子どもの健康・発達

見る・聞く・感じるの3つ!子どもの感覚優位性を知ろう

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この記事を書いた人
夏野 新さん【心理カウンセラー】

虐待防止や家庭環境についての専門家。心理カウンセラーの資格を活かしながら「妊娠、出産、育児」といった女性向けのサポートをするための情報を発信しています。2児の子どもを育てながら、2019年には自身の書籍「世界が変わる! アダルトチルドレンの自己観測」を出版し、悩みを抱えるご家庭への問題解決に尽力しています。

「感覚優位」という言葉を聞いたことがありますか?人は、五感を使って情報を処理していますが、人によって「視覚」からの情報を読み取りやすい人、「聴覚」から情報を読み取るのが得意人など、感覚の優位性に違いがあります。

小さな子どもでも、生まれもった特性によってどの感覚が優位なのかが違っています。自分の子どもの感覚優位性を知ることで、今よりもコミュニケーションがとりやすくなったり、学習や生活習慣の工夫がしやすくなったりするかもしれません。この記事では、子どもの感覚優位タイプついて詳しく解説します。

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子どもの感覚優位性とは?

子どもも大人も、日常の情報処理として優位になるのは「視覚」「聴覚」「感覚」の3つであるとされています。まずはお子さんがどの感覚が優位なタイプなのかチェックしてみましょう。

視覚優位

視覚優位は、目から入る情報処理に長けています。たとえば、図や絵などを見て理解するほうが得意だったり、色彩感覚に優れていたりします。過去の記憶も、映像で覚えていることが多いです。視覚優位なため、目に飛び込む情報が多く気が散りやすい、園や学校で先生の指示を聞き逃してしまうなどつまずきを感じることがあるかもしれません。

聴覚優位

聴覚優位は、耳で聞く情報処理に長けています。人の話は一度聞けばすぐに理解でき、耳で聞いた話や言葉を記憶するのが得意です。語彙が増えやすいため、話す能力も高くなりやすい傾向にあります。ただし、目で見て判断するのは少し苦手なので、周りの動きを見て自分も動くことや、絵や図の多いテキストやプリントを理解しにくいなどの課題があります。

体感優位

体感優位は、見たり聞いたりする情報よりもその場の雰囲気や、自分の体の動きを使って情報を処理します。実際に動いたり、体験したりすることで物事が身つくタイプです。「~な感じ」など体の感覚を使った表現を好み、表現力が独特で豊かです。早口での指示や、次から次へと切り替わる画面などに思考が追い付けないことがあります。

どんな人にも優位な感覚がある

誰でも視覚、聴覚、身体感覚すべてを使って情報処理を行いますが、その中でも特に優位に働く感覚がある、と捉えてみてください。どの感覚が優位なのか知るだけで、これまで「どうしたらうまくできるんだろう?」と悩んでいたことも、違った指示やアプローチへ変えるアイデアが浮かぶと思います。子どもだけでなく、親御さん自身もどの感覚が優位なタイプかチェックしてみてください。

子どもの感覚優位性と親子のコミュニケーション方法

子どもの感覚の優位性を知ったら、それぞれに適した学習法やコミュニケーションを日常に取り入れてみましょう。

視覚優位の子ども

・図や絵などを使って指示や指導する
・理解度を確かめるときも図や絵を描かせてみる
・話し合いをするときは紙に書きながら整理する

視覚優位の子どもには、図や絵などの視覚的要素を日常のコミュニケーションや学習の中に取り入れてみましょう。感覚的に「わかったつもり」になったり早とちりする傾向があるため、細かい部分の理解度や定着度を知るためには、自分の言葉で説明したり書き出したりするアウトプットが効果的です。

聴覚優位の子ども

・言葉を一つひとつはっきり丁寧に伝える
・教科書、学校からのお便りなどは音読して理解する
・全体の流れ、日常のルーティーンは歌などにして耳で覚える

聴覚優位の子どもは耳からの情報をしっかり取り込むので、内容ごとに区切って丁寧に伝えましょう。覚えたい内容は音読すると記憶しやすいです。年齢が小さいうちは親御さんが音読してあげてください。物事の細部に注意が向いてしまうので、全体の流れを図や目次にしてイメージをつなげやすくしてあげるとよいです。

身体感覚優位の子ども

・何かを覚えるときは体の動きに絡める
・教えるよりもまずは体験させる
・数字や用語などを理解していないことがあるので確認する

暗記することや覚えるべきことは、口を大きく開けて復唱したり身振り手振りを交えたりと、体の動きにつなげて指導すると身に付きやすいです。また、実際にやってみて覚える方が早いので、何でも体験させるほうがよいでしょう。視覚優位と同じように感覚的にものごとを捉えやすいため「何時」「何回」「何日まで」などの数字や、物や人、場所の名前などを正しく理解しているか確認してあげてください。

子どもの個性と優位性を知れば、子育てはもっと楽になる

以上、子どもの感覚優位性タイプと、それぞれに合った親子のコミュニケーションのコツを紹介しました。

「なぜ何度言ってもわからないの?」「どうしてこれが理解できないの……」そんな親の不安や悩み、すれ違いは、お互いの感覚優位性の違いからきていることもあります。

また、子ども自身が自分の特性を理解し、それぞれに適した方法で生活やコミュニケーションをする経験は財産ともいえます。将来子どもが大人になって社会に出たときにも、自分の特性に合わせた試行錯誤がしやすくなるためです。ストレスのないコミュニケーションや、円滑な意思疎通を図るためにも、ぜひ家族みんなで感覚の優位性に注目してみてはいかがでしょうか。

※参考記事
あなたの子ども、部下はどの感覚タイプ?才能の見つけ方、伸ばし方
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/8916?page=4

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