「中学受験を考えている」
「学校のテストで100点が取れなくなってきた」
「勉強の内容が難しくて家では教えられない」
このような理由から、小学校中学年を境に塾や家庭教師を検討する保護者が増えます。
ところが、塾と家庭教師ならどちらがいいのか、比較的安価な通信教育ではだめなのか、と悩むことも多いでしょう。
そこで今回は、塾・家庭教師・通信教育それぞれのメリット・デメリットや、子どもの性格や状況に合わせた選び方について、詳しく解説します。
子供や家庭状況に合わせた学習方法を選ぶ
塾・家庭教師・通信教育を選ぶ際に気を付けたいのが、子どもの性格や状況に合わせて選ぶことが重要ということです。
どんな勉強法が合っているかは、子どもの勉強に対する姿勢、現在の学習能力、家庭環境によって変わってきます。
塾、通信教育、家庭教師それぞれでどんな子供に向いているのかなどもある程度傾向があります。
実際過去にベネッセが行った小学生の学習状況による調査でも、様々な勉強方法を選んでいるのがわかります。
- 学習塾に通って勉強している:39.0%
- ドリルや参考書で家庭学習している:35.2%
- 通信教育による学習をしている:20.7%
インターネットの普及やタブレットの進化、学習カリキュラムも進化しており、学び方はどんどん多様化しています。
これからの時代は、周りの子に合わせる必要はなくそれぞれの状況にあった学習方法を選ぶのが非常に大切になります。
ではここから塾、家庭教師、通信教育を選んだ時にのメリット、デメリットを見ていきましょう。
塾での学習に向いている子ども
- 中学受験を考えている
- 現時点で勉強に大きなつまずきがない
- 新しい学びが好き
- 家庭学習の習慣が身についている
こういった子どもは、塾がおすすめです。塾で吸収したことを家で復習することによって、学習の効果を高められるでしょう。
一方、親にとって必要なのは「管理能力」です。塾側に言われるがままさまざまな授業を受講するのではなく、本当に必要な授業はどれか、子どもの負担が大きくなりすぎていないか、タイムスケジュールに余裕はあるか、などを考えなければなりません。
そうは言っても、塾によって運営方針や指導スタイルはさまざまです。事前の情報収集や見学、体験授業などを通して、自分たちに合った塾を探すことが重要です。
小学生が塾に通うメリット
学校以外の勉強を考えたときにまず思い浮かぶのが塾です。大手の有名塾を中心に、独自のノウハウや情報網を駆使し、子ども一人一人に合った学びを提供してくれます。
「学校の教え方では分からなかったけど、塾のやり方ならできた」という声も少なくありません。
独自のノウハウに沿った柔軟な学びが可能
学校での勉強は、文部科学省が作成している「学習指導要領」に合わせた内容となっています。学習指導要領では、2年生で掛け算、3年生で割り算、4年生で割り算のひっ算…というように、学ぶタイミングや内容が細かく指定されています。
ところが、塾にはこういった縛りがないため、 自由な内容を、より自由な解き方で学べる柔軟さがあります。 大手塾では独自のテキストが開発されていることも多く、学校と比べて高度な内容を学べる仕組みづくりができています。
これは、中学受験を見据えて発展的な問題が解きたい子どもや、学校の授業がつまらないと感じている子どもにとって、魅力的です。
また、 同じ単元でも、解説の方法が違うことで、「学校では分からなかったけど塾なら分かった!」となることもあります。 答えを導く道筋はひとつではないことを、実際に経験できるでしょう。
模試やテストを通して成績を客観視できる
多くの塾では、定期的に全国規模の模試を行っています。これに参加することで、 自分の今の成績を数字として客観視できることができます。
小学校の早い段階から「偏差値」という考え方を知り、自分の実力がどの程度なのかを感じるきっかけになるでしょう。
また、 勉強を頑張った結果も数値として明確に表れるため、達成感を得やすくなります 。「全教科で平均点以上を取りたい」「次は全国○位以内を目指そう」など、それぞれの段階に合った目標を立てる手助けにもなります。
ライバル関係が生まれ、モチベーションアップにつながる
模試では、「知らない誰か」や「目標数値」もライバルになりますが、同じ塾内の友だちがライバルになることもあります。
