育児と向き合う

どんな育児テクニックよりも大事!「愛着形成」について深く知って欲しい

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この記事を書いた人
夏野 新さん【心理カウンセラー】

虐待防止や家庭環境についての専門家。心理カウンセラーの資格を活かしながら「妊娠、出産、育児」といった女性向けのサポートをするための情報を発信しています。2児の子どもを育てながら、2019年には自身の書籍「世界が変わる! アダルトチルドレンの自己観測」を出版し、悩みを抱えるご家庭への問題解決に尽力しています。

あなたは、愛着形成という言葉を知っていますか?愛着形成とは子どもの「安心感」の土台となるもので、とても重要な知識です。

しかし、まだまだ愛着形成の重要性について深く理解している人や保育者は少ないと感じています。さらに、この愛着形成は子育てのみならず、夫婦関係や人間関係などさまざまなシーンで影響しているものです。

この記事では、子育て中のすべての人に知って欲しい「愛着」について解説します。

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愛着とは?

愛着とは、人と人との信頼関係を築く「能力」のことをいいます。その人の人格の土台をつくるのが、親子の愛着です。

幼少期に親子の間で、しっかりとした信頼関係を築けていると、子どもはその後の人生を柔軟に歩んでいくことができます。

「幼少期の家庭環境」というと、目に見える虐待やネグレクト、親の離婚や死別など大きな問題があったような家庭を想像するかもしれません。

しかし、実際のところ現代の子どもの4割は健全な愛着形成がされていないともいわれており、決して他人事ではないことがわかります。幼少期の育った環境が悲惨だった場合だけではありません。

親子関係でしっかりと気持ちのキャッチボールができなかったケースはとても多いです。気持ちを受け止めてもらえなかった、安心できる家ではなかった、家族に気を遣ってばかりでリラックスできる環境がなかったという自覚がある人も少なくありませんよね。

一見するとごく普通の家族でも、よくよく観察・分析してみると、親子関係に適切な絆が築けていないことがあります。

愛着は、人間関係やパートナーシップの問題、子育てのつまずきなど、ありとあらゆることに影響しているのです。

子育ての悩みは、愛着スタイルの影響が大きい

現代のお母さんたちには、子どもの育て方に不安がある、人に助けを求めることができない、夫婦で協力することができないなど、いろいろな悩みがあると思います。

もちろん、現状として生活が忙しい、夫が協力的でない、頼れる実家がないなどいろいろな生活の事情があるものですよね。

しかし、もっと根本的なところには「人との関係をうまく築けない」という部分でつまずいていることも少なくありません。

子育て中の方にはぜひ、ご自身の愛着スタイルについて知り、そこから周囲との関係や子どもとの接し方などを見ていくことが必要であると考えています。

愛着スタイル

愛着には、人によって異なり大きく分けて4つに分類することができます。子どもを育てる側の大人が、自分自身がどのような愛着スタイルをもっているか知ることで、今後の生き方や子育てのヒントがたくさん得られるようになりますのでチェックしてみてください。

【安定型】
安定型の愛着スタイルとは、その名の通り人との関係づくりや信頼関係の築き方が安定しているタイプです。人の言葉を素直に受け取り、困ったときは助けを求めることができるという安心の土台が備わっていると考えてよいでしょう。安定型の愛着形成ができている場合、大切な人との信頼関係を長く継続させることができます。

【不安型】
不安型の愛着スタイルは、人との間に不安を抱きやすく、人に気を遣いすぎたり人の顔色を伺いすぎたりする傾向にあります。人から拒絶されたり、否定されたりすることをおそれるために、他人に依存したり、離れていくことへの不安から束縛やコントロールをしがちになることも。

【回避型】
回避型の愛着スタイルは、人との距離を置くタイプです。人間同士の感情のぶつかり合いや葛藤を避けるため、遠ざけようとする傾向にあります。結婚や子育てをしていても、心の深いところを話さない、一線を越えさせないような目に見えない距離感をもっています。

【恐れ・回避型】
恐れ・回避型は、人に見捨てられたくない気持ちと、対人関係を避けようとするふたつの気持ちが混同しているタイプです。不安型と回避型の両方をもっているということになります。

ひとつお伝えしておきたいのは、不安型・回避型・恐れと回避などに当てはまるかららといって落胆したり、不安になったりしないでほしいということです。これは自分の夫婦関係や子育てをどう構築していけばよいかを考えるデータのひとつとして使ってみてほしいと思います。

心の土台である「愛着」の上に育児の知識や情報を乗せていく

今の時代の子育ては、情報が本当にたくさん飛び交っていると思います。必要な育児グッズから始まり、教育方法やコミュニケーションの取り方など、調べればいくらでも出てくる時代ですよね。

もちろん、こうした情報をうまく使っていくことはとても大切です。しかし、子どもの成長にもっとも必要なのは「安定した家族システム」です。

安心して、心地よく過ごせる親子関係という、信頼の土台を作ってあげることがもっとも重要です。

愛着という心の土台を意識しながら、他のノウハウや教育法をうまく乗せていくことが大切です。土台がグラグラな状態では、いくら知識や情報を使っても子どもの芯は育たないのです。そのためにはまず、親御さん自身の「愛着」についてふり返ったり、分析してみたりすることも育児の大きな武器になっていくと考えています。

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