「肉やごはんは好きだけど野菜は全部ベーしてしまう」
「緑色の野菜は全部最後に残して食べさせるのに苦労する」
「毎回残されて私は一体何のためにごはんを作っているの…?」
毎日一生懸命ご飯を作っているのに、そのご飯を子どもが吐き出したりすると傷つきますよね。
特に子供の食べ物の好き嫌いは年配の方にはうるさく言われることも多く、「躾がなってない」と言われて辛い思いをしているお母さんも多いのではないでしょうか。
ですが子ども、特に2歳児の好き嫌いはごく自然なことであり、親の躾の問題だけではないのです。子どもが食べ物を好き嫌いするのは、私たち人間の脳や体の仕組みが大きく関わっています。
今回は2歳の頃ご飯を食べない時に、楽しく解決できるような“克服方法”を保育士の私からお話していきます。
おやつ・間食を取り過ぎで、ご飯を食べない
子どもがご飯を食べない理由としてまず思い浮かぶのが、間食の取り過ぎです。
食事からの摂取カロリーは低くても、お菓子やジュースなどの間食からカロリーを摂取していることがあります。
特に、朝ご飯をあまり食べないから午前中にお腹が空いて間食を取り、そのせいで昼食が食べられず、また3時の間食をたっぷり摂り、夜お腹が空いていない…といった悪循環を生み出しやすい問題でもあります。
子どもにとって間食はエネルギー摂取のために必要なものですが、そのせいでご飯が食べられなくなっては本末転倒です。
間食の内容や量もしっかりとコントロールし、初めに決めた量以上は与えないようにしましょう。
また、現代社会は飽食であると言われ、空腹を感じる機会そのものが減っている傾向にあります。たまには「お腹がペコペコな状態」を経験し、ご飯を食べられる喜びを感じましょう。
外遊び・運動量が少ないのでご飯を食べない
間食の量が多くなくても、運動量が少ないと当然お腹は空きません。
特に家の中での遊びが好きな子どもや、夏や冬など外で遊びづらい季節になるとご飯を食べなくなる子どもは、運動量が足りていない可能性があります。
また、「公園で食べるお弁当ならよく食べる」という場合も、いつもと違う雰囲気だから食べるのではなく、たくさん体を動かしてお腹が空いたから食べているのかもしれません。
体を動かすとご飯をよく食べるようになるだけでなく、体が丈夫になったり心の発達にも良い影響を与えたりします。
積極的に外へ遊びに行ったり、室内でできる運動あそびを取り入れたりして、運動量を増やしてみましょう。
食事環境が悪くて食べない事もある
テレビがつけっぱなしになっていたり、食卓テーブルの上が散らかっていたりすると、子どもは食事に集中できません。
遊び食べやながら食べの原因となり、結果的にご飯の量が少なくなってしまいます。
逆に、食事マナーに厳しすぎたり、食事中のおしゃべりが一切禁止されていたりするなど、緊張状態になってしまっても、子どもはご飯をあまり食べられないでしょう。
家族全員が明るく楽しい気持ちで、そしてリラックスした状態で食卓に向かえるよう、食事環境を整える必要があります。
おもちゃ・テレビへの興味で食事に集中できない
特に1~2歳までの子どもは、食事よりも遊びへの興味が大きいことがあります。「ご飯を食べるよりもおもちゃで遊ぶ方が楽しい!」という子どもが珍しくなく、すぐに食卓から降りて遊んでしまうこともあるでしょう。
この場合、食事の前にはおもちゃを片付けて見えない場所へ隠したり、食器の数を減らして遊び食べができないようにしたりすると、改善することがあります。
また、こういった問題は一過性のものなので、成長に従って自然と食べるようになることも多いです。
ある程度は仕方のないものとして受け入れながら、少しでも食事への興味が芽生えるような働きかけをしましょう。
ママに余裕があるときは、見た目がかわいい食事プレートを作ってみるのもおすすめです。
子どもが生まれもった個性・気質に合わせた環境を作る
間食の量や運動量、食事の内容や食事環境にも気を付けているのに子どもがご飯を食べない場合、それは子どもが生まれもった個性や気質なのかもしれません。
大人でも、たくさん食べる人もいれば少食の人もいます。子どもだって同じように、食に対する個性があって当然です。
つい育児本や幼児食の本を見て「基準量」を調べ、その通りに食べさせようとしてしまいますが、上手くいかないからといって自分や子どもを責める必要はありません。
なにかのタイミングで急に食べるようになるかもしれませんし、もしかしたらこのまま少食の大人になるのかもしれません。
それでも、「子どもが元気で健康なら大丈夫」という気持ちで見守りましょう。
あまりに少食だったり偏食だったりして、健康や成長に不安を感じる場合は、一人で抱え込まずに医師や保健師などへ相談してください。
2歳児がご飯食べない時!5つの克服作戦
とはいえ、子どもが好きなものばかりで毎日食事を作るわけにもいきませんし、親としては好き嫌いなく食べて欲しいのが本音かと思います。
でも、子どもに「食べなさい!」と言って食べさせるのは辛いですし、お子さんにもお母さんにも食事が辛いものになってしまうのであまりおすすめできません。
ここでは、保育士の私が野菜やレバーが嫌いだった娘に実践した好き嫌いを楽しくなくす“作戦”をいくつかご紹介したいと思います。
2歳児ご飯食べない時の対策【その1】「つまみ食いで誘惑」作戦
キッチンでご飯を作っていると子どもが「ちょうだい」と寄ってくることってありませんか?
