「子どものためにちゃんとご飯作らなきゃ」「部屋はできるだけ毎日片付けないと…」子育てに頑張るお母さん、いつもお疲れ様です。子育てはやることがたくさんあって毎日大変ですよね。
でも頑張っているお母さんほど「一生懸命やってるけど育児が上手くいかない」と落ち込んでしまうこともあると思います。
お恥ずかしい話ですが、保育士の私も自分の子どもとの関わりが上手くいかず、SNSやネットからの情報や育児書を読んで「私はなんて駄目親なんだろう…」と泣いてしまったことがありました。
でも、今は少しだけ力が抜けて自分の育児に肯定的になり、落ち込むことが少なくなりました。それは私が「育児の常識を疑う」ようになったからです。
世間で言われていることはあなたの育児に本当に必要?
今、世の中には情報が溢れています。インターネットが発達していない時代なら知り得なかった情報があなたの中に入り込んできます。
例えば、芸能人の子育ての様子や遠く離れた友達の子育ての様子が、ご丁寧に写真付きで日々更新されていきます。
キレイに片付いた部屋、整頓してラベリングされたキッチン、手の込んだ手作り料理、休日の親子キャンプの様子…。「私良いお母さんしてるでしょ?」というアピールがあなたのスマホやパソコンの画面から嫌というほど見えてしまいます。
そういう場面を見て真面目なお母さんは「私の部屋はいつも散らかっているし、食事もこだわってないし、子どもともこんなに出かけていない…」と落ち込んでしまいます。
ですが、ちょっと考え方を変えてみて下さい。そもそもそういったことはあなたの子育てに本当に必要なことなのでしょうか?
他人がしている育児があなたの子どもに合うとは限らない
例えば、キレイな容器に詰め替えられたお風呂用洗剤を見て、お手伝いをしたい子どもはどれを使ったらいいのかすぐに分かるでしょうか。
整理整頓を徹底されている部屋を見て神経質な子が「お母さん散らかすとすぐ怒るし、友達連れて来るの嫌だな…」と肩身を狭くしていたら、それは本当に子どものためになっているのでしょうか。
周りに影響されてキャンプに行ったら「僕は絵を描いたり、本を読んだりしたかった」と言われたら本当に無理をしてキャンプに行った意味があるのでしょうか。
世間の育児方法があなたの子どもに合っているとは限りません。誰かに影響された情報で目の前のお子さんを見失ってはいけないのです。
大切なことは、あなた自身が目の前のお子さんをしっかり見て、判断して、行動してあげることなのです。
「子育ての常識」を疑って見方を変えれば育児は楽になる
「食事は手作りがいい」「部屋は片付いている方がいい」「休日にはキャンプに行った方が子どもの成長にいい」こんな常識が世の中ではたくさんあります。
ですが、それはある一定の価値観を持った人達が形成した常識であって、あなたの生活や価値観、お子さんの個性に寄り添ったものではありません。
もちろん「1歳未満の子に蜂蜜を食べさせてはいけない」「首が据わっていない子を揺さぶってはいけない」など、安全面で親が知っておくべきことというのはあります。ですがそれはあくまで命の危険を伴うことに限ったことです。
むしろ親も子どもも色んな人がいて、一組として同じ親子はいないのに、誰かが決めた育児の常識や価値観に縛られるのはおかしな話です。
まずは、お母さん自身やお子さんに合っていない子育ての常識を疑ってみて下さい。意外と無理をして頑張ってしまっていることがたくさんあります。
そして、どうすればお母さんが「楽な気持ちで育児と向き合えるか」考えてみて欲しいのです。
「育児の常識」を変えてみて楽になった考え方
こんなことを言っていますが、私も以前は色んな情報に振り回されてしまっていました。そして色んな失敗を経て、思い切って今まで育児の常識だと思っていたことを止めてみました。
すると、子どもの個性を受け止めて心穏やかに過ごせる日が増えてきました。下記に私が思い切ってやめてみたことをご紹介します。
(1)毎食ちゃんとしたご飯をやめた
