4歳頃の幼児期から学童期にかけての子どもに発生する「チック症」。ある日突然「細かなまばたきが増える」「ウッウッと声を出す」などの気になる症状が出ることがあります。
保護者としては心配になり声をかけますが、それは正しい対処法と言えない場合も多いです。今回は意外と多い子どもの「チック症」の種類や原因、対処法を紹介します。
子どもの「チック症」にはどんなものがある?
チック症は大きく分けてふたつあります。一つ目は「運動性チック」と呼ばれ、「まばたきを素早く繰り返す」「首を振る」などがあります。中には、白目をむいたり目をくるくると回したり、見た目にもびっくりするような動作もあるため、周りの大人は心配してしまいます。ところが子ども自身は意識してその動作を行っているわけではないため、特につらさを感じることはありません。
二つ目は「音声チック」と呼ばれるものです。「舌打ち」「咳払いをする」「鼻を鳴らす」「喉を鳴らす」など、こちらは音声として現れるため、周りの人は特に気になります。こちらも無自覚でおこなっているため本人は気にしていませんが、周りの人がストレスを受けることがあります。
子どもの「チック症」はどうして起こる?
チックは心の病気で、親の育て方や家庭環境に問題があるというイメージがあるかもしれません。ところが、チックは脳の神経伝達物質のバランスが崩れることによって起こると考えられています。もちろんきっかけとして生活環境の変化が存在することもありますが、ママやパパは自分たちを責める必要はありません。
また、チック症は意外と身近なもので、子ども10人に1人の割合で経験するとも言われています。症状があらわれたときには驚きますが、冷静に受け止めましょう。
一番は「温かい無関心」
多くのチックは1年以内に自然とおさまります。チックが起きていると、周りの人は、心配や気遣いから「またまばたきしているよ」「また声が出ているよ」などと声をかけてしまいがちですが、そうする必要はありません。パパママはもちろん、友だちの家や祖父母の家に遊びに行くことがあれば、必要に応じて事前に理解を得るようにしましょう。学校でもチック症が出ていることが考えられますので、担任の先生にも連絡しておくのがおすすめです。「特に必要な対処はなく、ただ見守ってください」と伝えるだけで、学校での生活が楽になるでしょう。
さらにチックは「やめようと思うほどひどくなる」「リラックスしたときほど頻繁に起こる」という特徴があります。こういった特徴からも、チックは、やめようと努力してやめられるものではないことや、ストレスを受けておこるものではないことが分かります。子どものチックに最適な対処法は「温かい無関心」。温かく見守りながらも、気付かないふり、無関心なふりをしましょう。音声チックは耳につくため特に気になりますが、あくまで「温かい無関心」を貫きましょう。
不安や悩みがある場合は耳を傾ける
「引っ越しをした」「進学・進級で環境が変わった」など、子ども自身が生活に不安を抱えている場合は、話を聞いてあげましょう。こういった不安がチックに直接関係しているのかどうかは断定できませんが、チックとは関係なく、子どもの不安には寄り添うことが大切です。家が安心できる場所であるように、相談に乗ったり他愛もない話をしたりして、コミュニケーションを取る必要があります。その中で学校生活にストレスを抱えていたり、習い事や友だち関係に問題があったりすることが分かれば、解決に向けて動きましょう。
特にひどい場合は医師に相談を
時にはチックに、「バカ、クソなどのよくない言葉を口にしてしまう」「髪の毛を抜いてしまう」など、特に慎重な見守りが必要な症状が出ることがあります。これは見守ることも難しく、円形脱毛症などの別の病気につながることもあるため、医師への相談をおすすめします。チック症は基本的には薬物療法は行いませんが、こういった個別の状況に合わせて漢方や安定剤などが処方されることもあります。数年にわたって症状が改善しない場合や、自傷へつながるようなチックが出る場合には、一度診察を受けることを検討してください。
子どもは親の不安を敏感にキャッチする
以上、意外と多い子どものチックに対する対処法を紹介しました。
子どもにチックの症状が現れると親としては心配になってしまいますが、特に珍しい症状ではなく、治療が行われることもほとんどありません。本人も無自覚であることが多く、周りの対応さえ決めてしまえば、あとは自然と落ち着くのを待ちましょう。
ここで親が過剰に反応したり、心配したり、注意したりしてしまうとチック症が余計にひどくなってしまいます。子どもは親の不安を敏感にキャッチしますから、パパとママはおおらかなきもちで見守りましょう。