子どもの反抗期は、本当に切実な悩みを抱える時期です。過ぎてしまえば「そんな時期もあったな」と思う方もいるし、子育ての先輩からはそのようにアドバイスされることも少なくありません。
しかし、今反抗期の子どもと対峙している親にとっては本当に今すぐ何かできることはないのか……という焦りにも似た感覚をもつのではないでしょうか。
この記事では、子どもの反抗期に親がどうしたらいいのかわからなくなっている方に向けてのお話をしたいと思います。
子どもの反抗期、どうしたらいいかわからないときに考えるべきことは?
子どもが反抗期になり、どう接していいかわからなかったり、衝突することに疲れてしまったりする場合、少しクールダウンして考えたいことがいくつかあります。
反抗期ってそもそも何だろう?
反抗期という言葉だけを切り取ると、ケンカになる、家庭の雰囲気が悪くなるといったような「子どものせいで親が大変になる」という構図が見えてきます。
しかし、本当に子どもに親が苦しめられているわけではありません。
親だけが苦しいわけではない
子どもが言うことを聞かない、反抗的な態度で歯向かってくるという現状があると、どうしても「親が子どもに苦しめられている」という感覚になってしまうことがあります。
特に「子どもに言うことを聞かせなくては」「親である自分がこの子をどうにかしなければ」という考え方になってしまうと、親の自分だけがつらいという考えになってしまい、親子のすれ違いが起こります。
しかし、子どもにとって反抗期というのは「何に対してもイライラする」「理由もないのにムカつく」というような言葉にできない、説明できない感覚であることが多いです。
もちろん、幼いころから子どもにとって最適な環境や関係を築けている場合や、その子どもの個性によっては反抗期特有の振舞いや衝動が出なかったり少なかったりすることもあります。
ただ、現状「どうしたらいいかわからない」という状況である限り、子どももおそらく理由のわからないイライラや自分の衝動的なものに苦しんでいるという事実を受け入れたいところです。
大人でも、イライラしている状態が心地いいと感じることはないはず。親だけが苦しい思いをしているわけではないということも覚えておく必要があります。
親だけががまんすべきでもない
現代では叱らない子育てや、子どもの意思を尊重する考え方が広まりつつあります。そこで、親が何でもかんでも一方的に我慢したり、イライラや不満を抱え込んでしまったりするケースも少なくありません。
親もひとりの人間であり、子どもを育てるという大きな責務を果たしていることは事実です。
だからこそ、腹が立ったときは怒ってもいいし、不満を口にすることがあってもいいと私は考えています。
押さえつけることや干渉しすぎることはよくありませんが、何でもかんでも笑顔で対応すべきという考えは、親自身のメンタルを壊してしまうことになりかねません。
また、いくら反抗期であっても「人に対して言ってはいけないこと」「やってはいけないこと」をしっかり親が表現して、人の気持ちを理解するための経験に繋げていくこともまた必要だと感じます。
反抗期の子どもの心を踏まえた上で、親はどうしたらいいのか?
反抗期の子どもに対して親ができること、それはたったひとつしかありません。それは「待つこと」です。そんなことでは何の解決にもならないように感じる方も多いでしょう。
しかし、正常な成長の証である反抗期に対して親が「自分がなんとかしなければいけない」と思う必要はないのです。
親が子どもの反抗期をコントロールしようと思うと、感情的になったり、衝突が激しくなったりするばかりです。
なるべく親から子どもに対し、自分から言動を起こさないことがとても大事になります。
一見冷たいように思うかもしれませんし、親子の間に溝ができてしまったように感じるかもしれません。
しかし、それこそが子離れの瞬間であることは確かだと思います。
子どもは、本当に困ったり親の助けが必要になったりしたら、向こうから行動を起こしてきます。そのときだけ、普通にいつも通り対処してあげれば十分なのです。
「自分がこの子をどうにかしなければ」「自分が何をすれば、この子と以前のように接することができるだろう」と思うのは、子どもの成長を妨げることになってしまうのです。
昔のように親子で他愛もない掛け合いをしたいと思ってしまうのが、親心かもしれません。
しかし、子どもはいつまでも子どものままではなく、大人になりかけています。以前のように接することができなくなるのは、当たり前なのですね。
反抗期の子どもには「適度に距離感をとる」というたったひとつのことしかできない
反抗期の子どもに親がしてあげられることは「求めてきたことに応える」だけです。子どもが要求していないことに対して口や手を出すと、子どもはさらに親を遠ざけようとしてしまいます。
それはとってもさみしいですし、子どもの大きな成長に気づいたときは残念な気持ちになることもあるでしょう。
しかし、いつまでも以前のような可愛い子どものままであることが本当に我が子にとっていいことなのかをもう一度考えてみてほしいです。
小さなころのように、成長したことを一緒に喜べるのはせいぜい小学校中学年くらいまでかもしれません。
少し子どもから距離をとって、親御さん自身がもっと自分の時間や楽しみをもってみることも大事なのではないでしょうか。