塾の方針によって模試結果が張り出されたり、模試の結果によってクラス分けが行われたりすることがあるからです。
この方法には賛否両論ありますが、時には、結果のみで公平な区別を受ける経験も必要です。「次はあの子に勝ちたい」「もうひとつ上のクラスに入りたい」と、 より明確な目標を持ち、モチベーション高く勉強に向かうことができるでしょう。
志望校合格が可能か、過去のデータをもとに判断できる
中学受験を考えている場合は、特に塾がおすすめです。 大手塾はもちろん、地域密着型の個人塾でも、受験にまつわるさまざまなデータを収集しています。
現在の偏差値で志望校が狙えるのか、志望校合格にはどの程度の努力が必要なのか、過去データに基づいた判断が可能となります。
「夏の段階でこの点数なら大丈夫」「秋からの追い込みが重要」「滑り止めにはこの学校を」など、個別の状況に合わせたアドバイスを受けることができるでしょう。
塾に通うデメリット
塾ではハードな勉強を求められることが多いため、注意しなければならないこともあります。子どもと親の負担が大きくなりすぎないような塾選びを心がけましょう。
宿題ができるかどうかは、本人と意思と親の働きかけにかかっている
塾では、多くの宿題が出されます。その多くは学校の授業の「先取り」や「発展」となるため、子どもによっては難しいと感じるかもしれません。
普段の学校の宿題にプラスして塾の宿題に取り組むことは、かなりの負担になります。 これをこなせるかどうかは、本人の意思と親の働きかけにかかっているでしょう。
勉強は、繰り返しによって定着します。塾で学び、塾の宿題に取り組み、学校で学び、学校の宿題に取り組む。
このように何度も繰り返し同じ問題を解くことで自分の力になります。 「塾に入れておけば安心」という考え方は捨てましょう。
個別の質問がしづらい可能性
クラス授業タイプの塾に入れる場合は、 個別の質問はしづらい可能性があります。 少なくとも授業中はどんどん内容が進むため、手を挙げて質問するには勇気が必要でしょう。
ただ、塾によっては「質問できる時間がある」「フリー学習スペースに質問を受け付けてくれる先生がいる」などの嬉しいサポートを行っている場合があります。
塾の方針や雰囲気、システムなどを事前に確認しておきましょう。
授業料や教材費が高額になりがち
塾通いのネックとなりやすいのが、その費用です。入会金と月々の授業料のほか、教材費、模試費、特別講習費など、費用が高額になりがちです。
塾の効果をより高めるために、クラス授業と個別授業の併用を進められることもあります。 あらかじめ月々の予算を決めておき、その範囲内で授業数を調整する必要があります。
子どもと親の精神的・肉体的な負担が大きくなる可能性
費用が高額になるのと同時に問題となるのが、子どもの負担です。塾に週2回通い、土日は模試、長期休暇は特別講習、塾がない日も宿題に追われる…といった状況を、簡単に生んでしまいます。
また、平日の塾は夜が遅くなることも多く、体力面での不安もあります。厳しい状況が続くと、学校で居眠りしてしまったり、朝起きるのがつらくなってしまったりします。 子どもの精神的・肉体的な負担も考慮しましょう。
さらに、塾通いには親の負担もあります。日々の送迎や費用面だけでなく、授業スケジュールの管理や塾に持たせるお弁当の用意など、予想以上のサポートが必要になる場合もあります。
塾通いを決める前には、 一週間のタイムスケジュールがどう変化するのかをシュミレーションしておくことが大切です。
家庭教師での学習に向いている子ども
- 勉強に対して苦手意識がある
- すでに勉強につまずいている
- 家庭学習の習慣を身につけたい
- 自分のペースでじっくり勉強したい
こういった子どもには家庭教師がおすすめです。一人ひとりにぴったりの個別指導を受けることで、小さな成功体験を積み重ね、勉強に対する自信をつけることができるでしょう。
また、家庭教師は忙しい保護者の味方でもあります。最小限の負担で専門的な指導を受ける方法です。家庭教師は先生の変更も比較的容易なため、子どもと先生の相性を見極めましょう。
小学生が家庭教師に習うメリット
塾の次に候補に挙がるのが、家庭教師です。完全マンツーマン、家に来てもらって勉強を教えてもらえるスタイルですので、おすすめポイントも塾とは異なります。
マンツーマン指導で勉強が苦手な子も安心
