子どもの学び・教育

何でも母親のせいにする子どもに怒り心頭?親子で可視化したい3つのこと

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この記事を書いた人
夏野 新さん【心理カウンセラー】

虐待防止や家庭環境についての専門家。心理カウンセラーの資格を活かしながら「妊娠、出産、育児」といった女性向けのサポートをするための情報を発信しています。2児の子どもを育てながら、2019年には自身の書籍「世界が変わる! アダルトチルドレンの自己観測」を出版し、悩みを抱えるご家庭への問題解決に尽力しています。

子どもは、失敗してしまったとき、物事がうまくいかなかったりしたとき、なんでもかんでも母親のせいにすることがあります。

母親としては、こんなにも毎日一生懸命育てて、何度何度も同じことを教え、できる限りのことをやっているのに、どうして自分が悪いことにされてしまうのだろう?何でもかんでも親のせいにしないでほしい……と気が滅入ってしまいます。

まだまだ成長過程なので、多少は親のせいにしたり言い訳をしたりすることがあっても不自然ではありません。しかし、度を越えてくると親の忍耐力も限界に達するものです。「子どもが自分の課題に向き合えないのでは?」と不安になることもあるでしょう。

この記事では、なんでも母親のせいにして言い訳をする子どもへの理解を深め、向き合い方と対処法をお伝えします。

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母親のせいにするのは、不安やプレッシャーなどの表れ?

そもそも、子どもが自分の失敗や至らなさ、不注意などを母親のせいにするのは、母親を敵視しているわけでも嫌いなわけでもありません。母親は、もっとも距離感が近く「甘えやすい存在」だということです。

自分の失敗やミスを誰かのせいにする「他責思考」は、自分が責められたり批判されたりするのをおそれている心理の現れです。

・人一倍不安を感じやすい
・プレッシャーを感じやすい
・過剰な責任感の強さ
・完璧主義

他責思考が強い子どもは、このような性格の特徴を持っていることがあります。

表面的に見れば、何でも母親や他人のせいにするので、わがままで横暴なように見えてしまいます。しかし、本人も気づいていない部分でひといちばい強い不安やプレッシャーを感じている可能性があるのです。

人から批判されたり責められたりする怖さ、プレッシャーや焦りなどを、いちばん身近な母親に向けている状態であると考えてみてください。

「人のせいにするな」と責める前に、まずここに気づいてあげることが重要です。

なんでも母親のせいにする子どもへの、適切な対処法とは?

他責的な思考は不安の裏返しであるとはいえ、なんとか改善していきたいと思うのが親心です。このような課題を抱える子どもにとって、周囲の大人や親がどのような接し方をしていくかは非常に重要となります。

母親のせいにしたことには触れない

まず、子どもが母親のせいにして言い逃れしようとしても、そのことについては触れないようにぐっとこらえましょう。子どもは、責められたくない、失敗をとがめられたくないという気持ちと葛藤しているので、そこでさらに「人のせいにしてはいけない」と批判的意見を出すと、さらに追い打ちをかけてしまうことになります。

ここは大人の忍耐力でぐっとこらえ、そのことに反応せず受け流しましょう。「誰が悪いのか?」という別の言い争いに発展してしまっては意味がない、ということを念頭に置いておけるとよいです。

事実・感情・考えたことの3つを分ける練習

まず、不安やプレッシャーからなんでも母親のせいにしている状態は「事実」と「感情」と「考えたこと」がすべて混同してしまっている状態です。

たとえば「今日は体操服を忘れて学校へ行ってしまった。昨日の夜お母さんが声をかけてくれなかったせいだ!」という子どもの言い分があったとします。

このとき子どもは、先生に注意されて悲しい、自分だけ体操着を忘れて恥ずかしいなどの「不快な感情」から逃れるために「お母さんが声をかけてくれなかったから」という理由を作り出し、自分の失敗を正当化します。

誰かのせいにすることで「自分が失敗した」という事実をなかったことにしたり「誰の責任か?」という論点にすり替えたりしている状態です。

本人は無自覚でやっているので、まずは「事実」と「感情」と「考えたこと」を分ける練習をやってみてほしいのです。

事実:自分が体操着を忘れてしまった(失敗やミス)
感情:失敗して恥ずかしかった、嫌な気持ちになった
考え:お母さんが声をかけてくれれば忘れなかったかもしれない
お母さんが用意してくれれば自分は失敗しなくて済んだかもしれない など

お互いが冷静になれるとき、ゆっくり話ができるときだけでもいいので、紙に書き出し、整理しながら可視化してみるとよいでしょう。

親自身の声掛けや、考え方を見直す

子どもが、自分の失敗やミスを認められないのは、わたしたち親や先生などの「声掛け」の結果である可能性も否定できません。失敗をすぐに責めてしまったり、強い言葉で叱ってしまったりするのはよくあることです。

このような体験の積み重ねで、批判を必要以上におそれ、自分を守ろうとする気持ちが強くなってしまうこともあります。

決して自分自身の子育てを後悔したり、過剰に責めたりする必要はありません。しかし、これからはどう接していけばいいのか?どんな声掛けをすればいいか?という、先を見据える視点を持って改善をしていきましょう。

なんでも母親のせいにするのは、子どもの心のサインでもある

子どもがなんでも母親のせいにする理由と、その対処法をお話しました。何でも母親のせいにされると、親としては腹が立ったり、うんざりしたりすることもあるはず。このような母親自身の気持ちは、家族や友人、カウンセラーなどにうまく吐き出し、溜め込まないようにするのも大切です。

しかし、子ども自身も分かっていない心の裏側には、何かしらのサインが隠れているかもしれません。問題行動や気になる言動の奥には、必ず理由があります。注目する視点を変えると、新しい発見や対処法が自ずと見えてくるでしょう。

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