「1歳半過ぎても子どもが全然話さない」
「何か話そうとはしてるけど全部怪獣語…」
「2歳で話さないと発達障害なの…?」
子供が大きくなってくると周りの友達との差が気になることが増えてきます。特にお母さんが悩みやすいのが「子供が話さない」ことです。
最近ではネット上の情報を読むと発達障害や自閉症かもしれないと悩み、発達診断を受ける親御さんも多くいらっしゃいます。
お子さんが心配な気持ちは二児の母である筆者もよく分かります。誕生日が近い子が、話さない我が子の横でペラペラ話していると不安になりますよね。
ですが、言葉の発達には個人差がとても大きく、話さないからといって一概に発達障害であるとは言えません。
今回は「子供が話さない」という悩みを解消する対策をご紹介させて頂きます。
「子供が話さない」と発達障害の可能性があるの?
子供が話さないことで親御さんがまず心配になるのが「発達に遅れがあるのではないか…」ということです。
確かに、発達障害の中には言葉が出ないことが一つの診断の目安として設けられていますが、「言葉が出ない=発達障害」というわけではありません。
そもそも発達障害というのは数値的にみるとそれほど多くはないのです。
平成24年度に文部科学省が4万人を対象に行った「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」(※1)によると「学習綿又は行動面で著しい困難を示す」と回答された生徒の割合は小学校で7.7%、中学校で4.0%です。
つまり、100人中4人~7人は発達障害と疑われますが、残りの9割は特に障害はないということになります。
発達障害という言葉は近年よく耳にしますが、それほど高い確率ではないということを1つ認識しておいて頂きたいです。
「言語の遅延」が発達障害に100%当てはまるわけではない
例えば、言語発達の遅滞の基準になるのは「1歳半までに意味のある単語を話さない。3歳までに2語文を話さないとき」(※2)というのが一つの基準としてあります。
しかし、筆者の経験上、2歳でも全く話さなかったのに3歳になって急に言葉が話せるようになる子もいます。ですので、この基準が100%正しいというわけではないと考えています。
むしろ、2歳で話さない状態だったとしても「○○持ってきて」とお願いすると持ってきてくれたり、大人が言っていることが分かっている子は言葉の理解が進んでいるので大きな心配はいりません。
言葉を発するためには顔の筋肉の発達や、口の中の動きなどもあるのでその動きが上手くできず、言葉を上手に発することができないという場合もあります。
ですので、言葉が全くでないからと言って、発達障害や病気等をすぐに疑う必要はないのです。
子供は皆「言葉のコップ」を持っている
言葉の発達は個人差が非常に大きいので「どうしてうちの子はこんなに遅いのだろう…」と心配になることもあると思います。
そんな時、筆者はお母さん達にこんなイメージを持って頂くようにお願いしています。
子供達は頭の中に「言葉のコップ」を持っています。「言葉が話せる」という状態になるには、このコップに注ぐ言葉の量がコップから溢れ出た瞬間だと考えて欲しいのです。
ですが「言葉のコップ」の大きさというのは、子供によってサイズが全く違います。言葉を少し聞いただけで溢れ出す子もいれば、たっぷり貯めてゆっくり溢れ出す子もいるのです。
ですから、すごく早く話せるようになったり、ゆっくり話せるようになったり、全く話さなかったのに突然話し出したりという色んなケースが子供によって見られます。
「子供が話さなくて心配だな」と感じたら“この子は言葉の水をたっぷり貯める子なんだな”と考えてあげて下さい。
そうすると「他の子と言葉の発達に差が出るのは当たり前だな」という気持ちになって頂けると思います。
子供が話さない時の対処法 家庭でできる言葉を育む方法5つ
子供の言葉を発達させるにはちょっとした工夫が必要です。ここでは保育士の筆者が実践する言葉を育む方法をご紹介します。
(1)子供に短い言葉でたくさん話しかける
まずは子供にたくさん話しかけるようにしましょう。
この時に大切なのは「短い言葉」で話しかることです。「おはよう」「おやすみ」などの挨拶や「積み木、楽しいね」「お洋服、着よう」など1語や2語の言葉を話すと子供は聞き取りやすく、発声しやすくなります。