家庭教師は完全マンツーマン指導ですので、勉強に対して苦手意識を持っている子どもや、すでに勉強で大きくつまずいている子どもにとって安心です。
分かるまで何度も質問が可能で、根気強く教えてもらえるでしょう。また、先生側も、子どもの表情や鉛筆の進み具合をじっくり見て、適切なフォローが可能になります。
「本当に理解できているのか」「勉強に集中しているか」などを、ときに厳しくチェックしてもらえます。
予習・復習・発展など希望に合わせて柔軟に対応してもらえる
マンツーマン指導のため、授業内容も自由に希望を伝えることができます。
「学校の授業の復習をしたい」
「学校の授業を安心して受けるために予習をしたい」
「テストで間違えた問題を教えてほしい」
「発展的な問題を解きたい」
個別のニーズに応えてくれるはずです。
また、教材も、学校の教科書から市販されているワーク、私立中学の過去問題まで自由に選択できます。子ども一人ひとりの状況や性格に合わせた指導を受けることが可能です。
周囲の環境に左右されず、集中して取り組める
学校や塾では、友だちの様子や教室の環境によって、授業に集中できないことがあります。家庭教師は自分の部屋やリビングでの授業となるため、集中して取り組める子どもが多いようです。
特に、人より敏感な耳や繊細な心をもつ子どもには、家庭教師がおすすめです。発達障害や不登校児を専門に教えてくれる家庭教師仲介業者もあるため、必要に応じて検討しましょう。
家庭での学習が習慣化される
家庭教師の大きなメリットは、「家庭での学習習慣が身につく」ことです。週1回19時~20時で授業を受けているなら、「先生が来ない日も19時から1時間は勉強しよう」と、日々のタイムスケジュールに組み込むことができます。
勉強を習慣付けることは非常に重要で、小学生の段階で習慣化できれば高校受験や大学受験にも良い影響を与えるでしょう。
学校や塾では、その場で椅子に座っているだけで「勉強したつもり」になってしまうこともありますが、家庭教師ではその心配がありません。
保護者の負担が少なくなる
当然ながら、家庭教師は家に訪問して勉強を教えてくれます。そのため、塾への送迎が必要なく、保護者の負担も少なくなります。
子どもが授業を受けている間も、夕飯作りや洗い物などの家事が可能で、時間のロスを減らすことができるでしょう。
また、授業をリビングでお願いすれば、子どもの勉強を見守ることができます。つまずいたポイントや苦手な単元などを把握することによって、宿題のサポートもスムーズになるでしょう。
家庭教師のデメリット
完全マンツーマン授業で、メリットやおすすめ出来るポイントが多い印象の家庭教師ですが、注意点もあります。
テストや模試がないため、成績の客観視が難しい
家庭教師の場合は、テストや模試が一切ないことも少なくありません。成績の伸び具合を確認したり、現在の偏差値を客観視したりすることが難しく、子どもが飽きてしまうかもしれません。
また、模試を受けることができたとしても、自宅受験の郵送方式が取られることが多いため、受験独特の雰囲気を味わうことができません。
「家では解けるのに、受験会場では緊張して本来の力が発揮できなかった」ということにならないよう、模試は会場受験を選択するなどの工夫が必要です。
受験に関する専門的な情報は得られない可能性
家庭教師の場合は、先生によって指導の内容や教材選びが全く異なります。
「今の成績で大丈夫なのか」「志望校の出題傾向はどうなっているのか」など、専門的な情報は得られない可能性もあります。
特に中学受験を考えている場合は、中学受験に強い仲介会社を選ぶか、中学受験に特化した先生をお願いする必要があるでしょう。
競争意識が芽生えにくく、飽きを感じやすい
模試やクラス分けテストがない家庭教師は、ライバルがいません。「あの子に勝ちたい」という競争意識が芽生えにくいため、中だるみや飽きを感じやすくなってしまいます。
学校のテストや通知表など、目標を明確に定め、達成感や充実感を味わえるような工夫をしましょう。
さらに、「この問題集を1冊終わらせる」「この問題を5分以内で解けるようになる」というような、自分の中での目標を設定するのもおすすめです。
通信教育での学習に向いている子ども
- 日々の宿題に加え、少しだけ家庭学習をしたい
- 他の習い事と並行したい
- 勉強に対する意欲がある
