怒りのコントロールスキル「アンガーマネジメント」は、子育てや夫婦、教育現場、職場の人間関係などのありとあらゆる場面で有効です。
しかし、怒りの感情は大人だけのものではなく、子どもにも当然あります。小さなうちから、怒りの感情にどう向き合って対処すればよいかを身に着けておけるとよいですね。
特別何もしなくても勝手に身に着けていく子もいますが、中には大人のサポートや助言を必要としている子もいます。子どもと一緒にアンガーマネジメントを実践することで、親自身も自分の感情の取り扱い方や、思考の偏りに気づくことがあるかもしれません。
この記事では、主に小学生以降の子どもと一緒に取り組みたいアンガーマネジメントについてお話します。
アンガーマネジメントは子どもにも必要なの?
アンガーマネジメントの考え方を、子どものうちから知っておくのはとても大切です。怒りの感情から攻撃的な言動に至ってしまう子もいれば、怒りの感情を抑えすぎて苦しくなってしまう子もいます。
個人差や性格特徴はさまざまですが、アンガーマネジメントを知ることで、子ども自身が「自分の感情は自分でコントロールできる」と理解するだけでも違います。
子どもは自分の気持ちを言語化することや、自分を客観視する力が大人に比べてまだまだ未熟です。そのため、自分がカッとなって攻撃的になってしまったことを後から悔やみ、ますます怒りの感情を抑えようとしてしまうこともあります。
子どもにアンガーマネジメントを教える目的とは?
子どもとアンガーマネジメントを実践するときに注意したいこと、それは「コントロールできるようになる」のを目的にして急がないことです。
成長途中の子どもは、アンガーマネジメントを教えたところで、すぐに感情コントロールがうまくできるわけではありません。まずはコントロールに成功するのを目的とせず、自分の感情に注目することからゆっくり始めましょう。
近くにいる大人が、自分の感情や内面に関心をもって接してくれるだけでも子どもの心や行動は変化するはずです。
子ども向けアンガーマネジメントの具体的方法とは?
それでは、子ども向けのアンガーマネジメントの手順と方法を具体的にみていきましょう。各ステップや方法は前後しても構いませんし、それぞれの子どもに合った方法だけを選んで実践してOKです。
1.怒りの感情に気づく
まずは「怒りの感情に気づく」のが第一ステップです。怒りの感情は第一感情といわれ、その奥には「悔しい」「悲しい」「恥ずかしい」などさまざまな不快感情が隠れています。根本に湧いた気持ちを静かに見つめるために、まずは「怒っている」ことを認め、気づくことが必要です。
明らかな怒りを表現する子もいれば、そうでない子もいます。
・いじける
・泣く
・黙る
・自分を傷つける
・物を壊したり破いたりする
・体の調子が悪くなる
この様に一見怒りとわかりにくい表現をすることもあります。子どもの様子を注意深く見てパターンを捉えてあげられるとよいです。
2.クールダウンさせる
怒りの感情をそのまま出す子も、わかりにくい方法で出す子もいてさまざまですが、共通するのは「苦しそう」であること。ますはその苦しい不快感情をクールダウンする時間を設けましょう。
あれこれ口を出したり、言葉を引き出そうとしたりせず、静かに待つ時間です。ただ何もせずにクールダウンできない場合は以下の方法で対処してみてください。
・その場から離れる
・10から1まで逆さまにカウントする
・深呼吸する
・ジャンプする
・輪ゴムを腕にはめて軽い刺激を与える など
とにかくその出来事や相手から注意を離して、冷静な状態に戻るまでの時間稼ぎをします。小さな子どもは大人が促してあげる必要がありますが、小学校高学年くらいになると自分なりのやり方を、自分自身で見つけることもあります。
3.話をする、紙に書く
落ち着きを取り戻したら、出来事や相手についてのこと、自分の感情などを大人に話す場を設けます。毎回ゆっくり話す時間が取れないこともあるかもしれませんが、できるだけ一緒に振り返れる時間を設けるように意識してみましょう。
中には、うまく話せなかったり、気持ちを言葉にできかったりする子もいます。言葉で話すのが難しいときは、紙に書きだす方法(アンガーログ)や、大人とちょっとした手紙のやりとりをするのもおすすめです。
子どものアンガーマネジメントは、急がずゆっくり
今回紹介した子ども向けアンガーマネジメントの方法は、繰り返して習慣化していくのが大切です。1度や2度ですぐに感情をうまく扱えるようになるわけではありません。大人でも怒りという強い感情はコントロールが難しいものですよね。
だからこそ、子どものうちから自分の内面の変化に注目し、振り返る習慣付けが大切なのです。怒りを感じるのは自然なことであり、冷静になって対処すれば大丈夫だ、ということを訴え続けるのがポイントになるでしょう。
子どものアンガーマネジメントを実践するには、大人自身が自分の感情を見つめてコントロールするスキルを持っている必要もあります。子どもと一緒に親も成長していくという視点で、焦らずゆっくり進めてみてください。