育児と向き合う

子育てのバイブル本は3冊。情報に踊らされず、自分に適した育児書の選び方

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この記事を書いた人
夏野 新さん【心理カウンセラー】

虐待防止や家庭環境についての専門家。心理カウンセラーの資格を活かしながら「妊娠、出産、育児」といった女性向けのサポートをするための情報を発信しています。2児の子どもを育てながら、2019年には自身の書籍「世界が変わる! アダルトチルドレンの自己観測」を出版し、悩みを抱えるご家庭への問題解決に尽力しています。

子育てのバイブル本を、あなたはもっていますか?

図書館や書店などには、本当にたくさんの子育て本が置かれています。選択肢がたくさんありすぎて「どの本を選んだらよいかわからない」と困っている方も多いのではないでしょうか。

子育て本を選ぶときに注意してほしいのは「話題性」や「人気」などの基準で本を選んではいけないということです。

この記事では、私が子育てのバイブル本の選び方として大切にしているポイントをお伝えします。

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子育てのバイブル本は、3冊まで

いちどにたくさんの子育て本を読みあさることや、普段読む本が子育て本ばかりに偏ることは少し危険です。

というのも、現代の母親には情報が多すぎて「何を信じればいいか」がわからなくなりがちであるためです。

例えば……
・幼稚園や学校の先生からの意見
・自分の育った環境からの影響
・世間一般の子育て論
・ネットの記事やテレビ番組
・祖父母からのアドバイス
・ママ友との会話

このように、今の時代は、ありとあらゆるところに子育てについての情報が溢れています。

しかし、子育てには正解がなく、自分や自分の子供にあった子育ての方法というのは、その親子の数だけあります。親と子というそれぞれの人間は1人ずつなのに対して、情報量の方が超えてしまっている状態です。

そこでさらに子育て本をたくさん読んで取り入れようとすると、かえって「自分達親子にとって本当に大事なこと」がさらに埋もれてしまい、惑わされてしまうということもあるのです。

子育てのバイブル本を選ぶときのポイントは?

どんな親も、子育ては未経験の状態から手探りで進めていくもの。だからときどきは、子育て本を読んで考えを整理したり、新しい考え方を取り入れたりすることももちろん大事ですね。そこで、子育てのバイブル本を選ぶときの参考として、ポイントを4つ紹介します。

ポイント1.引き算系の育児本を選ぶ

「できる子を育てる」「〇才までに△△をやっておくべきこと」というような、足し算系の教育本は子育てのバイブル本にはなりません。
バイブル本とは、一生を通じて側に置いておくような本のことで「いつも忘れずにいたい考え方」の本です。

その場合、大切なのは「足す」ことよりも「引く」ことなのです。

私は、ジュディス・リッチ・ハリスの「子育ての大誤解(上下巻)」や長谷川博一「お母さんはしつけをしないで」などを子育てのバイブル本としています。どちらも共通しているのは「何かをする」ための本ではなく「何かをやめる」という引き算が前提のテーマです。

子育てに悩みやすい人や、立派な親になろうと意気込んでしまう人は特に「親として立派になろう」という考えを捨てることが有効な場合があります。

ジュディス・リッチ・ハリス (著), 橘 玲 (その他), 石田 理恵 (翻訳)

ポイント2.自分のための心理学本を選ぶ

子供のことで悩んでいるときは、あえて自分の心に目を向けることで大きな変化や転機をもたらす場合があります。
子育ては仕事や作業ではないので、そのときの感情や自分の中にある認知的な歪みなどが、知らず知らずのうちに子供へ投影されてしまうことも多いです。そこで、まず自分の悩みや弱点を改善するための心理学系書籍を読んでみるのも効果的です。

自分を知ることが、自分の子育ての課題を知る第一歩になるケースは本当に多いもの。「親として」ではなく、自分が「人として」どうありたいかを明確にしていくことの方が、近道になる場合もあると知っておきましょう。

3.海外の育児本を参考にする

海外の育児本は、広い視野で物事をとらえている本が多いため、現代の日本の家庭に足りないものや、忘れかけていることを思いださせてくれる本が多くあります。
海外の本は翻訳者によって読みやすさにバラつきがありますが、ドロシー・ロー・ノルトの「子供が育つ魔法の言葉」は非常に読みやすくて、バランスのよい内容でおすすめです。
海外の本は、一方的に指南するような内容ではなく、具体的なエピソードや事例を元に書かれているものが多いため、よりリアリティを感じながら読むことができるのもいいところです。

ドロシー・ロー ノルト (著), レイチャル ハリス (著), 石井 千春 (翻訳)

ポイント4.家族全体を見通す本

家庭は、母と子や父と子だけでなく、一緒にいる家族全員のバランスで成り立っています。いくら母親が「母が子供にしてあげられること」について書かれた本を読んでも、その他の家族の理解や協力などのバランスがとれていないと意味がなくなってしまうこともあります。そこで「家庭問題」を大きなテーマに掲げる本を選ぶのもよいでしょう。
家庭問題を専門に扱うカウンセラー、団士郎さんのシリーズ「家族の練習問題」という書籍は読みやすくてバイブルにしやすい本です。コミカルなイラスト入りでさらっと読めるのに対し、実際に1000家族との関りを通じて見た実例や、団士郎さん自身の感想の重みは大きいものです。

団士郎 (著), ホンブロック (編集)

子育てのバイブル本は、自分に合ったものを、ほんの数冊だけにとどめて。

数ある子育て本の中から自分に合ったものを探すのは、なかなか難しいです。しかし、子育てにおいては「足す」ということよりも「引く」ことのほうが私個人としてはとても大事だと感じています。また、大きく視野を広げることや、初心に返るような言葉を繰り返し読むということも実に大切です。あなただけの子育てバイブル本が見つかりますように。

▼家庭にあった子育てを考えるヒント

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