怒ると叱る大きな意味の違い。子育て中の親の感情コントロール法

怒ると叱る大きな意味の違い。子育て中の親の感情コントロール法

「子どもが出掛ける前にグズグズするとつい怒ってしまう」「何度いっても同じことを繰り返すのでカッとなってしまう」「怒っても解決にならないって分かっているけど…」「怒らないで“叱る”ためには一体どうすればいいの?」子育てをしているとついついイライラして怒ってしまうような場面が多くありますよね。しかし、一方で「普段は人に怒るようなこともないのに…」という人も少なくないと思います。今回は「怒る」と「𠮟る」の違いや怒ってしまう原因と危険性、そして「親の感情のコントロール法」についてお話していきたいと思います。

感情的な「怒る」、冷静な「𠮟る」が子育てにおける基準

子育てにおける「怒る」と「𠮟る」の最も大きな違いは「親がどのような状態で子どもに接しているか」というところが一つ基準になります。感情的で自分のイライラをぶつけてしまうような状態は「怒る」、落ち着いた状態で冷静に子どもに対して言葉を述べられるような状態は「𠮟る」と言えます。子どもが悪いことや危険なことをした際にお母さんに求められるのは、落ち着いて相手の良くなかった点を子どもに伝え、正しい方向に導く「𠮟る」という行為です。

そんな簡単に「𠮟る」なんてできない理由

ですが、実際に子育てをしていると「𠮟る」という行為がいかに難しいかということは二児を育てている私にも痛いほど分かります。誰にも頼れずに家事や育児に追われていると、毎日のようにイライラして自分の感情が上手くコントロールできないことってありますよね。
それに「他の人にこんなに怒ったことなんてないのに、どうして子どもには強く怒ってしまうのだろう…」と不思議に思われるお母さんも多いのではないでしょうか?実は子育て中のお母さんは「イライラしやすい」「感情を爆発させやすい」という状態が本能的に起こっているのです。

子育て中のお母さんは本能的に怒りを爆発させやすい

母親というのは自分の子供を守ろうとする本能から、危険察知をする能力がとても高まることが脳科学の研究で分かっています。なんと母親になると脳の機能が飛躍的に伸びるという結果が出るほどその変化は顕著に現れます。
自然界では、自分の子どもが危険に晒されると、母親は怒りを爆発させることで敵から子どもを守ろうとします。この「危険を察知する⇒怒りを爆発させる」という時間が遅くなってしまうと、お母さんは子どもを危険から守ることができません。
ですから、子育て中のお母さんは子どもを守る能力が発達したがために、とても「怒りやすい状態」であるといえるのです。

怒るという行為は「ギャンブルのような依存性」がある

しかし、怒りを爆発させる行為は危険な側面を持っています。
怒りを爆発させると脳の中ではドーパミンが放出されます。すると、脳がとても気持ちがいい状態になってしまうのです。この流れを脳が覚えてしまうと「怒ることは気持ちのいいことだ」と無意識の内に勘違いしてしまい、怒るという行為がエスカレートしてしまう危険があるのです。
ギャンブル依存症の人は勝ったときの気持ちよさから抜け出せず、掛け金をドンドンと増やしてしまうといいます。恐ろしいことですが「怒る」という行為もまた、スッキリする感覚が忘れられず、エスカレートしたり、依存してしまったりする可能性があるのです。

「子どもを怒りたくない…」親の感情のコントロール法

母親の本能として仕方ないという側面を持った一方で、危険な面を持ち合わせている「怒る」という行為。お母さんもできるなら必要な時に𠮟るだけで、子どもには優しくありたいものですよね。そこでここでは親の感情コントロール法をご紹介します。

