子供の気持ちがわからない、自分の子なのに何を求めているのかわからない。あなたはそんな、どうしようもない袋小路に迷い込んでいませんか?
「母親は、子供の目を見ただけで何を感じているかわかる」
「子供の心をいちばんわかっているのは、母親だけ」
そんな、子育て神話に苦しめられているのではないでしょうか。決して母親だからという理由だけで子供の心がわかるわけではありません。あなたの心と、子供の行動が見えない糸で繋がっているような幻想は捨てていいのです。
この記事では、子供の求めていることがわからない人、子供への接し方がわからない人に向けて、その原因と解決策を深く考えていきます。
自分の子供なのに…気持ちや育て方がわからない?
子供には、それぞれに持って生まれた「気質」があります。気質とは、この場合先天的・遺伝的な感情の傾向のことをいいます。
持って生まれた気質によって、子供の育てやすさは大きく変わってきます。
ここで、具体的な例を出します。
子供には直感的に感じる欲求や感情があります。
・怖い
・恥ずかしい
・混乱している
・甘えたい
・寂しい
・不快
このような、感情や感覚を、大人の場合素直に言葉にしたり、回避する行動をとったりしてコントロールします。しかし、子供はそれができません。
特にまだ言葉の話せない幼児や、頭に浮かんだことを言葉にする能力が未熟な小学生くらいまでは、大人のようにありのままの感情や感覚を言葉にすることはとても難しいのです。
しかし子供は必死に自分の感情や欲求を表に出そうとします。すると、結果的に親を困らせたり、悩ませたりする行動につながってしまうのです。
・怒る
・泣く
・叫ぶ
・叩いたり噛んだりする
・いたずらをする
・言うことを聞かない
このような行動は、何かしらの感情の裏返しです。ただ、その表にあるものは忙しい日々の中や、大人の固定観念によって非常に見えにくくなっているのが難しいところなのです。
子供の心がわからないとき、子供の未熟さに気づいて欲しい
大人の感覚で子供に接していると、どうしても「なぜそんな行動に出るの?」「もっと上手にできないの?」と憤りを感じてしまいがち。
例えば、多少の意思疎通ができるようになった2~3歳ごろは、子供の成長を感じると共に、子供が気持ちをそのまま言葉に出来ているように感じることもあるでしょう。
しかし、実際は親が見ているよりも、子供は未熟です。大人だって、立派に見える人の心がとても未熟で幼いことや、自分には理解できない思考をしている場合があると思います。
それと同じで、子供はあなたが思っているよりもずっとずっと、感情表現が未熟で下手です。それに対して、感じているものや感覚の刺激はとても強くて複雑。大人がいくら子供に言葉で説明しようと頑張り、理屈で説明しようとしても理解できないのは当然のことなのです。
子供の心がわからないときは、一度当たり前を壊してみて!
子供が言うことを聞かない、思い通りにならないとき「なんで!」「もう嫌だ!」という怒りの感情がでてきます。その怒りが、子供に感情的になることや、子育てをやめてしまいとまで思う悩みの根本です。その根本原因を解消するには、まずは大人の当たり前や、自分にとっての当たり前を崩していくことが必要です。
大人の当たり前と、子供の当たり前の差
大人の当たり前と、子供の当たり前は違います。以前の項目でもお話したように、大人が当たり前のように表現できる気持ちや、当てはまる言葉を子供はほとんど知りません。それをまず理解しましょう。また、あなたとお子さんは血が綱がっているとはいえ、まったく別の人間です。感じ方や好き嫌い、感覚の敏感度合いもすべてが違います。子供の気持ちが手に取るようにわかるという人は、お互いが似た気質を持っており、先天的な共通点が多いのかもしれません。しかし、正反対の気質を持っていたり、子供が極端に敏感な気質を持っていたりして、それを全身全霊で表現している場合もたくさんあります。
子供の気質や好き嫌い、どのくらい理解していますか?
子供は、自分の感情や好き嫌いを何かしらのカタチで表しています。そのパターンをどの程度理解できているでしょうか。お子さんの好き嫌いをどのくらい把握していますか?
「この子はちょっと気に要らないことがあるとすぐに泣く」
「この子はわがままでがまんが足りない」
そう思ってしまう気持ちはよくわかりますが、その傾向をどのくらい丁寧に分析しているでしょうか。
子供の好き嫌いやこだわりをよく見て、統計を取ることは根気が要ります。しかし、それは子どもだけでなく「わからない」という悩みを抱える自分をも救うことになるのです。
泣いたり癇癪を起したりしたとき、強く叱っていませんか?
「この気持ちどう表現したらいいのだろう?」そんな気持ちになったことは、大人であるあなたにもあるはずです。しかし、大人はそれを理性によって制御しています。でも、ぽろっと弱音を吐いたときや、感情を吐露させてしまったとき、誰かがそれを黙ってうなずいて、受け入れてくれたら、すごく嬉しいと思いませんか?