筆者もそうだったのですが、小さい子供と日中二人でいると基本的に会話が成り立たないので、意外と子供に話しかけていないことも多いです。
特に普段からあまり話さないタイプの方は意識して話しかけるようにしてみて下さい。
(2)実況中継をする
子供に話しかけた方がいいとは分かっていても“一体何を話せばいいの?”と悩むお母さんも多いと思います。
そこでおすすめなのが「お母さんの行動を実況中継する」ことです。
具体的には、例えばご飯の準備をしている時に「お母さんはニンジンの皮を剥いています」「皮を剥いたら包丁でトントンします」など、お母さんがやっている行動について話すのです。
他にも私がよくやっていたのが、買い物から帰って買い物袋から冷蔵庫に食材を移す時に「これはお豆腐です」「これはお肉」「これはねーバナナ」と買い物袋から出しながら説明していました。
とても簡単なことですが、慣れてくると子供も結構興味を持ってくれますので、ぜひやってみて頂ければと思います。
(3)一緒に住んでいる人以外がいる場所に行く
家の中で子供と二人きりでいると、子供は基本的に親以外から言葉をかけてもらえることがありません。
そうすると、お母さんは言葉を話さなくても我が子の伝えたいことを何となく分かってしまうので、子供自身が「言葉で伝えよう」という意識が芽生えにくい状態になってしまいます。
ですので、意識的に一緒に住んでいる人以外の人と過ごす時間を設けましょう。公園や児童館に行って知らない人と交流すると、自分が言葉を発しないと伝わらないことに気付くことができます。
また、長期休みなどに実家に帰るのもおすすめです。実際、私の娘はお盆や年末年始の実家への帰省が終わって帰ってくると驚くほど言葉が上達しました。
ぜひおじいちゃん、おばあちゃん、近所の方や友達などたくさんの人から言葉言葉をかけてもらってみて下さい。
(4)絵本を読む
1歳半検診などで言葉の遅延が見られるときもよくアドバイスされる方法です。絵本は絵と言葉を結びつけて理解するのに絶好のツールです。
また、ロングセラーとなっている絵本には上手に「擬音語」が使ってあるものが多く、楽しく発声できるフレーズがたくさんあります。
子供の興味や年齢に合ったものなどを1日に1冊でも読んでみてあげて下さい。
(5)童謡を歌う
童謡を歌うことも簡単にできて言葉を覚えてくれやすい方法の1つです。遊び歌や子守唄、季節の歌などをお散歩やお風呂の中などで歌ってあげると子供は楽しんで言葉を覚えることができます。
実際に私の2歳の息子はかたつむりを「でんでんむし」、象のことを「ぞーうさん」、キノコのことを「き、き、きのこ」と言います。
かたつむりと象は童謡から、きのこは娘が幼稚園で習った歌を歌っているのを聞いて覚えたようです。
また“歌を歌うのはちょっと恥ずかしい…”というお母さんにおすすめなのが「歌絵本」です。歌絵本はボタンを押すと童謡を歌ってくれる機能がついていてとても便利です。
赤ちゃんや子供の絵本コーナーに行くとかなりの確立で置いてありますので、気になる方はぜひご覧になってみて下さい。
子供の頃、3歳まで妹が話さなかった理由は…
いかがでしたか。今回は子供が話さない時の対処法についてお話しました。最近はネット上で様々な情報が手に入るのでつい色んな可能性を心配してしまいますが、言葉の発達はとても個人差が大きいので基本的には大丈夫です。
筆者の妹は3歳手前までほとんど喋らないので私の両親はとても心配したそうです。
ですが、3歳を過ぎて急にお喋りになった時、私の母が「どうして今まで話さなかったの?」となんとなく聞いてみたことがあったそうです。
すると、妹はなんと「あのね、お姉ちゃん(筆者)がうるさくてお話できなかったの」と言ったそうです(笑)
こんなケースは稀かもしれませんが、ある日突然喋りだす子もたくさんいます。不安になることもあるかもしれませんが、家庭で上手に言葉を育む練習をしながら見守って頂ければと思います。
※1 通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1328729.htm
※2 言語発達遅滞、発達障害(山口耳鼻咽喉科クリニック)
http://home.e-catv.ne.jp/jibika/naze70.htm