子どもの健康・発達

赤ちゃんの人見知りはいつまで?人見知りを克服するための解決策は

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この記事を書いた人
いしみほ さん【育児コラムライター】

社会福祉学を専攻し、保育士・幼稚園教諭の資格を持つ育児コラムライター。社会福祉学部では「家庭環境ごとの子どもへの支援の必要性」や「北欧各国の福祉と教育」を学んだ知見を活かしコラムを執筆。2人のお子さんを育てながら、執筆の他にハンドメイド作家(タティングレース、イヤリングなど)としても活動中。

「人見知りが酷くて母親の私から絶対に離れようとしない」
「義理の両親に抱かれると大泣きして気まずい」
「公園や児童館に行っても誰かいるとすぐに逃げてしまう」

今までは誰に抱かれても泣くことなんてなかったのに、ある日突然始まる子どもの人見知り。お母さんも自分を求めて泣いてくれるのは可愛いけれど、どこに行っても泣き出してしまうのは大変ですよね。

今回は保育士の私から子どもの人見知りが始まる時期や対策、克服法などについてお話していきたいと思います。

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人見知りは生後6ヶ月くらいから始まり2歳ごろに落ち着くのが一般的

まず、一般的な話として、赤ちゃんの人見知りは6ヶ月くらいから始まることが多いです。これは生後半年頃から赤ちゃんがよく見かけたり、お世話をしてくれたりする人を脳が記憶できるようになることが関係しています。

人見知りが始まると赤ちゃんが急によく泣くようになるので、お母さんは戸惑ってしまいますよね。ですが、赤ちゃんがきちんとお母さんのことを覚えているという成長の証ですので心配はいりません。

また、生後半年頃から始まる人見知りは2歳くらいになると落ち着いてきます。この頃の人見知りは、子どもの一時的な成長過程ですので「あ、大きくなったんだな」という温かい目で見守って頂ければと思います。

人見知りで悩む最大の原因は「個人差」と「不確かな情報」

しかし中には「でもうちの子、2歳を過ぎてもまだ人見知りをしているんです…」というお子さんもいらっしゃるかと思います。

先ほどお話した期間というのはあくまで「目安」です。ここに入らないからといって成長過程に問題があるわけではありません。

人見知りというのは非常に個人差が大きいので、半年より早く始まる子どももいれば、1歳を過ぎてから始まる子もいます。

とても短い期間で終わる子もいれば、3歳になっても人見知りだと言う子もごく普通にいます。

また「いつまでも人見知りなのは母親が悪い」「人見知りをしないのは発達障害の証拠だ」といった心無い言葉で落ち込んでしまうお母さんもいると思います。

ですが、言ってくる人というのは大抵の場合が「子どもの専門家」ではありません。どこかで中途半端に仕入れた根拠のない情報であることがほとんどです。

良かれと思っておっしゃっているにせよ、こういった言葉は頑張っているお母さんにとっては迷惑ですよね。あまり耳を貸しすぎずに受け流すようにして下さい。

人見知りが強い子は「好奇心が強い」証拠でもある

人見知りが激しい子というのは「怖がり」だというイメージが強いと思います。ですから、お母さんも「うちの子、園に通えるかしら…」と集団生活が不安になることもあるでしょう。しかし、最近の研究で人見知りの子どもについて面白いことが分かっています。

実は人見知りが強い子というのは「怖がり」という気質以外にも「好奇心が強い」という研究結果が出ているんです。以下研究の一文です。

人見知り傾向の強い赤ちゃんは、「接近」と「怖がり」の両方の気質が強く、「近づきたいけど怖い」という「心の葛藤」を持ちやすいことが推察できました。(※1)

この研究では人見知りが激しい赤ちゃんはどうして泣いてしまうのかも調べています。そこでは「怖がり」という気質だけでは人見知りが説明できないことにも触れています。(※1)

確かに人見知りをしている子も、最初は泣いたりお母さんの後ろに隠れたりしていますが、途中からそろそろ近づいて行ったり、急に話し始めたりすることもありますよね。

ですから、人見知りの子はただ単に怖がっているわけではないのです。「この人どんな人なのかな?」「仲良くしてみたいけど大丈夫かな?」というコミュニケーションを取りたいという気持ちを持っていることを、お母さんには知っておいて頂ければと思います。

人見知りの子はよく気が付き、物覚えが良い子が多い

色んな子供と接する保育士から見ても一人として同じ子供はいません。それほど子供とは個性豊かです。

中には人見知りなど全くせずにいつもニコニコして多くの人から可愛がられる子もいます。そういった子を見るとなんとなく「自分の子もそうなってくれたらな…」と歯がゆい思いをすることもあるかもしれません。

ですが、保育士の感覚として人見知りの子は記憶力に優れ、観察力がある子がとても多いです。人と関わるのは慎重な側面はありますが、周りのことはよく見てくれていて、教えたことも早く覚えてくれます。

担任の先生が指に絆創膏を貼っているのにすぐに気付いて「先生どうしたの?」「痛かったの?」と心配してくれる優しい子や、普段は物静かだけど好きな車について大人顔負けの知識をたくさん持っている子もいます。