小さい子どもがいると食事の塩分に気をつけたり、硬さを調節したり、栄養面でも色々と考えることが多くてご飯の準備だけでも結構大変ですよね。私も上の子を産んだ時は、3食きちんと離乳食や幼児食の本に合わせて手作りしていました。
ですが、2歳差で下の子が生まれてからもそれを続けて、とうとう私はある時体を壊して倒れてしまいました。心配する家族の顔を見て、子どものために頑張っても、お母さんが倒れてしまったら元も子もないと実感しました。
そしてこの失敗から「元気なら栄養なんてそんなに気にしなくてもいいか」と考えるようになったのです。
今ではしんどいと思ったらすぐにベビーフード、手を抜きたい時はレトルトカレーや焼きそば、何もしたくない時は惣菜パンを買って済ませるようになりました。
月に何回もこういった日がありますが、私の子ども達は朝から晩まで元気いっぱいです。
親として子どもの食事をきちんとしたい気持ちは本当によく分かります。でも、何よりもお母さんが元気でいられるなら、ちょっと栄養が偏ったって子どもは大丈夫なのだなと思いました。
(2)「毎日家事をしなきゃ!」をやめた
「私働いてないから家事くらいしないと」と気負って毎日家事をしているお母さんも多いです。
私も片付けを一生懸命頑張っていた時期がありました。片付いた部屋を保ちたくて、子どもが散らかしたり、汚したりすると強く怒ってしまうようなこともしょっちゅうでした。
しかし、ある時まだ2歳の娘がこぼさないように必死におやつを食べている姿を見て“私の感覚は何かがおかしい”“子どもは本来そういうものなのに…”と違和感を覚えました。
そこで、見方を変えて「健康を害さなければ片付けはしなくてもいい」ということにしました。毎日のようにかけていた掃除機を週に1回にし、片付けも1日1回片付ける場面があればいいかなというくらいで一生懸命キレイにするのを止めました。
結果的に家族の健康に何の害もありませんでした。
子どもにイライラをぶつけながら整理整頓された部屋よりも、汚れをあまり気にせずに子どもと一緒に笑顔でおやつを食べられる方が私は幸せだなと思いました。
(3)周りとの比較をやめた
「隣の芝は青い」という言葉がありますが、育児においても隣の子が気になる場面はたくさんあります。
「自分の子どもはまだトイレトレーニングも始めてないのに、公園であった同じ年齢の子のオムツが取れていた」
「うちの子はまだ線をぐちゃぐちゃしているだけなのに友達の子は顔を描いていた」
「近所の子は英会話やスイミングに行っているけど、うちの子は何も…」
私も挙げ出したらきりがないほど、自分の子どもとの違いに戸惑うことがたくさんありました。他の子との差を感じる度に「うちの子はどうしてできないんだろう…」と悲しい気持ちになっていました。
ですが、ある時、誰にでも元気いっぱいに挨拶する娘に対して近所の方が「○○ちゃんは誰にでも挨拶できてとってもえらいね!おばちゃん○○ちゃんに挨拶してもらうと元気になるのよー」と言われたのです。
私は娘のできない面ばかりに注目して、できている素晴らしい面に目を向けていなかったと反省しました。それからは見方を変えて「できないこともあるけれど、娘は既に素晴らしいところがあるんだ」と考えるようになりました。
今でも周りの子がすごいと思うこともあります。ですが「娘は娘の良いところがある」ということに気付けただけでとても気持ちが楽になりました。
(4)子どもにこうなって欲しいという期待をやめた
子どもが生まれると自分がやりたかったことをさせてあげたいと思ったり、良かれと思ってあれこれ知恵をつけてあげようとしたりすることってありますよね。
ただ、子どもの興味は長く続かないものです。知育パズルを与えてみてもやらないし、図鑑が欲しいというから買ってあげたのに見向きもしなくなるし親の意向通りにはいかないものです。私もあれこれ娘のために色々買っている時期がありましたが、全然娘の興味が続かず悩んだことがありました。
ですが、ある時、ふと「私、娘のためと言って本当は“頭のいい子に育って欲しい”と思ってたんじゃないか」と思ったのです。そして最終的に「これは親のエゴであって娘のためじゃない」と思い、色々なものを買うことはなくなりました。
