子どもの学び・教育

宿題は廃止すべきの声多発!?小学生の宿題は「選べる」ほうがいい

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この記事を書いた人
夏野 新さん【心理カウンセラー】

虐待防止や家庭環境についての専門家。心理カウンセラーの資格を活かしながら「妊娠、出産、育児」といった女性向けのサポートをするための情報を発信しています。2児の子どもを育てながら、2019年には自身の書籍「世界が変わる! アダルトチルドレンの自己観測」を出版し、悩みを抱えるご家庭への問題解決に尽力しています。

2020年現在、社会の在り方が大きく変わる動きが見られます。教育の分野でも、小学生児童のプログラミングの必修化や、小中学校の児童1人につき1台のパソコン配備が発表されるなど、革新的な変化が見られます。

そんな中、先日小中学校の教職員と保護者による意見交換会に参加してきました。当日の話合いの中で話題にのぼり、盛り上がりをみせたのが「宿題は廃止すべき?」というテーマについて。

海外では、小学校低学年には宿題を出さず、家庭での団らんの時間や休養に充てるようにと指導されるケースも出ています。

小学校の宿題は、今までの在り方のままではいけないのでしょうか。

学校の宿題にはどんな意義があるのか?

筆者自身、小学生の保護者として「宿題を見るのがつらい」と感じたことは何度もあります。宿題をやりなさいと指示することや、やる気にさせる方法を考える労力、物理的に失われる時間……。宿題によって、親子が揉めたり衝突したりすることもしばしばです。

でも、だからといって「宿題を廃止にすればいい」といえるのでしょうか。

宿題をなくしてほしい親が急増?

「宿題をなくしてほしい」そう訴える親は、実際のところ少なくありません。小学生の宿題は、親がサインをする・音読を聴く・ドリルの採点をするなど、親のサポートが欠かせません。

夏休みの宿題は「親の宿題」などともいわれて、多くの人がネガティブイメージをもっています。現代の核家族世帯の大人は非常に忙しく「宿題を見ることにまで手が回らない」と嘆いているのです。

しかし、その一方で「子供の勉強を見る時間にしか、味わえないものがある」「子供の宿題を見ることで新たな発見があった」「夏休みの自由研究は家族内のイベントにもなっている」というポジティブな意見を述べる人もいます。

ここは単純に、子育てへの意識の問題、時間的・経済的余裕などの差です。家庭ごとに教育方針や、生活スタイルが違うので、子供の勉強にどの程度重きを置くか、向き合えるかというレベルも違います。

学校の先生は宿題を通じて「家庭状況の把握」をしている

意見交換会に参加していた、小学校5年生の担任をしている男性教員はこんな本音を吐露してくれました。

「教員も、本音としては宿題を出さない方が楽です。でも、宿題には子供の家庭状況を把握する役割があると思っています。けっして、完璧にできているかどうかを見ているわけではありません。宿題に親のサインがどの程度あるか……というのはその子に関する情報源でもあるんです。

家庭訪問や面談も、子供のことを知るための手段ですが、宿題もそれと同じく子供やその周囲を取り巻く環境を知る手段のひとつなので、なくていいとは思えないですね。」

先生によって、宿題や家庭との連携についての考えに違いはあると思います。しかし、先生も親も「宿題はない方が楽ではあるけれど、自分なりに意義があると思っているから取り組んでいる」というラインが、いちばん自然に合致するところだといえます。

小中学校の宿題から見えてくる「みんないっしょ」の日本

このことから筆者は「みんな一緒でなければいけない」「平均値に合わせてがんばらなければいけない」という日本の固定観念や凝り固まったシステムが見えるように感じました。

・宿題はやらなければいけないもの
・できていないと親の評価が下がる
・うちの子だけできていないと不安

このような、周囲に足並みを揃えられないことへの不安が「宿題が大変」という感覚になるのです。確かに、学校の先生は宿題を通じて家庭状況を把握していますが、その結果によって親をジャッジしているわけではありません。

祖父母や親せきと同居していて、じっくり宿題を見てくれる相手のいる家。母親ひとりで生活のすべてを担う母子家庭。親がリモートワークで在宅し、共働きでも時間的余裕のある家庭……。本当に様々な家庭環境があります。そのなかで、子供にかけられる時間や労力に差が出るのは当たり前なのです。

宿題を一斉廃止するのではなく「選べるようにする」

筆者は「出された宿題は、全員が同じように、同じレベルでやるべきもの」と一律な固定観念を取り去るとよいのではないかと感じます。出されたものは黙ってやる、指示されたことを淡々とこなす……という時代は、そろそろ終わります。

各家庭で「宿題はなぜやるのか?」についてもう一歩踏み込んで考えたり「自分の家庭でサポートできるのはどの程度か?」ということを考えたりすることから始めなければなりません。

「我が家では、ここまでのサポートで精いっぱい」というラインをしっかりと見極めて申告することも必要なのではないかと考えます。また、先生側も「決まりなので、やらせてください」という一方的なスタイルをとらず、選択の余地を与えてあげることも必要なのではないかと感じました。

これからの教育は「選べる体制」をみんなでつくる

「宿題のせいで、親子関係が悪くなる」「宿題があるせいで家族団らんの時間が持てない」という理由から廃止を求めたり、不満を口にしたりするのでは、根本の解決になりません。

各家庭が自分たちの意思をもって「選ぶ」ということをもう少し柔軟にできるといいなぁと、筆者は考えます。

2020年の教育は、大きく変化します。子供たちを取り巻く環境が、柔軟な変化をしていくことで社会はもっと自由に、豊かになっていくのではないかと感じています。

▼子供の勉強との向き合い方をサポートする

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