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子どものいじける性格は、治すものじゃない!実は前向きな対処法だった

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この記事を書いた人
夏野 新さん【心理カウンセラー】

虐待防止や家庭環境についての専門家。心理カウンセラーの資格を活かしながら「妊娠、出産、育児」といった女性向けのサポートをするための情報を発信しています。2児の子どもを育てながら、2019年には自身の書籍「世界が変わる! アダルトチルドレンの自己観測」を出版し、悩みを抱えるご家庭への問題解決に尽力しています。

子どもの感情表現の中には「いじける」「すねる」といった行動があります。気に入らないことがあるとすぐにいじけたり、すねたりする子は少なくありません。

正直、周囲で見ている人は、いじけている姿にイライラしたり困惑したり、嫌な気持ちになることもあります。

そんな子どもの「いじける性格」は治すべきものなのでしょうか。この記事では、いじける性格をどのように捉え、導いてあげればよいか考えてみたいと思います。

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子どものいじける性格、このままでいいの?という不安

いじけるとは、ひねくれて素直でなくなる様を指します。たとえば「もういい!」と言って集団の輪から外れたり、不機嫌な顔をして自分の殻に閉じこもってしまったり、こちらの呼びかけにも応じなくなったり……さまざまないじけのパターンがあるでしょう。

実は、筆者の息子もいじける性格でした。気に入らないことがあったり、うまくいかなかったりするとすぐに不機嫌な態度になり、その場から少し離れた場所に行ってひとりでうずくまったりしました。こちらが声をかけても突っぱねたり、無視したりと反抗的な態度も見られました。

嫌なことがあるとすぐにいじける性格だと、ときにはその場の空気を悪くしたり、さまざまなものごとの運びをストップさせてしまったりするので、周囲に迷惑をかけてしまうこともあります。

「こんな性格だと、大人になってから本人が困るのではないか?」
「友達とうまくやっていけないのではないか?」

そんな不安を抱えることもあるのではないでしょうか。

子どもの「いじける性格」は治すべきもの?

いじけるのは「臆病であるさま」でもあります。つまり、いじける子どもは何かを怖がっていたり、不快な感情を感じていたりする状況にあることをまず理解しましょう。

そこで、「いじけるのはよくない」「治すべきだ」と思う理由を考えてみてください

・いじける姿を見ている自分たちが不愉快である
・いじけていると友達がいなくなるのではないかという不安
・調和を乱してはいけないという既成概念
・いじけることで思い通りに物事を動かそうとしているという疑い

正直なところ、いじける子どもに対してわたし自身、このような気持ちを抱いていたのです。しかし、いじけるという反応はそれほど悪いものなのか?ということに、気づき始めました。

たとえば、嫌なことがあって強い苛立ちや怒りを覚えたとします。もしくは、警戒心や恐怖を感じているかもしれません。これを、そのままストレートに表現すると泣き喚いて騒ぐ「癇癪」になります。場合によっては手が出たり暴言を吐いたりという行動に出る恐れもあるでしょう。

見方を変えれば、いじけるのは衝動的な行動をしないための対処法とも考えることができます。自分でその場から離れたり、自分なりに気持ちを静めたりする「前向きな行動」なのです。

ただどうしても、親や先生が「いじけるんじゃない」「なんだその態度は」と、過剰に反応してしまうことがあります。このように大人が叱ったり抑圧したりすると、子どもはどうなるでしょうか。

感情の行き場を失うだけでなく、自分で編み出した対処のための行動も制限され、非常に苦しい状態になってしまいます。

つまり、子どものいじける性格とは、治すべきものではないのです。「このままでは大人になってから困る」「友達に嫌がられるのではないか」という不安や心配は、少し横に置いておき「今、この子は成長過程である」ということを踏まえ、子どもの性格と向き合ってみてほしいと思うのです。

いじける子どもの性格との向き合い方とは?

子どものいじける性格は「治す」のではなく「向き合う」という視点にチェンジしてみると、親自身も楽になります。そもそも、まだまだ成長過程にある子どもに対して「治す」という考えで接するのは不適切でしょう。

子どもの「気になる行動」に対しては、治すよりも向き合う姿勢が大切になります。

不快感情をしっかり体験させる

いじけている子どもが今感じているのは、不快感情です。恐怖、寂しさ、疑い、苛立ち、悔しさなど、さまざまなネガティブ感情を体験しています。現代の日本人は「不快な感情はよくないもの」と考えてしまいがちですが、どんな感情も必要なもので、湧いてくるものを止めることはできません。

子どもがいじけてしまったら「今、この子は不快感情を味わっているのだな」と、静かに見守ってみてください。何が気に障ったのかを考えるよりも、どんな感情になっているのかのほうが重要です。

感情は、ピークを迎えれば自然におさまっていくものですので、おさまるまでは静かに、変わらぬ姿勢でその場にいてください。イライラするのであれば、距離を取ってお互いにクールダウンしましょう。

親自身の感情も観察する

子どもが不快な感情を「いじける」という形で表現していることに、イライラしたり過剰に気にしたりしてしまうのは、親である自分自身も不快感情の扱い方に慣れていない可能性があります。

現代の子育て世代は、心の教育を丁寧に受けて育っていないことが多いです。そのため「泣くな」「怒るな」「いじけるな」と、不快感情を抑えてきているケースもたくさんあります。まずは親自身が、不快感情をしっかり体験する必要があると知り、子どもと一緒に自分自身の感情観察にも注力していきましょう。

子どものいじける性格は、治すより見守るのが重要

いじけやすい子どもは、ネガティブな不快感情を感じやすく引きずりやすい傾向にあるかもしれません。しかし、それを衝動的に、感情任せに表現するのではなく、どうにか自分なりに対処する方法を模索している最中であると考えてみてください。

子どものうちにしっかり不快感情を体験させてあげることで、大人になってからは安定した感情コントロールができるようになります。子どもの性格や、気になる行動を「治そう」とするのではなく「なぜこのような反応を見せるのか?」考え、見守っていく姿勢が重要なのではないでしょうか。

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