子どもの学び・教育

子供が楽しくお手伝いをするポイントは「感謝」と「ゲーミフィケーション教育」

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この記事を書いた人
いしみほ さん【育児コラムライター】

社会福祉学を専攻し、保育士・幼稚園教諭の資格を持つ育児コラムライター。社会福祉学部では「家庭環境ごとの子どもへの支援の必要性」や「北欧各国の福祉と教育」を学んだ知見を活かしコラムを執筆。2人のお子さんを育てながら、執筆の他にハンドメイド作家(タティングレース、イヤリングなど)としても活動中。

「子供に何かお手伝いをお願いしよう思うけど、長続きするポイントってある?」
「お手伝いをしたらお小遣いはやっぱり必要なの?」
「お手伝いを頼んでもなかなか長続きしないけどどうしたらいいの?」

子供にとって自立に繋がるお手伝いは多くのメリットがある一方で、お小遣いの有無や、長続きさせるためにどうしたら良いかなどお母さんを悩ませる要素は多いものです。

今回は「子供がお手伝いをする際のポイント」「上手なルールや仕組みづくり」について保育士の私からお話していきたいと思います。

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子供に楽しくお手伝いを続けてもらうためのポイントは?

子供に「お手伝いをさせよう」と思い立ってもスムーズに取り組んでくれず悩んでいるお母さんは多いと思います。

実は子供にお手伝いをしてもらうには大人がいくつか注意しなければいけないポイントがあります。

まずは「子供に楽しくお手伝いを続けてもらうためのポイント」を押さえていきましょう。

お手伝いのポイント(1) 子供に最初から完成度を求めない

子供にお手伝いをしてもらう際にしっかりしたお母さんほどやってしまいがちなのがお手伝いに「完成度」を求めてしまうことです。

お手伝いを頼んだものの子供のやり方が気になって、周りをウロウロして観察し、横からつい口を出してしまうというお母さんもいるでしょう。

しかし、最初から子供に完璧を求めるのはNGです。それは子供のやる気や自主性を思いきり削いでしまうからです。

例えば、私は小さい頃、母の力になりたくて洗濯物を畳むのを手伝おうとしていたのですが、母は「それじゃ駄目でしょ」「畳み方が雑」と毎回批判してくる人でした。

あまりにもそれが辛くなった私は小学校に上がってからついに「もう洗濯物は絶対手伝わない」と心に決めてしまったのです。

一生懸命やっていても横から口を出されてしまうと子供は一気にやる気を失ってしまいます。家事に完成度を求めたくなる気持ちは分かりますが、子供なりに頑張ろうとしている時は口を出さず、長い目で見守るようにしましょう。

お手伝いのポイント(2) 子供を褒めるではなく「感謝の気持ち」を伝える

子供がお手伝いをしてくれると「すごいね」と思わず褒めたくなるような場面も出てきます。

しかし、褒めるという行為は使い方を間違えると子供の自主性を奪ってしまうので注意が必要です。

褒めるという手段を常用してしまうと「褒めてもらえないならやらない」ということが起こってしまうからです。

例えば、幼稚園などの現場でもよくあるのですが、トイレのスリッパをキレイに揃えてくれた子に対して、担任の先生が「○○くん、すごいね」「○○ちゃん、えらいね」というと、他の子供達もこぞってスリッパを並べるようになります。

そして子供は「スリッパ並べたよ、見て!」とアピールするようになるのです。

しかし、大切なことは「スリッパを揃えておけばと次に使う誰かが気持ちいいから行動する」という他者への貢献です。

「スリッパを揃えたことを褒めてもらいたいから行動する」というのはスリッパを揃えること自体は同じですが、褒めてもらうことが目的になっているため本来の目的とずれています。

お手伝いもこれと同じです。褒められるためにやるお手伝いは指示待ちの状態で自主性がありません。

お手伝いで学びたいのは他者への貢献です。ちょっとしたことですが、お手伝いをしてくれた時は褒めるのではなく「ありがとう」「とても助かったよ」という感謝の気持ちを意識的に伝えるようにしましょう。

