こだわりが強いお子さん、癇癪や自己主張の激しい時にどう対応するか。
子どもは個性豊かで、その子それぞれの性格があります。
中には、ものごとに対するこだわりが強く、親子のコミュニケーションや生活上の「うまくいかなさ」に悩んでいるご家庭もあることでしょう。
なぜこんなに癇癪を起すのか?
どうしてスムーズなやりとりができないのか?
そんな風に、頭を抱えている親御さんや、子どもの融通のきかなさにイライラしてしまうこともあるかもしれませんね。
この記事では、こだわりの強い子どもをより深く理解し、どう対処していくかというポイントをお伝えしています。
こだわりが強い子は、こんな特徴をもっている!?
こだわりが強い子は、いくつかの特徴をもっています。単純に「自己主張が激しい子」と決めつけることなく、その子の特徴やパターンを理解するための参考にしてみてください。
感覚が鋭いことで、こだわりも強く出る
こだわりの強い子どもは、そうでない子と比べて感覚の鋭さをもっていることがあります。
感覚とは、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚といった五感のことです。五感の中でもどの感覚が特に敏感であるかはそれぞれに異なります。
たとえば、食べ物の好き嫌いが激しく偏食気味の子どもは味覚が過敏なのかもしれません。
また、触覚過敏がある子どもは洋服の着心地、素材へのこだわりをもち、聴覚過敏の場合には大きな音や特定の音を嫌がって癇癪を起すこともあります。
単純に好き嫌いがはっきりしていて自己主張が激しいのではなく、感覚の過敏さによって快・不快を自分でコントロールしようとしている表れなのです。
自分の好みや決まったルーティンなどにこだわる
こだわりの強い子は、自分の好きなものや嫌いなものがはっきりとしています。
先ほど述べた感覚過敏からくる快・不快に従い自己表現をしていることもあれば、社会的な要因に対して不安を感じやすい子もいます。
・日決まった道順、手段で移動しないと不安で泣いてしまう
・いつものルーティンが欠けると癇癪を起す
・予想外のできごとに固まってしまう
・ルールや規則、勝ち負けなどにこだわる
あくまでも一例ですが、このようなこだわりは社会的な不安からくるものです。
気持ちの切り替えが難しいことも多く、一度癇癪を起したり気持ちが沈んだりしてしまうと、いつもの状態に戻るまでに時間がかかることもあります。
こだわりが強い子どもと発達障害の関係性って?
こだわりの強い子に対して悩んでいるとき、必ず浮かんでくるのが「発達障害の可能性」です。
先ほど挙げた特徴に当てはまるような行動が見られたからといって、必ずしも発達障害になるわけではありません。
そもそも、発達障害とはその子の持っている特性が強く出ることによって、日常生活が困難になっている場合に診断されるもの。
ですから、どんな子どもにも気質の凹凸、発達特性があるということをまずは理解しましょう。
また、親御さんの適切な理解とサポートがあれば、成長とともにこだわりを自分でコントロールする力も育っていきます。
こだわりの強さは、自分の子どもを理解することで緩和
こだわりが強い子どもの子育ては確かに大変です。筆者に発達特性の強い子どもを育てているのでよくわかります。
幼いころからストレス耐性が弱く、癇癪を起しやすい子でした。しかし、そんな「育てにくい子」と接していくときに大事なのは「この子は一体、どんな子どもなのか?」をしっかり理解する姿勢だと実感しています。
初めての子育てでは「普通の子ども像」という漠然としたイメージ、そして周囲の子どもとの対比の中で我が子を理解していくことも多いように感じられます。
しかし、すべての子どもは「普通の子」ではなく個性あふれる人間です。この子が何を好み、何を苦手とするのか。
何に不安を感じ、何を喜ぶのか……ということを、事細かに見ていく必要があります。
すると、自分の子どもに対する情報がどんどん蓄積されていきますよね。
その情報をひとつの線につなげれば「この子はどんな子どもなのか?」が理解しやすくなります。
すると自然に「では、どういう対応をしてあげたらよいのか?」もわかりやすくなるのです。
こだわりが強い子どもへの接し方のポイント
こだわりの強い子への理解を深めたところで、実際に癇癪を起したりスムーズに事が進まなかったりする場合にどのような対処をしたらよいかを考えてみましょう。
時間の計画、ルーティンの想定を徹底する
こだわりの強い子どもは、親の思い通りに動かないことが多くなります。生活がスムーズに進まないことも多いでしょう。
何をするにも時間が多くかかることを心得ておく必要があります。また、事前に準備したり計画を立てたりしておく必要性も高くなります。
子どもの特徴やパターンを理解できるようになると、どのくらいの時間で、どんなルーティンを組めばよいかもかわりやすくなっていくでしょう。
共感・見守り・褒める
まずは「これが嫌だったんだね」「びっくりしちゃったよね」というように、一言二言でいいので共感を示してあげます。
そして、子どもの感情が落ち着くまではそっとしておいて大丈夫です。イライラしたら、少し距離をとって見守ってください。
最後に、落ち着きを取り戻して気持ちを切り替えられたときにはしっかり褒めてあげる。毎回必ずできなくてもいいので、この3ステップを意識してみましょう。
子どものこだわりを理解すれば、冷静に対応できる
こだわりの強い子は、激しい癇癪を起したり気持ちの切り替えが難しかったりするため、親子間での感情の衝突が起こりやすくなります。
現代の忙しい親御さんとしてはイライラするし、ときにはうんざりしてしまうのも当然です。
しかし、子どもの癇癪の原因やそのメカニズムがわかれば、親御さん自身の感情の処理もしやすくなります。子どもの様子一つ一つが理由の分からない行動ではなくなるため、親御さんも落ち着いて冷静に対応してあげられるようになるのではないでしょうか。