幼稚園や保育園、学校など、社会性を身に着ける場所では必ず集団行動が必要になります。しかし、なかには集団行動がうまくできず、ひとりだけ違うことをしてしまったり、その場を離れようとしてしまったりする子どももいますよね。
「社会の中で生きていくには、集団行動ができないと困る」
そんな風に感じて、うちの子は大丈夫なのだろうか?と心配する親御さんも少なくありません。この記事では、集団行動ができない要因や発達障害との関連性についてお話しています。
集団行動ができるようになるのは何歳から?
一般的には、3歳までは集団行動ができなくても当たり前です。4歳ごろから徐々に、自分の欲求を抑えて周囲とのバランスを意識する「社会性」や「協調性」が芽生えはじめるため、集団に適応できる子どもが増えてきます。
同じ学年でも、子どもの生まれ月には差がありますし、子どもそれぞれの得手不得手があります。子どもの年齢でひとくくりにするのではなく「この子はなぜ集団行動が苦手なのか?」という視点で子どもに注目してください。
「できないこと」に対して、他の子と比較してはいけないという意見もあります。ただ、わたし個人としては、ほかの子どもと比較や対比をするからこそ自分の子どものことがよくわかる部分もあると考えています。
「できないのはどうしてなのか?」「そのことで本人が困ってはいないだろうか?」という見方をしてあげるのが重要ではないでしょうか。ほかの子どもたちや多数派の子どもたちと比較したときに「できないから劣っている」「できないから恥ずかしい」といった、偏ったジャッジをしないことが大切です。
集団行動ができない原因は?
一言に集団行動といっても、それらを細分化すると様々な形がありますよね。たとえば、自由に遊んでいる最中にそれを中断させることが難しく、集団の流れに遅れてしまう子もいます。
あるいは、先生の指示を耳で聞き、それを行動へスムーズにつなげることができず忘れてしまうので、集団の流れに乗り遅れやすいという子もいるでしょう。
また、その子自身が集団の中で遊んだり他者と関わったりすることの楽しさを感じないため、ひとりでマイペースに遊んでいるなど、さまざまなケースがあることを理解しましょう。
特に幼稚園や保育園、学校での活動は、時間でスケジュールを区切っています。以外にも活動内容は次から次へと目まぐるしく流れていくので、忙しいと感じる子どももいます。ねんどや折り紙に熱中しているのに、中断してお片づけをしなければならない。いろんなことに注意が向いてしまうのに、じっと座って先生の話を聞かなければいけない。
そんな「今何をすべきか」がすべて決められている状態に、子どもたちは頑張って適応しようとしているのもまた事実でしょう。
「普通の子はできるのに、うちの子はできない」と不安になる気持ちはあると思います。しかし、子どものそれぞれの特性や、傾向は多岐にわたります。一人として同じ発達バランスの子どもはいないため「我が子はどんな特徴や傾向をもっているのかな?」という視点で子どもを観察してみてください。
集団行動と発達障害との関連性は?
「集団行動ができない=発達障害」と考えるのは少し安直だと感じます。発達障害を疑うことや、診断を受けることは適切なサポートを受けるためや子どもの特性をより深く理解するためには必要なことです。しかし、集団行動が苦手なことと発達障害が直結しているかというとそうは言い切れません。
集団コミュニケーションの経験値
現代では核家族化や少子化が進んでおり、小さなころから子どもにかかわりを持つ人間が「母親」に限定されやすくなっています。遊び相手はいつもお母さんで、ときどきお父さんと遊ぶ程度という家庭も少なくありません。昔に比べて、兄弟の数も少なくなり、近所の友達と雑多になって遊ぶ機会も減りました。
集団の中で遊ぶ経験や、複数の人間関係でのコミュニケーションをとる経験が少ない子どもも増えているのです。そのため、子どもは「なぜ集団で行動しなければならないのか?」というそもそもの意図が分かっていなかったり、そこに不安を感じていたりすることもあります。
コミュニケーションは、たとえ子どもであっても場数を踏んでなんぼです。パターン化した人間関係の中だけで生活していると、集団に馴染むのに時間がかかることもあると覚えておきましょう。
「集団行動」を目的にせず、親と先生が連携を取る
「集団行動がとれる」というのは、子どもにとっての最終目的ではありません。人とのコミュニケーションや集団での活動の楽しさを感じてもらい、子どもの生活を豊かにするのが最終目標なのです。そのためには、できないことを叱るばかりではなく、他者と関わることや集団活動での楽しみ、喜びを伝えていくことも大切になるのではないでしょうか。
親と先生がしっかりと連携を取り、互いに相談し合える関係性を作ることも重要です。幼稚園や保育園、学校での様子から、できることとできないこと、得意な面と苦手な面という傾向が見えてきます。家庭内でも同じように、その子の特徴や傾向を注意深く観察し、報告し合うことが必要です。
家庭と集団の両方の様子を総合的に踏まえ「どのようなサポートをお願いできるか」「どのようなサポートが必要か」と、互いに擦り合わせをしていくのが重要になります。
集団にすんなり馴染めない子や、特性が強く表れる子は長期的な視点でサポートが必要になることがあります。親御さんだけで抱え込まず、先生やサポートの場へ協力を求めることが大切です。