子どもの学び・教育

子供のスマホが心配な理由は、親が「スマホとの距離感」という本質を理解していないから。

子どもの学び・教育
この記事を書いた人
鈴木 邦明さん【帝京平成大学 講師】

教育学を専門とする大学講師。22年間小学校の教員のご経験を活かし「小学校入学時に子どもが感じる不安と小一プロブレムの関連、小学校の学級経営のあり方」等の研究をされています。また自身での書籍出版や、All Aboutの「子育て・教育ガイド」、日経DUAL、リセマム 、ベネッセたまひよ、学研ママノートなど、執筆や取材協力など多岐にわたり、教育にまつわる情報を発信しています。

これからの社会を生きていく子ども達にとってスマホなどの機器はきっと生活と切っても切ることができない必需品なのだと思います。だからこそ、小さな頃からきちんとした付き合い方を身に付けていくことが大事になります。特に親がどのように子どもに関わっていくのかということがポイントです。

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子どもがこれから生きていく社会はどうなっていくのか?

今、10歳の子どもが平均寿命の年齢まで生きたとすると残りの人生は約70年です。70年後の2089年はどんな社会になっているのでしょうか?私には想像もつきません。
今から70年前は1949年(昭和24年)です。日本では第二次世界大戦が終わり、復興のために日本中でガムシャラになって働いていた頃です。明らかに今の社会とは大きく違っています。
先ほども書いたように、今の子ども達が生きていく未来の社会はどのようなものになっているのかは想像もできません。ただスマホなどを含め、電子機器が今以上に生活に密着したものになっていくことは確かでしょう。家庭生活においても、仕事においても、スマホやパソコンなどが発展していった機器と密接に関わりながらの暮らしでしょう。
どのような社会になっていったとしても、そういった機器との適切な関わり方を子どもの頃にしっかりと身につけておきたいものです。

子どもとスマホの関係

スマホなどがこれからの生活では非常に大切なものになってくることは先ほど書きました。大事になってくるのは「スマホとの距離感」です。
いくら便利な道具だと言っても、スマホとの距離が「近すぎる」ことは考えものです。
「四六時中S N Sをやっている。」
「夜中までオンラインゲームをやっている。」
「食事中もスマホが気になって、食べることに集中できない。」
「S N S上で友達と何かトラブルになっている。」
「スマホなどの影響で朝が起きられず、学校に遅刻することがある。」
上に書いたようなことになってくると健全な成長ができているとは言い難い状況です。

子どもがスマホなどとどの様に関わっていくのかという問題では、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブスの考え方がヒントになります。彼らは、世界レベルで電子機器やソフトなどを販売している会社のトップでした。そんな彼らが自分の子ども達がスマホなどに触れることには強く制限を掛けていたそうです。
例えば、ビル・ゲイツは14歳になるまで子どもにはスマホを持たせなかったそうです。14歳になり、スマホなどを持つ様になってからは「寝る前は禁止」、「食事の場には持ち込まない」ということを徹底していたそうです。
また、スティーブ・ジョブスは、アップルの最初のタブレットが店頭に出始めた頃、「うちの子どもたちは、まだ使ったことがないんだよ。家では、子どもたちがテクノロジーを使う時間を制限しているからね。」と周りに話していたそうです。

私が小学校で対応した子どものスマホのトラブルの実例

私が小学校の学級担任をしている時、やはりS N Sでトラブルになったケースに対応したことがあります。学年は6年生でした。学校の教員としては、この手のトラブルは対応がとても難しいです。
学校で起こる通常のトラブル、例えば、ある子どもが悪口を言った子どもに対し、手を出して殴ったというトラブルがあったとします。こういったことに対しては、悪口を言ったこと、悪口に対し手を出したことなどをそれぞれの子どもに確認し、自分自身の問題点について考えさせます。そして、今後、自分がどのように行動していけば良いのかを考えさせ、行動の変容を促します。
しかし、これがスマホなどを使ったトラブルの場合、学校はなかなか適切な指導ができません。小学校の場合、その場にスマホがないことがほとんどなので、証拠がない中で指導をしなければならなくなります。明確な事実を確認できない状態では、適切な指導はできません。スマホを学校に持ってきて確認する、夜などに親も含めて集まってもらって対応するなどの対処法がありますが、それらもなかなか難しいものです。

親としてどのように子どものスマホに関わっていくのか?

親として、自分の子どもとスマホに対し、どのように関わっていくのかということが大事になります。端的に表現すれば「近すぎず、遠すぎず」という距離感が大切です。

「近すぎず」は、先ほども書いたようにスマホが原因となって、様々なトラブルが発生してしまわないような距離感です。年齢によってその距離感は少し違ってきます。小学生であれば、「夜間は自分の部屋に持ち込まず、親の見える場所(例えば、リビングの決まった場所など)に置いておく」ということがルールとして良いかもしれません。
学年が上がるに従って少しずつルールを見直していくことが望まれます。親が全てを決めてしまうのではなく、子どもの言いなりになるのではなく、親と子どもが話し合いながらその時期に適切なルールを作っていくことが大切です。
この「適切なルールを作る」ことが、「適切な距離感を保つ」ことにつながっていくでしょう。

また、「遠すぎず」ということも大事なことです。これからも社会は、スマホなどとの関わり無しに生活していくことは難しいことです。ずっとスマホなどに触れさせないままにするということは現実的ではないでしょう。スマホやネットの使い方や危険性を知らないままに大きくなってしまうと、どこかの時点で逆に大きなトラブルに巻き込まれてしまうようなこともあり得ます。
スマホを含めたネット社会において適切な行動をとるにはどうしたら良いのかということを親子で考えていくことが望ましいです。子どもの年齢に応じて、親子でどういった形でスマホと関わっていくことが望ましいのかということを考えていく親子でありたいものです。

今回、子どもがスマホとどのように関わっていくことが望ましいのかということについてまとめました。「近すぎず、遠すぎず」という距離感を上手に保っていく親のバランス感覚が大切でしょう。

▼子供とスマートフォンの付き合い方

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