子供も、この時の感覚と同じです。泣いたり癇癪を起したり、困った行動をしたときに「ダメでしょ!」「何やってんの!」と強い口調で叱ったり咎めるばかりでは、子供の心が全く満たされず、感情コントロール機能を失います。そして、その悪循環であなたも余計につらくなってしまうのです。
子供のこころがわからないとき、どう対処する?
自分の子供のことが分からなくなったときは、以下のことに注意して接してみてください。一度にすべて実践するのは難しいでしょう。少しずつでも、1つずつでもいいので、心掛けるようにしてみましょう。
「だって」「だから」を「そっか」「そうなんだ」に変える
子供が親に感情をぶつけてきたとき、とっさに「だって」「だから」の言葉を使って答えていませんか?
「だってそんなことしたら〇〇でしょ!」
「だから〇〇だって言ってるでしょ!」
これは、全て反論の言葉であり、否定の言葉です。理屈で説明しようとすればするほど、この言葉がでてきやすいもの。しかし、子供が感情的になっているときの頭の中は混乱状態ともいえるのです。その混乱状態の中で「だって!」「だから!」と言葉でねじ伏せようとしても、何も消化されません。条件反射のように出てしまう言葉は、違う言葉に置き換えましょう。
「そっか。」「そうだね。」「そうなんだね。」
このように、冒頭だけでも肯定の言葉に変えます。子供の気持ちをすべて理解しなくてもいいですし、すべて理解できることはないかもしれません。それでも「分からせよう」「理解させよう」と必死になるのは逆効果です。
スキンシップで心が満たされると落ち着くことも
子供の心がわからなくて困ったら、何も言わず抱きしめてあげてください。
子供の気持ちを全て理解することはできません。生まれ持った気質も、感受性も全て違う別の人間です。理解することが正しいこととは言い切れないのです。
抱きしめるという行為は、単純なようで実は奥深いもの。スキンシップをとると、人の脳内には「オキシトシン」という幸福ホルモンが分泌されます。オキシトシンは、抱きしめた人も、抱きしめられた人にも分泌されます。わからない!もう無理!とおもったら、子供をグッと引き寄せて抱きしめましょう。そんな状況で子供を抱きしめる気持ちになれないと思うかもしれませんが、そこはグッとこらえてやってみてください。不思議と、あなたの心も落ち着いて、何に怒っていたのか忘れてもいいや、という気持ちになれることがあるのです。
子供によっては抱きしめても逃げようとしたり、嫌がったりすることもあるでしょう。それでも、決して言葉で言い負かそうとしてはいけないということを心の隅に置いておきましょう。
子供の様子と自分の気持ちを、紙に書いて可視化する
子供の心や、拘り方、好き嫌いなどがわからないときは、子供の様子や自分の気持ちを紙に書いて整理ましょう。紙に書くという行為は、感情の浄化効果が大きいもの。
ありのままの言葉を紙に書くのは心理療法にも使われる方法で、誰かに話すのと同じくらいの力をもっています。
チラシの裏でも構いませんし、専用のノートでもいいです。SNSのつぶやきでもかまいません。子供のことや、自分のことを一度文に起こすことで、今まで見えなかったものが見え、思考の新しい回路ができて解決方法がわかることもあるのです。
つらいときは、必ず誰かに預けてください
子供の心がわからないとき、あなたの心が完全に疲れ切って、折れかかっているかもしれません。本当につらいときは、誰かに預けてください。頼れる身内や友人がいると心強いですが、そのような環境が整わないこともありますよね。
そんな時は、行政のファミリーサポートや、保育園のショートステイ、民間のシッターサービスをぜひ使ってください。このようなサービスや取り組みは、あなたのそのつらいときのためにあるのです。
・こんなことで子供と離れてはいけない
・自分の休息のために子供にさみしい思いをさせてはいけない
・子供と離れたいと思うなんて母親失格
そんな風に思う必要は1ミリもありません。誰かに頭を下げて子供を預けることは、子供と自分を守るための代償であり、立派な選択です。
子供の育て方がわからないときこそ、理屈で考えるのをやめよう!
子育ては一筋縄ではいきません。多くの母親が、子供との関係や自分のネガティブな感情と戦っています。でも、日常生活ではなかなかこんな愚痴や弱音を吐けないもの。
それは「理想の母親」でありたいという思いや「強い人間」でいたいという気持ちから、なかなか吐き出せないからです。
子供の気持ちがわからないときもあります。子供の心に寄り添うのが苦手な人も、たくさんいます。あなただけが特別なわけでも、劣っているわけでもない。ただし「この子は難しい子」と決めつけてあきらめず、子供の行動と心、そして自分の心に向き合い続けてほしいです。
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