お手伝いのポイント(3) 「ゲーミフィケーション」を取り入れる

ゲーミフィケーションとはとても難しい言葉に聞こえますが、簡単に言うと「ゲームの要素を取り入れる」ということです。

目の前にある課題に取り組めばどのような報酬が得られるのか、明確なルールを決めることで課題楽しくこなせるように工夫することを意味します。

このゲーミフィケーションを上手に取り入れると、子供は意欲的にお手伝いをするようになるのでとてもおすすめです。

例えば、お手伝いの項目をポイント制にし、ポイントが集まったら一定の報酬を獲得できるようにすると子供は楽しみながらお手伝いをすることができます。

<ポイント制のお手伝い例>

  • 洗濯物を畳む 3ポイント
  • ゴミ出し 5ポイント
  • お皿洗い  5ポイント
  • 玄関を掃除 5ポイント

<ポイントでの報酬例>

  • 夕飯のメニューのリクエスト 30ポイント
  • 好きなジュースを買う 50ポイント
  • 100円のガチャガチャをする 50ポイント
  • 遊園地やプールに行く 300ポイント

この場合、獲得したポイントは必ず子供が目に見える形で残しておくようにします。

残し方はスタンプやシール、ポイントカードなどの他に、小学生なら家の中だけで使える「通貨」を作ると集計の際に算数の勉強になるおすすめです。

また、報酬だけでなく、ポイントを減額する項目についてもルールを設けておくとさらにゲーム感覚が強まります。

「宿題を忘れたら-50ポイント」「兄弟喧嘩をしたら-100ポイント」といった項目を作ると、お母さんが怒る回数を減らしつつ、子供の自主性も高まります。

ただし、報酬や減額については親が一方的に作成するのではなく、必ず子供の意見を取り入れて設定するようにしましょう。

面倒に感じるかもしれませんが、子供のモチベーションを維持するためにも大切なことですので親子でよく話し合って決めるようにして下さいね。

子供がお手伝いをやってくれたら「お小遣い」は必要?

「お手伝いをしたら子供にお金をあげた方がいいの?」と悩むお母さんもいると思います。結論から言うと「お金という形にこだわらなくてもいい」というのが保育士の私の考えです。

例えば、2~5歳くらいのお子さんならノートにスタンプを押したり、シールを貼ったりすることでも十分に満足してくれます。先ほどのゲーミフィケーションの例ように「スタンプが10個貯まったら好きなおやつを買う」などでもいいでしょう。

また、お母さんからの「ありがとう」の言葉と笑顔があれば、報酬がなくても子供は基本的には満足してくれます。お金という形でなくても子供が喜んでくれることなら無理にお金や特別な物を用意する必要はありません。

お金について学ばせたいならお小遣いを渡すのもアリ

また、家庭の教育方針として「お金について早くから学ばせたい」と考えるなら、報酬はお金でもOKです。

意外なことですが、定額制でお小遣いを与えるという考えは日本独特のもので、ヨーロッパやアメリカでは「No-work-No-pay」という考え方が一般的です。家の手伝いをしてお金をもらうというのは国によってはとてもポピュラーなことなのです。

ちなみに、海外では幼い頃から地元のフリーマーケットなど売り買いを行ったり、お祭りの際に自分で食べ物を家の前で売ったりもします。「働いた対価としてお金を得る」ということが根本的な考えとして強いのです。

日本ではこのような機会は一般的に少ないものです。そういったフォローのために家庭でお手伝いを仕事として捉え、対価としてお金を与えるのは悪いことではありません。

ただし、お小遣いを渡す際の線引きはしっかりとしておくことが重要です。

「自分のおもちゃを片付けてもそれは当たり前のことであって、お小遣いにはならない」など、しっかりとしたルール作りをし「何となくお小遣いをあげる」という中途半端なことがないようにしましょう。

子供のお手伝いはポイントを押さえゲーミフィケーションをプラス

いかがでしたか。今回は子供がお手伝いを楽しく継続するためのポイントについてお話しました。

家族の一員として役割を果たすお手伝いは、ポイントを押さえ、ゲーミフィケーションを取り入れて、子供が楽しめるルールと仕組みを作ることが大切です。

子供にお手伝いをさせると「私がやった方が早い!」と思うことはあるとは思いますが、それではいつまで経ってもお母さんの負担は減りませんし、子供達の自立にも繋がりません。

手を出したくなる衝動をグッと堪えて「ありがとう」の言葉を忘れずに、お手伝いを通して親子でコミュニケーションをとっていって下さいね。

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