個人差があるとは言っても、多くのママを困らせる子どもの「イヤイヤ期」。叱っても、なだめても、褒めても上手くいかないことがあり、子どももママも疲れてしまいます。
今回は、イヤイヤが起こる理由やイヤイヤが起こる瞬間、そしてイヤイヤへの対応法を5つ紹介します。子どもの性格やそのときの場面に合った対応法を見つけてください。
イヤイヤ期は子供の「初めての自己主張」
イヤイヤ期といえば2歳程度をイメージしますが、実は赤ちゃんの頃からイヤイヤは始まっています。
「布団が嫌だから抱っこして」
「天井見るのはつまらないから寝返りさせて」
「違った景色が見たいから座らせて」
赤ちゃんも様々な欲求を泣くことで表現しています。赤ちゃんの時期は「泣く」以上の表現がありませんが、1歳半~2歳頃になるとそこに体の動きや言葉が加わり、イヤイヤの表現が激しくなります。
そうするとママの負担も大きくなり、いわゆる「イヤイヤ期」と呼ばれるようになります。
また、子どもは大きくなるにつれて「自分でやりたい欲求」が芽生えますが、「感情を抑制する能力」は後から身につきます。
さらに指先の発達や言葉の発達も追いついていないため、自分の思いを上手く伝えられず、イヤイヤの爆発へとつながるのです。
3歳以降次第に指先が発達したり、4~5歳で相手の気持ちを考えることができたりするようになると、自然とイヤイヤも落ち着くでしょう。
イヤイヤ期がひどいと感じる瞬間って?
イヤイヤと聞いてまず思い浮かべるのは、子どものどんな姿でしょうか。
思い通りにいかずに泣くだけでなく、「地面に転がって手足をジタバタする動き」が有名かもしれません。
家の中ならともかく、公園の砂場や濡れた地面、スーパーの床だとしても、そのような行動を取ることがあります。
このような大きなアピールは、「自分に注目してほしい」「とにかく要求を聞き入れてほしい」という気持ちの表れでもあります。
ママが一度でも「分かった分かった!」と子どもの要求を受け入れてしまうと、次からも同じ行動を取るでしょう。
「騒げば聞いてもらえる」「泣き叫べば許してくれる」といった誤学習につながってしまうため、一度ダメだと言ったことを後から撤回しないようにすることが大切です。
また、ママを大きく困らせるイヤイヤとしては、「食事中のイヤイヤ」があります。
「作ったものが気に入らないと言って食べない」「遊び食べをする」だけでなく、「白米しか食べない」「食器を投げる」といった過激に思えるようなものまであります。
食事中のイヤイヤは対応が難しく片付けの手間もあるため、ママはイライラしてしまいがちです。
なるべく食事に集中できるような環境作り、好きな食べ物を取り入れた献立を意識しましょう。
また、子どもが気に入る食器を一緒に買いに行くことで、大切にできるようになることもあります。
「自分でやりたかった!」という種類のイヤイヤは、根気よく子どもの成長を見守るしかありません。
「エレベーターのボタンを押したかった」「自分で靴を履きたかった」というようにイヤイヤの理由が明確になっている場合は、可能な限り「やり直し」するのも一つの方法です。
子どもにとって「イヤイヤ」や「泣く」といった行為は、最初に身につける自己表現の方法です。時には子どもの感情を受け止め、やりたいことに挑戦させてあげましょう。
次項からは、具体的なイヤイヤ期への対処法を紹介します。
イヤイヤ期は選択肢を用意する対処法
着る服や履く靴、髪型など、イヤイヤの種が事前に分かっている場合は、選択肢を用意することで回避できることがあります。
例えば、「お着替えしようか」と声をかけると「イヤ!」と返ってきますが、「こっちの服とこっちの服、どっちにする?」と聞くと「こっち!」と答えてスムーズに着替えに取りかかれます。
イヤイヤ期の子どもにとっては「自分で決めた」という思いが大切です。これは着る服の選択肢でもいいですし、着替える場所(リビングで着替えるか子ども部屋で着替えるか)や、着替えるタイミング(ご飯を食べる前か食べた後か)でもかまいません。
これを応用して「帰る道順の選択肢」や「絵本を先に読むか歯磨きを先にするかの選択肢」などを用意し、行動の主導権はあくまで子ども自身にあることを感じさせましょう。
イヤイヤ期は事前に見通しをもたせる対処法
次の行動を急に告げられると、大人だって戸惑います。
楽しく遊んでいるのに、急に「もう行くよ」と言われたり、テレビを観ているのに「出かける時間だよ」と言われたりしてしまうと、どうしてもイヤイヤスイッチが入ってしまいます。
子どもは特に、急な場面転換が苦手ですから、なるべく事前に見通しをもたせるようにしましょう。「もうすぐ帰る時間だけど、最後はなにをして遊ぶ?」「もうすぐお出かけするからね」といった声かけをして、子どもが心の準備をする時間を作ることが大切です。
