子どもの健康・発達

子どもの独り言は心配しなくてOK!頭が良くなる独り言の秘密

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この記事を書いた人
いしみほ さん【育児コラムライター】

社会福祉学を専攻し、保育士・幼稚園教諭の資格を持つ育児コラムライター。社会福祉学部では「家庭環境ごとの子どもへの支援の必要性」や「北欧各国の福祉と教育」を学んだ知見を活かしコラムを執筆。2人のお子さんを育てながら、執筆の他にハンドメイド作家(タティングレース、イヤリングなど)としても活動中。

「あー、もうお願いだから静かにして!」
「もっと静かにできないの?」

毎日育児に追われていると、朝から晩まで子どもが話しかけてくるとイライラすることってありますよね。

特に3~6歳くらいの子どもは誰に向けているか分からないような「独り言」がとても多く、あまりにブツブツ言っていると心配になるお母さんもいると思います。

ですが、実は子どもに独り言が多いのは「思考」が始まった証拠であり、自分で考えて行動するためにとても大切なことなのです。

今回は保育士の私が、幼児に独り言が多い理由をお話していきたいと思います。

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子どもに独り言が多いのはなぜ?

子どもって独り言がとても多いですよね。

「やっちゃったー」
「んーどうしよう、でもなぁ…」
「やっぱり○○なんだよね…」

子供が小さいうちは常に何かを喋っています。
ちなみに私もあまりにも娘に独り言が多いので、見えない誰かと話せる力でもあるのかなと思ったことがありました(笑)

ですが、結論から言いますと子どもに独り言が多いのはごく自然なことであり、思考が始まった証拠ですので心配はいりません。その理由を順番にご説明していきたいと思います。

独り言を止めさせると子どもが自分で考える時間を奪う

実は子どもにとって独り言は思考そのものであり、無理矢理静かにさせるのは考える時間を奪うことでもあります。

そもそも子どもにとって「言葉にする」というのは脳にとってとてもいい刺激を与えることです。

都内の某幼稚園では表現力豊かな子ども達の製作作品が有名で、外部の教育者が幾人もその幼稚園の製作現場や作品を見学に来ます。

その表現力の源はどこにあるのかというと、実は製作活動中に「おしゃべりを止めさせない」を徹底することだそうです。

なぜなら、子どもにとって言葉を使っている時は頭がフル回転している証拠だからです。

「自分の頭の中で考えて行動できる」までは4ステップ

人間が場面の状況に応じて自分の頭で考えて行動できるようになるには、いくつかステップを踏むことが必要です。独り言が増えるのはこの思考の成長が大きく関係しています。

まず、第一ステップは「考えずに見ている状態」、
第二ステップは「親の行動を真似ている状態」です。

その後、第三ステップが「独り言を言って行動を考える状態」
第四ステップが「自分の頭の中で考えて行動できる状態」です。

自分の頭で考えるようになるステップ(目安の年齢)

  1. 考えずに見ている状態(0~1歳)
  2. 親の行動を真似る状態(1歳半~2歳)
  3. 独り言を言って行動を考える状態(3歳~6歳)
  4. 自分の頭の中で考えて行動できる状態(7歳ごろから)

具体的な場面を考えて説明しましょう。

例えば、公園に行って砂場遊びをした場面を想像してみて下さい。子どもが元気に遊んで服が泥まみれになってしまったら、どんな行動をするでしょうか。

第一ステップ 考えずに見ている状態

第一ステップの状態では、子どもは何も行動しません。お母さんが「あー泥だらけになっちゃった」「家帰って着替えないとね」と言うのを見ているだけです。1歳頃のお子さんは汚れてもあまり気にしないのでこの段階にあたります。

第二ステップ 親の行動を真似る状態

第二ステップになると今度は親の言動などを真似るようになります。「あー」と言ったり、お母さんが砂をはたくのを真似したりするようになります。しかし、これはあくまで真似であって自分で考えて行動したわけではありません。この段階は概ね2歳頃までのお子さんが当てはまります。

第三ステップ 独り言を言って行動を考える状態

一方、第三ステップになると「あーどろどろだー」「おうちできがえなきゃー」とブツブツ独り言を呟くようになり、家に帰っても着替えたりするようになります。この段階にくると徐々に自分の前で起こったことに応じて行動を考えるようになります。これが大体3歳~6歳頃です。

第四ステップ 自分の頭の中で考えて行動できる状態

そして、第四ステップになると“あ、砂場で遊んで汚れたなー”“砂をはたいて、家に帰ったら着替えないと”と自分の頭の中で考えて行動できるようになってきます。

ちなみにここまでできるようになるのは7歳前後だと言われています。

つまり、独り言が多い3歳~6歳の時期というのは、自分で考えて行動しようとする思考力が育ってきた段階だと言えるのです。

子どもは「外言」ができてから「内言」ができるようになる

幼児教育でもよく勉強するロシアの心理学者ヴィゴツキーは、子どもが使う言葉を「外言」と「内言」という2つの状態に分けています。

まず「外言」とは他人に向けられた言葉であり、コミュニケーションをはかるために使われる言葉です。

この状態では子どもは、相手が話した言葉に対して反射的に反応しているだけであり、自分の考えを介して話しているわけではありません。先ほど説明したステップで言うと、第一ステップと第二ステップの段階です。

一方「内言」は言葉を使って自分の考えや行動をコントロールできるようになってくる状態です。これは先ほど説明した段階ですと第四ステップに相当します。

子どもの独り言は外言と内言の「間」の状態

しかし、実際には外言と内言というのは「間」の状態が存在します。これが独り言の多い、第三ステップの段階です。

2歳頃までは大人の言動見ているだけや真似しているだけだった子どもも、3歳頃からは今起きたことに対してどうするべきかを過去の経験から考え行動するようになってきます。

ただ、子どもの脳は未熟なので全てを頭の中で考えるということができません。自分のやるべきことや行動を考えるために、独り言を言うことによって思考を補っているのです。

子どもにとって独り言は「行動指針」のようなもの

私たち大人も重要なことは言葉に出すという場面は普段からよくあることです。「お隣に回覧板回さないと!」「忘れないうちにメモメモ…」と行動するために独り言を言ったりもしますよね。

脳が未熟な状態の子どもはこれがさらに顕著に現れます。「今はこんな状態だ」「こんなことをしたら楽しそう」「だからこうしよう」というのを整理するために独り言を使っているわけです。子どもにとって独り言は、これからの行動を考えるために「行動指針」を作っている状態なのです。

“こんなにブツブツ言ってお友達から嫌われないかしら?”と心配になることもあると思います。ですが「今一生懸命自分の行動を考えてるのね」と理解して、ゆったりと見守ってあげて頂ければと思います。

「静かにして!」を3回に1回は飲み込んで

いかがでしたか。今回は子どもに独り言が多い理由をご紹介させて頂きました。子どもは自分の思考を補うために独り言を使っていることがお分かり頂けたと思います。

私も娘に独り言が多いと、ついついイライラしてしまいますが「静かにしなさい」という言葉を3回に1回くらいは飲み込んで、子どもの独り言を温かく見守っていけたらいいなと思います。

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