子どもの健康・発達

男の子育児が大変なのは男女の脳の違い。環境を整えて気楽に育てるコツ

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この記事を書いた人
夏野 新さん【心理カウンセラー】

虐待防止や家庭環境についての専門家。心理カウンセラーの資格を活かしながら「妊娠、出産、育児」といった女性向けのサポートをするための情報を発信しています。2児の子どもを育てながら、2019年には自身の書籍「世界が変わる! アダルトチルドレンの自己観測」を出版し、悩みを抱えるご家庭への問題解決に尽力しています。

男の子育児に、あなたは少々疲れていませんか?
何度言っても同じことを繰り返す、遊び方が激しい、会話が成立しない……

出産する前に思い描いた「親子で手をつないで、よちよち歩く」というのはほんの一時のこと。

少し目を離すと危ない場所に一目散に駆け出し、何度注意しても言うことを聞かないなんてことも日常茶飯事です。

男の子はなぜこんなに手がかかるのか?その理由をはっきりさせて、男の子育児の大変さを少しでも和らげる方法を、一緒に考えていきましょう。

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男の子が育てにくいのは、脳の仕組みに理由がある!

男の子は、女の子と脳の仕組みや発達の速度が違います。
なんと、男の子は産まれたばかりの時点で、女の子よりも6週間ほど発達度合いが遅れているといわれているのです。

これは、精神科医のセバスチャン・クレーマーという精神科医が2000年に発表した研究で分かっていること。
しかし、これを知っているお母さんは非常に少ないです。

脳の構造的に、興奮しやすく激しく動くことが多いため、母親は男の子の行動を止めることにばかり注意が向きます。さらに男の子は、心を表現したり、感情を言葉で表したりする能力が女の子に比べて低いために、母親と男の子の間には「情緒的な会話」や「心に寄り添うこと」への意識が低くなってしまうという背景があるのです。

男の子が育てにくいと感じられるのは、脳の構造や、発達の速度によるものです。親としては手がかかるし大変だということに気持ちがいきやすく「悪い印象」が強まります。

しかし、内面はとても繊細で感受性が強いという特徴もあります。男の子が甘えん坊であるというのは、この心の繊細さや敏感さに理由があるのです。

「男の子の育児」は心と行動を観察

男の子は、感情の表現が女の子に比べて上手ではありません。そのため、気持ちを言葉ではなく行動で表してしまうのです。

例えば、今いる場所から離れたところに珍しい花が咲いているとします。 女の子は「あれは何?見てみたいな。」と言葉で親に伝えます。

しかし男の子は言葉で自分の気持ちを表現するのが苦手なため、言葉よりも先に行動に走ります。そのため、母親の手を振り切って目的の場所まで一目散に走っていくのです。

心に思っていることは同じなのに、このような男の子の行動に対して親は
「いきなり走り出したら危ないでしょ!」
「歩くときは手を繋がなきゃだめでしょ!」
と、怒ってしまいますよね。

何とも切ないと思いませんか。
男の子の心に注目すると、今までよりも男の子に優しい目線で接することができるのではないでしょうか。

男の子の子育ての大変さを軽減する3つのコツ

そんな男の子育児、仕組みが分かったところで大変さはやはり変わりません。少しでも男の育児を楽にする3つのコツを考えてみましょう。

【男の子育児のコツ1】万が一の準備を習慣づけること

何をするか分からない男の子、親のいいつけを守らないことは大前提だと開き直っておくことが必要です。
そのために、万全の準備をする習慣をつけておくようにしましょう。

・着替えを複数用意しておく
・ウエットティッシュやタオルなどを持参しておく
・危なくない場所、目の行き届く場所で遊ぶ
・おやつやおもちゃなど、気持ちを落ち着けるものを持っておく

男の子はどんな動きをするか分からず、予想もつかない遊びをします。汚れたり濡れたりするのは当たり前と思い、対応しやすいよう着替えとタオルを常に用意しておきましょう。
また、男の子は気持ちの切り替えをするのが苦手。おやつやおもちゃなど、注意をひくものや気持ちを落ち着かせるアイテムを持っておくと安心です。

【男の子育児のコツ2】しっかり甘えさせてあげること

男の子は心が繊細で、甘えん坊です。しかし「男の子だからしっかりしなさい」と言って、厳しくしつけようとすると逆に心が満たされず、行動が荒くなることがあります。

男の子こそ、幼少期にしっかりと甘えさせることが必要。
少しくらいのことは大目に見て、しっかりスキンシップや対話をして甘えさせてあげる時間を作ってあげてください。

【男の子育児のコツ3】他の子どもや女の子と比較しない

男の子は、女の子と脳の作りや発達度合いが違うため、比較しても正直全く意味がありません。また、男の子にも様々なタイプの子どもがいるため、激しさや育てにくさを他の子どもと比較するのも、あまり好ましいこととは言えないのです。
友達の子どもと比べたり、兄弟間で比較したりすることもしないように気を付けましょう。

男の子は、育てにくい子ほどよく伸びるともいわれるように、活発な子ほど心に秘めた思いや個性があります。表面的な行動だけを見るのではなく、お子さんを丸ごとよく観察してあげてほしいものです。

男の子の子育ては、手がかかるのが当たり前

なぜこんなに手がかかるの?なぜこんなに大変なの?
そんな疑問がある段階では、育てにくさや育児のストレスが増幅します。

しかし、男の子は性質的に手がかかるのが当たり前だ、ということが分かるだけでもずいぶんと心が楽になるのではないでしょうか。

男の子行動には、必ず目的と感情があります。日々の暮らしの中では、そこまで見ることができない場合もありますが、少し冷静になって観察してあげることも必要でしょう。
手のかかる男の子こそ、心のケアが必要ということも忘れず、お子さんを丸ごと愛してあげてくださいね。

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