子どもの勉強を見ていると、必ず耳にする「分からない」という言葉。一度「分からない」になってしまうとなかなか抜け出せず、やきもきしたり、イライラしてしまったりする経験もあるのではないでしょうか。
子どもの「分からない」にはどんな意味があるのでしょうか?
今回は「勉強が分からない」と言われたときに効果的な働きかけについて紹介します。
小学生は勉強の何が「分からない」のか?
勉強中の子どもが「分からない」と口にしたとき、「どこが?」や「何が分からないの?」と聞き返すでしょう。このときに明確な答えが返ってくる場合は対応に困りません。
どこが分からいのかが自分で理解できていて、質問ができる子どもは、「分からない」を解決する力があると言えます。
一方、多くの子どもは、「分からない」と発言したとき「何が分からないのかが分からない」状態です。「分からない」で思考が停止しており、その先の解決法を自分で見つけることは難しいでしょう。そうなったとき、やはり大人の手助けが必要となります。
次項からは、「何が分からないのかが分からない」子どもに、効果的な働きかけを紹介します。
小学生のうちは、問題を書き写してみる・声に出して読んでみる
多くの子どもがつまずく算数の文章題は、そもそも問題の意味を捉えられていないことが多いです。
子どもに限らずほとんどの人間が「視覚優位型」と「聴覚優位型」のどちらかに当てはまります。
目から入る情報が得意である「視覚優位型」の子どもは、問題をいったんノートに書き写してみるのが効果的です。
その上で必要な情報に線を引いたり、丸で囲ったりして問題文にメリハリをもたせましょう。「50円のえんぴつと80円のけしごむ、あわせていくらでしょう」という問題があったとすれば、「50円」「80円」「あわせて」に印を付けます。
計算式を立てるのに必要な情報だけを選び抜くことで、問題文を理解しやすくなるでしょう。
また、「聴覚優位型」の子どもは、問題文を声に出して読むのがおすすめです。先ほどの問題で言うと「50円のえんぴつと」「80円のけしごむ」「あわせて」「いくらでしょう」というように、文節ごとに切って読むとより理解しやすくなります。
小学生では「分かっていて当然」の勉強内容まで振り返る
大人が子どもに勉強を教えるとき、つい「これくらいは理解できているだろう」と勝手な推測をしてしまうことがあります。
割り算でつまずいているなら、掛け算は理解できているのか?掛け算でつまずいているなら、足し算は理解できているのか?「分かっているはず」という考えは捨てて、まずは分かるところまでさかのぼりましょう。
そうすると、意外なところにつまずきを発見し、芋づる式に理解が進むことがあります。
小学生のうちは、勉強で「何度同じ場所でつまずいても」怒らない
「分からないことについて怒らない」というのは、子どもの心を守るために大切なことです。
「分からない」に陥ってしまった子どもは、思考が停止してしまい、なにを聞いても反応が鈍かったり、分からないことへの怒りをぶつけてきたりするかもしれません。
ここで周りの大人が怒ると、「自分は悪いことをしたんだ」「分からないって悪いことなんだ」と感じてしまいます。そうすると、分からないことを隠そうとしたり、分からないと素直に伝えられなかったりしてしまうでしょう。
子どもの勉強に向き合うときは、何度同じ場所でつまずいても、怒らずに繰り返し取り組み続けることが大切です。
日常生活の中で、話したり説明したりする練習をする
これは分からない問題を解決するための方法ではありませんが、「何が分からないのかが分からない」状態を脱出するために効果的な働きかけです。
その日あった出来事とそのときの気持ちを話す、読んだ本のおすすめポイントを紹介する、その日ならった授業の内容を説明するなど、日常生活の中で話したり説明したりする練習をしてみましょう。
義務的に取り組むと嫌がってしまうかもしれませんが、普段の会話の中で「それであなたはどう思ったの?」「今日の算数で一番難しかった問題はなに?」などと上手に質問し、子ども自身の言葉を引き出してください。
こういったトレーニングを繰り返すことで「分からない」が原因の思考停止を防ぐことができ、自分なりに原因を探せるようになります。
勉強が分からなくて辛いのは、子ども自身
以上、「勉強が分からない」と言われたときに効果的な働きかけを紹介しました。
何度説明しても分かってくれなかったり、なにを聞いても答えてくれなかったり、勉強を教えているとイライラすることも多いでしょう。
ですが、勉強が分からなくて一番つらい思いをしているのは子ども自身であるということを忘れてはいけません。「分かりたいのに分からない」「やりたいのにできない」という悔しい気持ちに寄り添いながら、根気強くサポートしていきましょう。
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