子どもの健康・発達

このままで大丈夫?自分で決められない子どもの「意思」を救い上げて伸ばす方法

子どもの健康・発達
この記事を書いた人
夏野 新さん【心理カウンセラー】

虐待防止や家庭環境についての専門家。心理カウンセラーの資格を活かしながら「妊娠、出産、育児」といった女性向けのサポートをするための情報を発信しています。2児の子どもを育てながら、2019年には自身の書籍「世界が変わる! アダルトチルドレンの自己観測」を出版し、悩みを抱えるご家庭への問題解決に尽力しています。

何かを決定したり、選んだりするときに、なかなか決められなかったり時間がかかってしまう子どもがいます。

親には、子どもの意思を尊重したい気持ちがあるでしょう。しかし、子ども自身が明確な意思表示をするのが苦手だったり、決めるのに時間がかかったりする場合、接し方に迷うことが多くなります。

世の中では、自分の意見をはっきり言うことを求められる場面が多く、自分で決めたことに責任をもって生きていくのが望ましいとされることもあります。そんな中、子どもの優柔不断さが気になって不安を抱えてしまうこともあるでしょう。

この記事では、自分で決められない子どもの性格と、接し方のポイントをお伝えしていきます。

スポンサーリンク

自分で決められない子どもってどんなタイプ?

まずは、自分で決められない子どもの特徴をチェックしてみましょう。

・何かを選ぶのに時間がかかる
・誰かの意見に左右されることがある
・周りの人の意見が出そろってから決める
・一度決めても「やっぱりこっち…」と迷う など

自分で決めるのが苦手なのは、もともとの性格が大きく影響しているでしょう。情報の整理に時間がかかったり、多くの選択肢を吟味する慎重さをもっていたりする可能性があります。

しかし、限られた時間の中で決めなければならないことや、周囲と調和を保つために「なんでもいいや」「どれでもいい」と自分の決定を投げてしまう場合もあります。

これは一見、短所のように見えるかもしれません。しかし、見方を変えれば「柔軟性があって許容範囲が広い」「周りとの調和を大切にする」という風にもとることができます。

子どもが自分で決められないのは、環境のせい?

子どもが自分で何かを決められないのは、親の接し方や環境のせいなのでは?という不安を抱える場合もあるでしょう。

前途した通り、自分で決めるのが苦手な子はもともと意思表示や決断に時間がかかる性格をもっている可能性が高いです。しかし、そのような性格上、周囲の大人が決めざるを得なかったり、ついつい誘導してしまったり……といったことも起こりやすくなるのです。

なかなか決められず悩んでいるとき「これはどう?こっちがいいんじゃない?」と親が助言をするようなシーンがあると思います。これ自体は悪いことではありませんが、思慮深い子ほど大人の意見を飲んでしまったり、決定権を人にゆだねてしまったりする機会が増えます。すると子どもは、どんどん親や周囲に判断を任せるのが楽になり、親も子どもの意見をコントロールしやすくなる、という構造ができてしまうのです。

親の接し方が子どもの性格を決めているわけではありません。親が子どもの性格に合わせた接し方を心掛け、子どもの意思をできるだけ潰さないことが大切だと考えてみましょう。

自分で決められない子への接し方のポイント

では、自分で決めるのが苦手な子にはどのように接していけばよいのでしょうか。

選択肢を与えてあげる

何かを選んだり決めたりするのに時間がかかってしまうと、どうしても急かしたくなったり親が誘導したくなったりします。そこで、選択肢をいくつかに絞るところまで大人が担い、最終決定を子どもに任せるようにしてみてください。

「AとBならどっちがいい?」
「A・B・Cの中から自由に決めていいよ」

このようにあらかじめ選択肢を絞ってあげれば、子どもは決断しやすくなります。

時間をかけて待ってあげる

自分で決めるのが苦手な子は、頭の中でさまざまな情報をじっくり整理している可能性があります。そのため、できるだけ時間をかけて待ってあげること、すぐに決断を迫らないことも大事です。

「すぐに答えなければ」「早く決めなければ」と焦ることで、自分の意思をないがしろにするクセがつくこともあります。前項の「選択肢を絞る」ことは時間短縮になりますが、時間が許す場合は「〇時までに決めておいてね」「〇〇までに考えておいてね」と猶予を与えてあげるのも有効です。

子どもが決めたことには口を出さない

ここで注意しておきたいのは、子どもが自分で決めたことを批判したり、大人が誘導したりしないことです。

たとえば、子どもが「Aにする」と決めた後で、

「Bのほうがいいんじゃないの?」
「Bが好きだって、前に言ってたじゃない」

などと子どもが選んだことに批判や口出しをすると、思慮深い子どもは簡単に意見を変えるようになる可能性があります。

自分で決めるのが苦手な子、意思表示をするのに時間がかかる子は、簡単に親がコントロールできてしまう危険性をはらんでいます。子どもに選ばせている、決めさせているように見せかけて、実は親が誘導してしまっている……ということも珍しくありません。

頑固で好き嫌いのはっきりしている性格の子は「親がなんと言おうと自分はこうするのだ」と自分の意思を守ります。しかし、思慮深く調和を保つ能力がある子ほど親の意向に沿った決断をしたり、空気を読んで自分の意思を曲げたりしてしまいます。

意思表示の弱い子ほど、親の都合がいいようにしないことが大切です。子どもの中から出てくる意思や決定をしっかり救い上げて尊重するように意識してみてください。

注意深く見守り、長所を伸ばしていく

自分で決めるのが苦手な子、意思表示の弱い子は、注意深く観察していないと子どもの本当の気持ちを見逃してしまうかもしれません。しかし、周囲との調和を取るのが上手で、物事を慎重に考えることは長所といえるのではないでしょうか。

まずは大人が子どもの性格を理解し、認めてあげてください。そのうえで、優柔不断さや慎重さを長所と捉え、どのように伸ばしていくか考えるのが大切です。

タイトルとURLをコピーしました