- 自己管理能力がある
こういった子どもは、通信教育でもしっかりと学ぶことができるでしょう。一日当たりの勉強時間は短くても、毎日積み重ねることができれば確実に力となります。
一方保護者は、子どもの勉強を見るための時間的・精神的な余裕が必要となります。提出物や教材内容の確認を行いながら、「やりっぱなし」になっていないかどうかをチェックしましょう。
小学生が通信教育で学ぶメリット
勉強させたい親としたくない子どもの折衷案、費用面の問題から塾や家庭教師が難しい場合の選択肢として、通信教育があります。
通信教育にもさまざまな種類があるため、お試し教材などで比較検討が必要です。
安価で始めることができ、子どもが興味をもちやすい
通信教育の嬉しいポイントは、なんと言っても安価であることです。塾や家庭教師を選択した場合と比べて1/5~1/10程度の費用に抑えられるため、他の習い事や趣味と並行したい場合にもおすすめです。
また、教材の内容がカラフルだったり、独自の「学習用トイ」が付属していたり、タブレットを用いた学習ができたりと、子どもの勉強心をうまくくすぐる工夫がたくさんあります。勉強嫌いの子どもも、「これならやってみたい」と思うでしょう。
自分のペースで無理なく学べる
通信教育も毎月の提出課題があることが多く、これを毎月の「目標」として取り組むことができます。その目標に合わせて学習計画を立て、自分のペースで無理なく学べることも魅力的です。
「水曜日は他の習い事があるから休み」「日曜日は休みたいから休み」「その分月曜日に頑張ろう」と、自分で計画を立てて実行する力を身につけることができます。
このように、勉強以外の「自己管理能力」を養う手段として、通信教育を利用することもできます。
また、多くの通信教育は1日20~30分でできる内容となっており、日々の宿題に無理なく追加可能です。時間に追われることなく、友だちと遊ぶ時間も大切にしながら、家庭学習に取り組めます。
通信教育で学ぶデメリット
やり始めはワクワク感が強く、楽しく取り組める通信教育ですが、長く続けるのが難しい面もあります。子どもの性格を見極めましょう。
サボったときのペナルティがなく、自己管理が必要
メリット面で紹介した通り、通信教育では「自己管理能力」が身につきます。ところがこれは、「サボろうと思ったらいくらでもサボれてしまう」というデメリットにもつながります。
「毎月の提出課題をやるだけで、教材は真っ白だった」「学習用トイで遊ぶだけで、メイン教材には手を付けなくなった」などもよく聞かれる声です。時には保護者も一緒に教材の内容を確認するなど、細やかなサポートが必要でしょう。
分からない問題があれば、親のフォローが必要
塾や家庭教師と違って、分からない問題の質問先は保護者になります。そのため、「学校の勉強が難しくて教えられないから、なにか習わせたい」と考えている保護者には、通信教育はあまりおすすめできません。
体験授業やお試し教材を活用して、ぴったりの勉強法を探そう
以上、塾・家庭教師・通信教育それぞれのおすすめポイントと注意点、子どもの性格や状況に合わせた選び方について、解説しました。
繰り返しになりますが、どんな勉強法が合っているかは、子どもの勉強に対する姿勢、現在の学習能力、家庭環境によって変わってきます。
もし何か試したいという場合は通信教育が手軽でおすすめです。
その中でも「ロボットプログラミング」は子供も興味を持ちやすく、論理的思考など考える力を大きく伸ばしてくれます。
プログラミング教育は新しい学習課題です。単純なプログラミングでは興味を持つのが難しいこともあるのですが、ロボットを動かすという目的があると、子供は興味を持って取り組むことが出来ます。
今回紹介した3つの勉強法以外にも、市販ワークや学校のドリルを用い、自分の力で勉強を進める方法もあります。
また、保護者が得意な勉強分野については、直接教える方法もあるでしょう。さまざまな勉強法を視野に入れながら、体験授業を受けたり、お試し教材を取り寄せたりして、子どもに合った勉強法を探してみてください。
おすすめの通信教材はこちらで解説しています。
保護者の日々の生活にゆとりがあり、子どもの疑問とじっくり向き合う余裕があれば、親子で問題に取り組むことも可能です。
ぜひ子供の考える力を伸ばすために色々なことに挑戦してみてください。