育児と向き合う

育児書に振り回されない「時代に合わせた子育て」。本質を見失わない子供との向き合い方とは

育児と向き合う
この記事を書いた人
鈴木 邦明さん【帝京平成大学 講師】

教育学を専門とする大学講師。22年間小学校の教員のご経験を活かし「小学校入学時に子どもが感じる不安と小一プロブレムの関連、小学校の学級経営のあり方」等の研究をされています。また自身での書籍出版や、All Aboutの「子育て・教育ガイド」、日経DUAL、リセマム 、ベネッセたまひよ、学研ママノートなど、執筆や取材協力など多岐にわたり、教育にまつわる情報を発信しています。

社会の変化は非常にスピードの速いものです。30年程前にアニメや映画で描かれていた未来の道具が、現在は普通の生活の中で使われるようになったものがいくつもあります。そういった社会の変化に応じて、親は子どもへの関わり方を変えていく必要があるのだと思います。今回、「社会の変化と子育て」についてまとめました。

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子どもの周りで起こっている変化は?

子どもが育つ環境は時代と共に大きく変化をしてきています。子どもに関わる社会の変化は「少子化」「自動化」「I T化」などが挙げられます。

「少子化」に関しては、年々、生まれてくる子どもの数が減ってきています。以前よりも少なくなった子どもを大切に育てていこうという傾向になっています。

また、様々な場所においても子どもの数が少なく、子ども同士で関わる機会が減ってきています。たくさんの人との関わりの中で学んでいたものが得にくい状況となっています。

「自動化」に関しては、様々な便利な道具が開発、販売されています。それにより日々の暮らしが快適になり、暮らしやすいものになっているという反面、日々の暮らしにおいて人々があまり体を動かさなくなってきているという状況があります。

「I T化」に関しては、ネット、スマホなどを代表とする情報機器の発達が大きな要素です。これらの進歩は人々の生活を大きく変え、学びのスタイルをも変えようとしています。

現在、学校では、タブレットなどを用いた電子教科書が利用され始めており、学習指導要領が変わったことにより「プログラミング教育」が全国の小学校で行われるようになっています。

また、教育分野における質の高い動画などが公開されたり、良質なアプリなどが開発されたりしてきており、学びのスタイルに少しずつ変化が出てきています。こういったI Tに関わる変化は今後もより一層加速していくことが予想されます。

子育てにおいて親が注意することは?

このような変化の大きい時代において子育てに関して親が注意することがあります。それは「不易」と「流行」があるということです。

「不易」とは「状況が変わろうとも、変わることのないとされるもの」です。例えば、「人には優しくする」「ものは大切にする」「嘘はつかない」「約束は守る」などのものです。

いくらI Tが発達したとしても、こういったことがきちんとできない人は周りから信頼されなくなってしまいます。I Tのようなものが発達する程にこういったものの重要性が増していくのかもしれません。

「流行」とは「時代によって変わってくるもの」です。I Tに関する分野は加速度的に進化を続けています。そういったものを適切に学びや暮らしに生かしていくことは、現代社会を生きていく上で不可欠なことです。

子ども達は、未来の時代を生きていく存在です。新しいもの、未知のものと上手に関わっていくことは大人以上に求められることです。

以前より親の重要度が増している

先ほど書いたネットに関連するトラブルは学校の教員などが対応することが難しいタイプの問題です。私も小学校の教員をしていた頃、そういった問題が発生したことがあります。スマホなどを介したトラブルは、学校の教員が事実(証拠)を確認しながら、対応することがなかなかできません。

例えば、ある子どもが他の子どもに悪口を言ってしまい、それに怒ったその子どもが悪口を言った子どもをぶってしまったというトラブルがあったとします。

そういったトラブルの場合、教師は両者の言い分を聞き、事実を確認し、それぞれの問題点を見つけ出し、それを改善するべく努力をする約束をするという関わりができます。

S N Sなどのトラブルに関しては、学校側がそういった指導を行いにくいので、指導が不十分になることがあり得ます。その分、親がきちんと子どもをケアする必要があります。

年齢によって子どもがどのようにスマホなどと関わっていくのかなどのルールを作り、それを意味のあるものにしていく必要があります。

情報に影響され過ぎないことも大事

ただ親として気を付けなければいけないのが、世の中にあふれている情報に影響され過ぎないようにするということです。時代での新しい生活スタイルに合わせ、新しいルールなどを親がしっかり関わっていく必要があります。

新しい生活スタイルに合わせ色々な育児法や常識が作られます。「〇〇は子どもに良い影響を与える」「良い子どもに育てるには絶対〇〇」などの情報に影響を受け過ぎてしまうと、結果として本質を見失ってしまうことがあります。

「子育てはこうあるべき」のようなものは一般論として、良い面が多いのですが、逆の面もあることを承知しておくことが大事でしょう。

その理由としては「子どもは一人として同じ子どもはいない」からです。ある子どもにおいて良い育て方であっても、それが自分の子どもに合うかどうかは分からない面があるということです。

様々な情報を入手することはとても良いことなのですが、それに振り回されてしまうことがないように注意することも大切でしょう。

今回、社会の変化と子育てにおける親の対応についてまとめました。方法論にとらわれず、その子に合わせて向き合っていく必要があります。どんな時代になってもしっかりと自分の子どもの状況を見つめながら、社会の変化の中で「最善」が何であるのかを探し続けていくことが大切です。

▼家庭にあった子育てを考えるヒント

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