中学生の夏休み・冬休みなどの宿題で大変なのが読書感想文。長期休みに毎回出ると、苦手な人はとても億劫な宿題でもあります。
中学生が取り組む読書感想文では、基本的には学生自身が感想文を書きあげることになります。
ですが、文章を書きなれない中学生にとっては原稿用紙を何枚も書きあげるのは至難の業になります。
「何とか文字数を増やして原稿用紙を埋める」そんなことを考えて取り組むよりも、簡単なルールに従って書いた方が圧倒的に早く終わらせることが出来ます。
ここからは中学生に向けて読書感想文を素早く終わらせる描き方を解説していきます。
読書感想文の書くときの注意
読書感想文は人によって書く内容がなく、正解はありません。
そういわれると「何を書けばいいのかわからない」「どんなことを書いても良いの?」となり結局感想文が書けないという事になりがちです。
ですが、読書感想文の書き方には注意点があります。
まずは読書感想文におけるタブーをお伝えします。
「起承転結」で読書感想文を書くのは難しい
よく文章の書き方で出てくるのが「起承転結」という書き方です。
これは文章構成の一つではありますが、文章を書きなれていない学生にはかなり難しいです。
実は起承転結で書かれた文章は論理的ではないとされています。世界的に見ると一般的な書き方ではありません。一般的に論理的な文章は「結論」を先に書くというものです。
ですので無理して起承転結で書く必要はないのです。
中学生の読書感想文に「あらすじ」は不要
また読書感想文でやりがちなのが「あらすじ」を書いてしまうという事です。
読書感想文を書く事が苦手な子どもほど、始めにあらすじを書こうとします。「この物語の主人公は〇〇です。その〇〇は、○歳で、〇〇という友達がいます。・・・・」という様に数百字に渡ってその物語のあらすじを書いていきます。
あらすじを書いておかないと読む人が困ってしまうのではという思いからでしょう。事細かにあらすじを書き、そういったもので決められた字数に達してしまいそうになります。
そして、最後に「私は〇〇だと思いました」と申し訳なさそうに自分の感想を付け加えて終わりになってしまいます。そういったものは物語の「要約」のようなものだと言えるでしょう。
私はこれまでたくさんの読書感想文を読み、評価し、審査もしてきました。読んでいた面白いものは、あらすじが書かれているようなものではなく、自分の思いが書かれているものです。ほとんどあらすじが書いていないものが多かったです。
中学生は「型」にあわせて読書感想文を書く
ではどんな風に文章を書き始めればいいのでしょうか?それは「文章の型」にあわせて埋めていくという方法です。
先ほどもお伝えしていますが「結論から書く」のが世界的には一般的です。有名な文章構成に「PREP法」という構成があります。
PREP法はビジネスでよく使われるのですが、簡潔でわかりやすい文章を書く事に向いている構成です。「PREP」とは書く内容の頭文字を合わせたものです。
P→【結論】Point
R→【理由】Reason
E→【具体例】Example
P→【結論】Point
この4つの内容を順番に書く事で、説得力のある文章が書けます。はじめに結論を書き、次にその理由を説明、具体例を出して、最後に結論をまた書くことでわかりやすい話の流れになっています。
ですので読書感想文もそういった型に合わせて書いていけばいいのです。
それではここからは実際の書き方について具体的に解説していきます。
中学生の読書感想文の具体的な書き
ここで提案する書き方は次のような方法です。
- 前書き
選んだ本の理由を書く - 結論
読み終わって自身の考えが変わった・感じた事を書く - 理由
結論の理由を内容のシーンなどを交えて書く。 - 具体例
主人公と重なった自身の体験、 - まとめ
改めて結論を書く。同じ内容を違う表現で書く。
本を読みながら感想文の「ネタ」をメモ
文章が書けない・書く事が思いつかない最大の理由は、書くためのネタが不足している事にあります。本は読んだけど具体的なことを覚えていないという状況です。
ですが「何を書いたらいいか」がわかれば簡単に読書感想文の型にはめることが出来ます。そのためには書き出す前に「ネタ」を集める事から始めます。
例えば、書くことを仕事にしている人たちは「ネタ集めの量」が素人とは全く違うのです。上手な文章とは「何を書くか」ということがはっきりしてから始めて書き出せるものです。
読書感想文における「本」の存在は、料理における「材料」のようなものだと言う事ができます。
読書感想文は、その素材を「どの様に調理するのか」がポイントです。料理においては、同じ素材からも様々な一皿が出来上がります。それと同様に同じ本からもそれぞれが感じること、考えることは違ってきます。
読みながら面白い部分をメモしてもいいですし、読み終わっていたらパラパラとめくりながら面白かったところを探してもいいです。
合わせて読みながら感じた事、思い出した自分自身の体験などもメモしましょう。このメモが集めればもう読書感想文は完成したも同然です。
具体例は未来志向で自分の思いを綴る
読書感想文においては「それまでの自分の経験などと本の内容を絡めて自分の思いを書く」という定番です。
「主人公は〇〇という行動をしていたが、自分も似た経験があった。その時は・・・」という書き方です。
そういった書き方も良いのですが、それに加え「未来志向で自分の思いを表現していく」という書き方もお勧めです。自分が進みたい方向と関連させて文を書いていくやり方です。
中学生の年代では、それぞれが自分の将来について考え出すようになります。小学校の低学年の子どもが「サッカー選手になりたい」「お花屋さんになりたい」などと言うものとは違うリアリティがあります。
そうやってリアルに思い悩むことをじっくりと考え、整理するような機会に読書感想文がなるのかもしれません。
中学生は、非常に慌ただしい毎日を送っています。部活に一生懸命取り組み、塾などの習い事にも取り組み、定期テストにも取り組みます。
そういった慌ただしい日々においては、どうしても自分の将来、人生について考えることも少なくなってしまいます。読書感想文が色々なことを考える良いきっかけになると良いのではないでしょうか。
中学生の読書感想文に正解は無い
小学生や中学生で読書感想文に対して苦手意識を抱いている人は少なくありません。そういった子どもがよく言う言葉は「何を書いて良いのか分からない」というものです。
私が学校現場でそういったことを言う子どもに対して伝えていたのは「読書感想文には正解は無い」ということです。
学校で取り組む勉強では「正解がある」ものが多いです。それも「正解が1つ」の場合がほとんどです。計算問題の答えは1つです。漢字や英単語などを書くものでも基本的には答えが1つです。
そういった「正解が1つしかない」勉強に慣れている子どもからすると読書感想文でも「正解は何か?」というようなことを探ろうとして、なかなかスムーズに取り組む事ができなくなってしまうケースがあります。なぜなら「読書感想文には答えはたくさんあり、1つの正解は無い」からです。
本を読んでどの様に感じるのかということは人によってそれぞれ違います。その人がそれまでに経験してきている事も違うからです。
「答えが1つではない」ということを意識する事ができれば、取り組む際の気持ちもあり方も少し違ったものになってきます。子ども達は試験などにおいて「間違えてしまったら…」「悪い点数だったら…」「合格できなかったら…」などの不安を常に抱いています。
読書感想文はそういった類のものとは違うのだということを伝えてあげるだけでも随分と子どもは気持ちが楽になるのだと思います。
もし親が手伝う場合は、べったりと関わるのではなく、ポイントだけを伝えていくというスタンスが良いでしょう。小学生と比べ親が関わってくることに対しネガティブな感情を抱きやすい年頃です。親としては、子どもが読書感想文で困っていたら、そういったことを意識し、ポイントだけ伝えるようにしていくと良いでしょう。