お料理しながらのつまみ食いって大人でも美味しいですよね。
子どもにとってもつまみ食いは特別なようで、これを逆手にとって苦手な食べ物を克服できることもあります。
里帰り中に私の母が台所で料理をしている時、トコトコと寄って来た娘に母がきゅうりのサラダを口に放り込みました。娘はきゅうりが嫌いだったのですが、なんと何も言わず食べてくれたのです。
私も最初はお行儀が悪いからといってつまみ食いはさせていなかったのですが、それ以来、料理中に娘が寄ってくると野菜を与えるようになりました。結果、娘はかなりの野菜が食べられるようになったのです。
いつもと違う状況で食べるだけでも克服のきっかけになりますので、お子さんが料理を作っている最中に興味を持った時は、ぜひ試してみて頂ければと思います。
2歳児ご飯食べない時の対策【その2】「つい、うっかり間違えた!」作戦
見た目が苦手であったり、食べず嫌いがあったりというお子さんは、食べ物を見せないようにして一度子どもの口に入れてみるという方法も有効です。
私の娘は2歳頃までプチトマトが嫌いでした。そこで、ある時、思いつきで「◯◯ちゃん、あーんして。いちご入れてあげる」と言って、手の中にプチトマトを隠し娘の口にこっそり入れたんです。
“さすがに気付くかなぁ…”と思ったのですが「美味しかった」と娘はにっこり。その後、娘に「あ、お母さん間違ってプチトマト入れちゃった!」「でも◯◯ちゃん、プチトマト食べれたねー!」と言って種明かしをしました。
その後、なんと娘はプチトマトが平気で食べられるようになったんです。
えずいて吐いてしまうようなものは駄目ですが、見た目が苦手なものは試してみる価値があると思います。
2歳児ご飯食べない時の対策【その3】「大人だけのお楽しみ」作戦
離乳食の頃、娘はレバーが大嫌いでした。えずいて全てを吐き出してしまうほど駄目だったので、1、2度あげたきりで私はしばらく娘にレバーを与えるのを止めていました。
しかし、娘が2歳くらいになった時、レバーの唐揚げを作って私と主人が「美味しいねー!」と二人だけで食べていたことがありました。
すると娘がムーっと膨れて「○○もそれ欲しい。食べるー」といってきたのです。
「これ?大丈夫?」「前にベーしたやつだよ?」と聞いたのですが、
「食べるのー」と言ってきかないので試しに与えてみたところ、「おいしー」と食べてしまいました。
子どもも大人が美味しそうに食べているものは欲しくなるようです。どうしても食べないようなものは、あえて子どものお皿にはのせず、大人だけで美味しそうに食べる姿を見せてみてはいかがでしょうか。
2歳児ご飯食べない時の対策【その4】「一緒に作ってみよう」作戦
2歳頃になって手先が器用になってきた娘は、紙がちぎれるようになってきました。そこで私は「○○ちゃん、ちょっとレタスをちぎるの手伝ってくれる?」と料理に誘ってみました。
娘は嬉しそうにレタスと焼き海苔をちぎってくれました。そして、私がそこに醤油とごま油を加えて娘にスプーンを渡し、混ぜてサラダを作ってもらったのです。
するとレタスが大嫌いな娘がその日「これ、○○が作ったー」と嘘のようにレタスを美味しそうに食べてくれました。
嫌いな食べ物でも、自分が調理に関わることで興味が湧いたのだと思います。もし時間がある時は、お子さんと一緒に苦手な食材を調理してみるのもおすすめです。
2歳児ご飯食べない時の対策【その5】「特別な食材を買ってみた」作成
特別感のある食材を使ってみるのも、子どもの興味を引くことが出来ます。通販でいつもとは違ったお肉・野菜・卵などを買ってみるのが手軽です。この方法はシチュエーションが大事だったりします。
通販で買った食材は子どもと一緒に荷物を受け取ります。ここが大事です。
「なんだろうねぇ?」といいながら親子でワクワクしながら箱を開けてく見てください。そうすることで、子どもがその食材にとても興味を持ってくれます。
そのあとその食材でご飯を作ると「これ今日届いた卵と野菜なんだよぉ!」と言ってパクパクと野菜を食べてくれます。
さらに通販などの野菜は品種改良が進んでおり、昔の野菜に比べて圧倒的においしいです。
私自身もミニトマトは青臭く苦手意識がありましたが、こだわって作られたものは酸っぱさも抑えられよく食べるようになりました。もちろん子供はドレッシングつけずににパクパク食べてくれました。
生活全体を見直して食べる環境を作る
子どもがご飯を食べないと、つい食事の内容に問題を感じてしまいますが、運動量や間食の状態など、食事以外の部分に問題があるのかもしれません。食事だけでなく、生活全体を見渡して改善点がないか考えてみましょう。
また、すでに工夫や努力を重ねているママは、あまり頑張り過ぎず、あたたかい気持ちで見守るようにしてください。
ママの心が穏やかだと食事の雰囲気も優しくなり、自然とご飯が進むかもしれません。時には外食やレトルト食品にも頼りながら、毎日の子どもの食事と向き合いましょう。