そして今は「娘が好きなことを大切にしよう」と考えるようになり、外遊びが大好きな娘をよく公園に連れて行くようになりました。
結果的に、娘はまだ3歳ですが小学生が楽しむようなアスレチックに夢中になりました。高いところもガンガン登っていくようになり、親の私の方が驚かされるほどパワフルに動き回っています。
子どもは親の期待通りに育つものではありません。でも、親の期待以上にすごい能力を持っていることもあるのだなと思いました。
(5)子どもの失敗を自分の失敗と思うのをやめた
子どもって色んな失敗をしますよね。何度も同じことを繰り返しますし、大人が見ていると「見たら分かるでしょ!」と言いたくなるような失敗を何度もします。
親は近くで見ている分、そういったことが気になります。私も娘に「何でこうしないの?」「もっとこうした方がいいよ」と小言を言ったりして、よく娘が拗ねてしまうことに悩んでいる時期がありました。私は子どもの失敗を自分の失敗のように感じてつい口を出してしまっていたのです。
ですがある時、砂場でお団子を作っている娘を見ていて、キレイに作れなくても砂遊びを楽しんでいることに気が付きました。むしろ、お団子にならずにべちゃべちゃになっても試行錯誤の過程を楽しんでいると感じたのです。
その様子を見て今では「何事も練習中で、子ども自身が失敗することが仕事なんだ」と考えるようになり、危ないこと以外はほとんど見守るようになりました。
失敗を失敗だと思わず次に繋がる過程と思えば、子どもの失敗を見守るのも気楽になりました。
また、私があれこれ教えなくてもいいのだと思えば心がとても軽くなりました。
(6)「私が子どもを育てなきゃ」と考えるのをやめた
真面目なお母さんほど「私がしっかりこの子を育てないと」という気持ちを持っているものだと思います。初めてお子さんを抱いた日は、小さくてか弱くて自分がいないとすぐ泣いてしまうそんな存在だったのですから無理もありません。
でも、子どもは生きるエネルギーに溢れています。転んで怪我して拗ねてもまた頑張るし、知らない人の前ではモジモジしていてもお母さんの膝では態度が大きいくらいだし、野菜をべーするわりには「苺あるよ」とか言うともぐもぐ食べ始めるし、案外ちゃっかりしていますよね。
子どもは大人が思っている以上に頼れる存在です。ある時、私が偏頭痛で休んでいた時のこと、当時2歳の娘が「おかあしゃん、頭痛いの?」と寄ってきてくれました。そして「じゃあ、○○が服畳んであげるね」と言ってくれたんです。その優しさに感動した私ですが“たぶん畳めないだろうな…”と思っていました。
でも、頭痛が治まってから洗濯物を見に行ったら、上手ではないけれど洗濯物が全部畳んであったんです。そして娘が「おかあしゃん、頭大丈夫?」「○○が畳んどいたからね」と言ってくれました。たった2歳の娘にそんな力があるなんて私は信じられませんでした。
子どもは小さくても意外としっかりしているものです。「私がしっかりしないと」と気負ってしまうより持ちつ持たれつの関係でもいいのではないかと今では思えるようになりました。
たくさんの価値観から「引き算」で自分の子育てを見つけることが大切
いかがでしたか。今回は育児の常識を疑ってみることで育児が楽になるということをお話させて頂きました。
他でもない大切な子どものために、お母さんはついつい色んなことを頑張って、周りからの期待に応えようとしてしまうものです。色々な情報が入ってきてしまう今の時代は、逆にこれがお母さんを悩ませることになっているのだと思います。
だからこそ、色んな価値観がある今の時代に大切なのは、たくさんある子育て法の中から「本当に自分の子どもに必要なことは何か」「自分が楽しく育児をするために大切なことは何か」という引き算の考え方です。
育児が色々と大変だなと思って辛くなることがあったら「お母さんとして楽しく育児をするためにはどうしたらいいか」「目の前の子どもには何が合っているのか」を改めて考えてみて下さい。
そして、自分にとって必要ないなという育児の常識は積極的に「引き算」してみて下さい。