脳のクールダウン機能には「最低3秒」が必要

先ほどもお話したように、お母さんは子どもを守るために基本的には「怒りやすい状態」です。こちらは脳の中でも瞬時に機能する特性があります。それに対して怒りを抑える、脳をクールダウンさせる機能が動くまでは3秒~6秒かかります。
ですから、「怒り」という感情の方が先に表に出てくることをまずは理解しておいて下さい。そして、子どもに対して「イラッ」とするようなことが起こったら、命の危険や怪我する可能性があること以外は最低でも3秒は待ってください。
一番良いのは、10秒ほど別室に行くことです。2階以上の家に住んでいる方なら、子どもが完全に見えないように階を変えるとさらに効果的です。
10秒経ったら子どもがしたことが、どうしていけないのか伝える内容を考えましょう。大人の言葉ではなく、子どもに分かる言葉を意識して考えてみて下さい。そうしているうちに脳のクールダウン機能が働いて少しずつ冷静さを取り戻すことができます。

子どもや親の「常識」や「あるべき姿」を手放して

子育てのイライラは多くの場合「子どもとはこうあるべき」という姿や「親としてこれは常識だ」という考えに縛られていることが原因です。
例えば、食事をキレイに食べてくれない、嫌いなものは出してしまうということに腹が立つのは「何でも残さずキレイに食べるべきだ」とお母さん自身が食べ物を大切に考えているからです。お友達とおもちゃの貸し借りができなくてイライラするのは「人には優しくするべき」とお母さんが思ってのことでしょう。オムツが取れなくてイライラするのは「○歳までにオムツは取らないと」とお母さんが責任を感じているからです。
そういった考えや責任を感じているお母さんを私は素晴らしいな、とても頑張っていらっしゃるのだなと思います。ただ、一般的な「常識」や「あるべき姿」が強すぎてしまって、お母さん自身が苦しくなってしまうのは保育士としては心配です。
怒ってしまいそうになったら「~べき」という考えを減らして子供の行動にもゆとりを持たせてみて下さい。あるべき姿を緩めれば、お母さんも楽になることができます。

「うちの子はこういうタイプか」と明るく開き直る

子供の成長は多種多様、一つとして同じものはありません。ですから、思い切って明るく開き直ることも感情をコントロールするには有効です。
私の知っている子には、ごはんとトマトしか食べないという時期があった子もいました。6歳の女の子2人は人形をめぐって毎日引っ張り合いの喧嘩をしていました。4歳で保育園に行っても半年はオムツ生活をしていたという男の子もいました。
でも、今ではあの時の苦労は何だったのやら、みんな立派なお姉さん、お兄さんに成長しています。子供の成長とはこんなにも幅があるものなのです。だからお母さんも肩の力を抜いて「うちの子はこういうタイプなのか」と前向きに開き直ってみて下さい。悪い所ではなく、個性として受け止められるだけでかける言葉もずいぶん変えることができます。

怒ってしまう時はお母さんも手を抜いて休もう

いかがでしたか?今回は子育てにおける「怒る」と「𠮟る」の違いと怒ることの危険性、そして親の感情コントロール法をお話させて頂きました。
私は保育士ですが、お恥ずかしいながらここに書いていることが正直なところ自分の子供には全然できている自信がありません。子育ては上手くいかないことだらけ、保育士として勉強したことでは太刀打ちできないことが多々起こります。
ですが、それくらい「同じ子育てはないものなのだな」と日々感じています。怒ってしまっても大丈夫です。その代わり強く当たってしまったら「ごめんね」と子どもに謝ってあげて下さい。そして、強く怒ることが続いたらそれはもうお母さんが疲れているサインかもしれません。
どうか躊躇せず、手を止めて寝転がって下さい。いっぱいいっぱいになったら子どもを抱きしめて泣いても構いません。とても不思議なのですが、親が完璧でないほうが、子どもは案外しっかりするんです。
そうやって子どもに支えてもらいながらお母さんも成長していけば、それは素晴らしい親子関係だと私は思います。どうか完璧を目指さずに適度に力の抜けたお母さんでいてあげて下さいね。