまとめました。ネット上にあふれる情報に振り回されないことが大事でしょう。実際に授業を参観したり、話をしたりする中で担任との関係を築いていくことが望まれます。

そして、その1年で良い学びを得るには親として子どもに対してどういったフォローをしていったら良いのかということを考えていくことがより良い子どもの成長につながります。

▼家庭にあった子育てを考えるヒント

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