子どもの健康・発達

HSCという「人一倍敏感な気質」は欠点ではなく、子供の才能。育てにくい!を解決する方法

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この記事を書いた人
夏野 新さん【心理カウンセラー】

虐待防止や家庭環境についての専門家。心理カウンセラーの資格を活かしながら「妊娠、出産、育児」といった女性向けのサポートをするための情報を発信しています。2児の子どもを育てながら、2019年には自身の書籍「世界が変わる! アダルトチルドレンの自己観測」を出版し、悩みを抱えるご家庭への問題解決に尽力しています。

些細なことで癇癪を起したり、泣いたり騒いだりする子供。でも、集団生活は普通にできるし、いわゆる「ADHD」や「自閉症」などとは違う気がする。
でも、親としては育てにくさを感じていて、どう対応したらよいかわからないと悩んでいませんか?

子供の特徴や行動に、このような悩みを抱えている人は少なくありません。もしかしたら、その子供は繊細な感性や、きめ細やかな脳の特性を持っているかもしれません。

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一見普通の子、発達障害とも違う……?HSCという気質

HSCとは、ハイリー・センシティブ・チャイルドの略称で、先天的な気質です。この気質を持っているのは、5人に1人と決して珍しくはありません。幼稚園や学校のクラスが30人だとすると、6人くらいはいるという計算になります。

HSCへの認知度は徐々に高まっていますが、まだまだ知らない人が多い現状があります。この記事ではHSCとはどんな子供なのか、詳しく解説します。

HSCって何?

HSCは、感性が非常に豊かで繊細です。様々な刺激に敏感に反応します。脳の情報処理の仕方が、普通の人とは少し違っているのですが、決して欠点ではなく「長所」としてとらえるべきもの。普通の人よりも多くの刺激や情報を瞬時に察知するので、子供の場合特に混乱したり、癇癪を起したりすることがあるのです。

HSCの特徴とは?

HSCの気質を持つ子供には、以下の様な特徴があります。

・すぐにびっくりする
・環境の変化が苦手
・些細なことによく気が付く
・強く叱られたり注意されたりすると委縮する
・場の空気を読む
・競争させられると本領発揮できない
・映画やアニメ、本などを読んで感動しやすい
・怖い描写の本屋アニメなどを嫌がる

ここであげた特徴はほんの一部ですが、情報や刺激を素早く察知するために、得意なことも多いですが、その反面苦手なことも多くなります。
先天的な気質であるため、HSCが大人になるとHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)となります。遺伝的要素もあり、親御さん自身が空気を読むのが得意だったり、感性が豊かで、ささいなことに気づきやすい場合、子供もHSCの可能性が高くなります。

ただ、これは発達障害や病気とは違います。気質であることを理解しましょう。病院で検査や診断をする場合もありますが、必須ではありません。親子で「HSCかもしれない」と思ったら、それが診断になると考えましょう。

HSC特有の悩み

HSCはささいな刺激や情報を敏感にキャッチするので、他人から見ると何でもないことを、重く受け止めたり、嫌がったりすることがあります。

対人間や集団生活で空気を読むことができるのに対し、脳が情報過多になるため疲れやすく、ストレスも溜めやすくなります。外のストレスを家で発散しようとするため、わがままを言ったり、感情的になることも。
また、五感の感覚も過敏なので、好き嫌いが激しい・大きな音が苦手・服の素材やタグ、靴の締め付け具合などにもこだわる傾向があります。

共感力に優れているので、他人が先生に叱られているのを見るだけで自分も落ち込んでしまったり、いじめられている子を見て同じように苦しい気持ちになったりします。

感覚過敏の現れ方や、感受性の強さの度合いも異なり、性格的個人差が大きいことも特徴の一つです。

子供がHSCかもしれないと思ったら?

もしかして、うちの子供もHSCかも?そう思ったら、まずは以下のことをしっかりと頭に入れて、柔軟に対応していきましょう。HSCはあくまでも脳の特性が普通と異なるだけで、欠点でもハンディでもないことを理解してくださいね。

HSCの気質を理解する

最近では、HSCやHSPに関する「敏感さ」についての書籍やメディア記事も増えてきています。HSCといっても、その特徴の表れ方やバランスは、その子供によって違います。
HSCだからこう、HSCなのになぜこうじゃないの?という枠組みに当てはめて考えるのは短絡的です。
HSCという気質の基本的な特徴を理解して「自分の子供の場合はどの部分が過敏なのかな?」という視点をもつことが大事です。

しっかり休ませ、メンタルケアを心掛ける

HSPは常に脳の中で様々な情報や刺激をキャッチして、処理を行っています。そのため、普通の人よりも疲れやすくストレスを溜めやすい傾向にあります。

普通よりも疲労感を覚えやすい、ということを常に意識し、しっかりと休ませ、リラックスさせてあげる工夫をしていきましょう。

他の子供と比較しない

HSCの傾向のある子供を、他の子供と比較するのはいちばんやってはいけないことです。
「あの子はあんなに活発に遊んでいるのに、うちの子は…」
「こんなことで悩んでいる子は、他にいないのにどうして…」
こんな風に「みんなはできるのに」「あの子は悩んでないのに」と他人と比較することに、まったく意味はありません。

仮に同じHSCでも、それぞれ特徴の出方は異なるため、同じ気質を持っているからといって皆一様というわけでもありません。

HSCは欠点ではなく、才能のひとつと理解しよう

HSCは悩みやすく、疲れやすい傾向があるということを理解しましょう。一般的な子供と同じようにさせよう!改善させよう!と思えば思うほど、子供は気質に合わない生活を強いられて、苦しくなってしまいます。

まずは、HSCという気質を理解して「この要素を持っているから、私たち親子はささいなことで悩んでしまうのか」と自覚するとよでいすね。そして、HSCはとても個性的で、優しく、素晴らしい感性を持っていることも認めてあげてほしいです。

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