子どもの健康・発達

イヤイヤ期はなぜ起こるのか。脳科学で分かる“魔の2歳児”の原因

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この記事を書いた人
いしみほ さん【育児コラムライター】

社会福祉学を専攻し、保育士・幼稚園教諭の資格を持つ育児コラムライター。社会福祉学部では「家庭環境ごとの子どもへの支援の必要性」や「北欧各国の福祉と教育」を学んだ知見を活かしコラムを執筆。2人のお子さんを育てながら、執筆の他にハンドメイド作家(タティングレース、イヤリングなど)としても活動中。

「公園から帰りたがらず、毎回帰る時に大泣きしている」
「トイレトレーニングを始めたけどイヤイヤが酷くて全く進まない」
「ご飯中もイヤを連発して遊びだしてしまう…」

お母さんにとって苦行とも言えるもの、それが魔の2歳児と言われる「イヤイヤ期」です。

家事や育児だけでも大変なのに、そこに加えて子どもからの拒否が凄いとイライラが止まらなくなりますよね。

お母さんの中には“私の育て方が間違っているの…?”と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?

ですが、大丈夫です。イヤイヤ期の原因は「脳の発達」と大きく関係しているんです。今回はそんなイヤイヤ期がなぜ起こるのか脳科学の分野から分かり易く解説していきたいと思います。

なぜイヤイヤ期が起きる?原因は脳の成長!?

最初にお伝えしたいことは、イヤイヤ期の原因はお母さんの子育ての問題ではないということです。魔の2歳児の原因は、子どもの脳の中の「前頭前野」という部分が未熟であることが関係しています。

まずはその未熟である状態を説明するために「イヤ」という感情と起こす機能と、それをクールダウンさせる機能が、脳のどの部分で起こっているかをお話していきたいと思います。

イヤイヤ期には危険を判断する「扁桃体」が働いて起きる

人間の脳には感情的な判断を行う「扁桃体」という部分と、理性的な判断をする「前頭前野」という部分があります。人が「イヤだ」と感じる部分は前者の扁桃体の部分です。

例えば、あなたの目の前に強く吼え、今にも噛み付きそうな犬が来たとき「危ない」「イヤだ」と瞬時に判断する部分が扁桃体です。

扁桃体がすぐに反応できるようになっているのは、自分の身に危険が及ぶことを察知できないと怪我をしたり、場合によっては命に関わったりすることがあるからです。

野生の生き物はいつ天敵が襲ってくるか分かりませんので、その延長として、危険かどうかを瞬時に判断する力が私たち人間にも備わっています。

イヤイヤ期では感情をコントロールする「前頭前野」が未熟なので起きる

一方、後者の「前頭前野」は理性的な判断をする部分です。前頭前野は扁桃体が「イヤだ」と生理的に興奮しても、状況に応じて感情をコントロールし、興奮を抑える働きをしています。

例えば、あなたが突然目の前に虫のおもちゃ出されて驚いたとします。しかし、その手の中のおもちゃが動かなかったり、よく見ると本物と色が違っていたりすると「あれ?」となって、最終的に「あ、おもちゃだったのか」と判断できますよね。こうして状況を分析して理性的な判断を下すのが「前頭前野」の働きです。

2歳児の前頭前野は非常に未熟な状態

前頭前野は脳が大きく発達を遂げた人間にのみ特別に発達している部分です。理性的な判断を下す働き意外にも、創造力、記憶力、コミュニケーション力など、人として生きていくために必要な様々な能力が前頭前野によってコントロールされています。

また、何かハプニングが起きた時に、周りの状況を見て判断し、行動を組み立てる能力もこの部分が担っています。そのため、前頭前野は成人になると脳の中の1/3を占めるほど大きくなります。(注1)

しかし、2歳児はこの前頭前野という部分が非常に未熟な状態であることが脳科学の研究で分かっています。(注2)

本能的に察知してすぐに「イヤだ」という感情を引き起こす扁桃体に比べて、前頭前野は後から成長していく部分なのです。

イヤイヤ期では感情のハンドル機能がまだ備わっていない

前頭前野の機能を車で置き換えるなら、それはハンドルの部分です。車にハンドルがあると、右にも左にも急な坂道でも周りにぶつからずに車を動かすことができます。対向車が来ても横に避け、道に迷った時は違う道に進むこともできます。

こんな風に大人は、環境が変わったり、困ったことが起こったりしても前頭前野の働きで感情を上手くコントロールし、その場に応じて対応することができます。

しかし、イヤイヤ期のお子さんの場合は、前頭前野のハンドルが未熟な状態です。ハンドルを左右に切ろうとしても上手く動かせない、対向車が来ても上手く避けられない、道に迷ったら横道に入ることもできず動けなくなってしまう…そういう状態がお子さんの頭の中で起きています。自分がやりたくてもまだその力が備わっていないのです。

前頭前野の機能が大きく発達し始めるのは4歳以降だと考えられています。(※注3)ですから、それまでは「あ、感情のハンドルが未熟なんだな」という理性的な目で見守ってあげることがお母さんの知識としては大切です。

2歳児のイヤイヤは部分否定してるだけ

いかがでしたか?今回は脳科学の知識を交えてイヤイヤ期の原因をお話させて頂きました。イヤイヤ期というのは脳の機能が未発達であることが原因だとお分かり頂けたと思います。

最後に、保育士としての知見から、2歳児のイヤというのは「部分否定」であるということをお母さんにお伝えしたいと思います。

お着替えをしている時に子どもから「イヤ」と言われると、お母さんは「服に着替えたくないのか」と感じてしまうと思います。

ですが、子ども側からすると「この洋服は着たくない」だったり、「靴下から履きたい」だったり、「お母さんとギューってしたい」だったり、子どもなりに着替えたくない理由があります。

でも、イヤイヤ期のお子さんは言葉も未発達なので上手く伝えることもできず、お母さんを困惑させてしまうんですね。

そんな時は「こうしたいの?」「こっちがいいの?」とお子さんに聞いてみてあげて下さい。そして上手くいったら「○○からやりたかったんだね」と声をかけてあげて欲しいのです。子どもは自分がどうしたかったかを理解できるようになると、気持ちを落ち着かせることができます。

お子さんは今感情をコントロールする練習中であり、大好きなお母さんのことが嫌なわけではないのです。感情をコントロールする練習の積み重ねが、お母さんへの信頼感を高め、いずれ人とコミュニケーションを取る能力に繋がっていきます。

そして、大好きなお母さんが練習相手なら、お子さんはきっと楽しく成長できるはずです。イヤイヤ期は本当に大変ですが、どうかできる範囲で構いませんので、お子さんの感情表現の練習相手になってあげて下さいね。

イヤイヤ期はいつまで続くの。子どもとの無理をしない付き合い方

(※注1)脳科学の権威が明かす「本当に頭がいい子」になる方法
https://diamond.jp/articles/-/84895?page=2

(※注2)乳幼児期における抑制機能の発達とその神経基盤
(森口佑介(1) 上越教育大学大学院学校教育研究科(2) 科学技術振興機構さきがけ)
https://www.crn.or.jp/LABO/BABY/LEARNED/10/MORIGUCHI_GAKKAISHI.pdf

(※注3)


(※参考記事 どう乗り切る?イヤイヤ期~なぜイヤイヤをするの?~(NHKすくすく子育て)https://www.nhk.or.jp/sukusuku/p2019/799.html)

(※参考記事 どう乗り切る?イヤイヤ期~なぜイヤイヤをするの?~(NHKすくすく子育て)https://www.nhk.or.jp/sukusuku/p2019/799.html)

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