人見知りというのは、あくまでその子の一面です。人見知りで慎重だからこそ周りのことによく気付き、話したことをよく聞いて覚えてくれるという側面もあるのです。

それは、社交的で明るい子と同じだけ素晴らしいことだと私は思います。ですから、たとえ人見知りの期間が長くても、お子さんの一つの個性だと受け止めてあげて下さい。

人見知りを少しでも克服するには?具体的な解決法

とはいっても、お正月の親戚の集まりで大泣きされたり、せっかく公園に行ったのに一目散に逃げ出されたりしてしまうとお母さんも色々困る場面がありますよね。ここでは保育士の私から具体的な解決策をご紹介したいと思います。

(1)お母さんが辛くならない程度に外へ連れ出す

人見知りが強いお子さんは色んな場所で泣いてしまうので、お母さんはそれがかわいそうで家に閉じこもってしまうこともあると思います。

しかし、家に閉じこもってしまうと、お子さんは家を出ると色んな人がいることをなかなか理解できません。

人見知りが激しい子も半年くらい保育園や幼稚園に通うと、園で泣くことはほとんどなくなります。それは、その子の中に毎日顔を合わせたり、挨拶を交わしたりすることで先生やお友達の顔が記憶できるからです。

「うちの子人見知りだし外で泣かれると大変で…」というのがお母さんの本音だとは思います。ですが、子どもの中の世界を広げてあげる意味でも週に1回くらいは公園や児童館に連れ出してあげることも大切です。

(2)写真や動画、テレビ電話で慣れさせる

顔を合わせる機会がある祖父母や親戚は、子どもに顔を覚えてもらうことで人見知りを緩和させることができます。

私の友人の子で激しい人見知りをする2歳のAちゃんがいます。Aちゃんは散歩道で前から人が来たらお母さんの後ろにぴったりと隠れるか、反対方向に逃げ出してしまうほど強い人見知りの子でした。

そんなAちゃんにある日親戚から「結婚式のリングガールをやって欲しい」というお願いがありました。

私の友人は悩んだ末、以下のようなことをしたそうです。

  • 新郎新婦の二人の顔をプリントアウトして壁に貼り「○○さんと○○さんだよ」と毎日教える
  • 新郎新婦に動画を送ってもらって一緒に見る
  • 友人と新郎新婦がテレビ電話で話す姿をAちゃんに見せる

このような努力の甲斐もあり、Aちゃんは式の1ヶ月前には新郎新婦の二人とテレビ電話で話せるほど成長したのです。そして、最終的には結婚式本番で立派にリングガールを務めたそうです。

ここまでの努力はなかなかできないものかとは思いますが、普段からスマホを活用して祖父母や親戚の写真を見せてあげることはできます。

また、テレビ電話で顔を合わせるだけでも効果は期待できますので、ぜひやってみて下さい。

(3)お母さんが相手の人と仲良く話す姿を見せる

子どもが人見知りをしてしまう相手に対して、お母さんが仲良く話す姿を見せるのも子どもの警戒心を解くには効果的です。

ここでは、私が実際に使っている技をご紹介します。例えば、人見知りの時期の子どもがいる友人の家に行く時、私はお子さんに笑顔で挨拶をしたらその時はすぐに話しかけません。代わりに友人としばらくお喋りをする姿をお子さんに見せるようにしています。

子どもはお母さんが仲良くしている相手、大事に想っている相手だと理解すると一定の時間を過ぎれば少しずつ近くに来てくれるからです。

特に小さいお子さんはお母さんと相手の人の関係で心の距離を測っています。ですから、お母さんが相手の人と仲良く話している姿を見せるというのはとても有効です。

お母さんが楽しそうにしていれば、お子さんはそれだけで怖い気持ちが緩和されますし「人と話すのって楽しいんだな」と理解できます。

誰にでも仲良く話しかける必要はありません。ですが、児童館で会ったお母さんと世間話をしたり、近所の方と立ち話をする姿などもお子さんに見せてあげたりしてみて下さい。

「人見知り芸人さん」がたくさんの人を笑わせるネタを書いている

いかがでしたか?今回は子どもの人見知りについて詳しくお話させて頂きました。人見知りというのは個人差が大きいものですので、周りのお子さんと違ってもあまり心配しないで頂きたいと思います。

また、人見知りであることに不安を抱えるお母さんも多いと思いますが、実は人見知りの性格の方が素晴らしい才能を発揮することもあります。

以前テレビで絵が下手な芸人さんと、絵が得意な芸人さんを紹介している番組がありました。明るくて社交的な芸人さんはとてつもなく絵が下手な人が多くおもわず笑ってしまいました。

しかし、一方で物静かでトーク下手な芸人さんは周りが感動するほど美しい絵を描いていました。そして、コントや漫才のネタを書いているのも大人しい芸人さんが多かったことが私はとても印象に残りました。

人と関わることが苦手でも人を感動させることや、笑わせることはいくらでもできるのだと私はその時に教えてもらったような気がします。

人見知りであるからといってその子の個性が輝かないわけではありません。お母さんとしては悩むこともあると思います。ですが、人見知りも個性の一つとしておおらかに受け止めて、お子さんの成長を見守って頂きたいと思います。

※1 赤ちゃんの「人見知り」行動~単なる怖がりではなく「近づきたいけど怖い」心の葛藤(京都大学)
http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/news6/2013/130606_1.htm

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