たった一言ですが、このワンクッションによって子どもは次の行動をイメージし、心の準備をしてくれるでしょう。
まだ小さい子どもは、ママの言うことが分かっていないように感じているかもしれませんが、毎日繰り返すことで少しずつ分かるようになります。
イヤイヤ期は理由を簡潔に説明して対処する
イヤイヤを回避しようとしていても、急にスイッチが入ってしまうこともあります。そんなときは、子どもがやりたいことができない理由を短く説明するのが効果的です。
「お出かけするから、テレビは終わりだよ」「おもちゃは家にあるから、帰ってから遊ぼうね」など、子どもにも分かりやすく理由を説明しましょう。
「ダメといったらダメ」という断固とした対応が必要な場面もありますが、それは人に迷惑がかかったり子ども自身に危険が及んだりする場合だけです。
基本的には子どもの気持ちの寄り添いつつ、どうしてもダメな理由を説明しましょう。
このとき、「靴を履かないならお出かけできないよ」「そんなに泣くなら置いて帰るよ」といったネガティブな言葉かけは避けたいものです。
悲しい気持ちはよりイライラを増幅させてしまうでしょう。イヤイヤにイライラしてしまう気持ちも分かりますが、子どもはイヤイヤを否定されるともっと激しくイヤイヤを始めます。なるべく明るい言葉で説明してください。
イヤイヤ期はクールダウンできるまで距離を置いて対処
外出先でイヤイヤが始まればママも焦ってしまいますが、家の中で時間にも余裕があるときには一旦子どもから離れ、クールダウンの時間をもつことがおすすめです。
子ども自身も、泣いているうちに「なにが嫌だったのか」「どうしたいのか」を見失ってしまうことがあるからです。
自分自身の泣き声とママの大声に反応してどんどんヒートアップしてしまうようなときには、子どもと別の空間で過ごす時間が必要です。
ママがいなくなる瞬間はさらに泣き方が酷くなるかもしれませんが、しばらく経てば落ち着くことが多いでしょう。子どもを別室へ移すことが心苦しい場合は、ママ自身がキッチンやトイレなどに移動するのも同じ効果があります。
この方法を取るときは、子どもの周りに危険なものがないかどうかを確認しておかなければなりません。
また、泣き声が落ち着いたと思ったら部屋に戻り、子どもをぎゅっと抱きしめましょう。落ち着いて話ができるようであれば、嫌だった理由や、やりたかったことなど、子どもの話をきちんと聞くようにしてください。
ただ「放置」するのではなく、あくまでもイヤイヤが落ち着くまでの「クールダウン」として捉え、その後のフォローを大切にしましょう。
イヤイヤ期は子どものペースに合わせて対処する
イヤイヤ期を回避する一番の対処法は、とにかく「子どものペースに合わせる」ことです。
出かけるときにはひとつひとつの行動時間に余裕をもち、とっさのイヤイヤに焦らないようにしましょう。
道端で石を拾っても、アリを探しても、そう大きな時間ロスにはなりません。子どものイヤイヤにも理由があると考え、なるべく子どものペースに合わせましょう。
また、普段から子どもの要求に耳を傾ける習慣をつけておくと、子どもは安心感を得ることができます。
「ママはきちんと話を聞いてくれる」「やりたいことをさせてくれる」という安心感は、決して悪いものではありません。
単純な「わがまま」とは分けて考えましょう。ママと子どもの信頼関係を築くことができれば、「ごめん、今日は本当に急いでいるの!」と言ったときには、スッとイヤイヤが落ち着くようになってきます。
「急いでいるママの気持ちを分かってほしい」と思ったら、時間に余裕があるときこそ「子どもの要求を分かってあげたい」という気持ちをもつようにしましょう。
イヤイヤ期がひどい場合は専門家に相談して対処する
イヤイヤ期は誰もが通る道ですが、周りの子どもと比べて、イヤイヤがあまりにもひどいと思うことがあるかもしれません。
「癇癪がひどい」「危険な行動を繰り返す」「発語がなく、コミュニケーションが取れない」「偏食がひどい」など、イヤイヤ期では説明できないような気がかりがある場合は、専門家への相談を検討してもいいかもしれません。
子どもの発達に関わる心配は、市区町村の保健センター、子育て支援センターなどで相談が可能です。事前に予約が必要となることが多いため、まずは電話で連絡してみましょう。
イヤイヤ期の成長を見守って対処してく
以上、イヤイヤへの対応法を5つ紹介しました。
イヤイヤ期の子どもの対応は大変ですが、イヤイヤは成長の証でもあります。
全て与えられるがままだった赤ちゃんから成長し、自分でやりたいこと、やりたくないことが考えられるようになりました。
自我が芽生え、欲求を伝えられるようになったという点を嬉しく感じながら、子どものイヤイヤを受け止めてください。
ただ、育児に疲れやすいのもこの時期です。ママも適度な休憩を取りながら、無理をし過ぎないようにしてください。