家庭学習を子どもが主体的に取り組むことができるかということは、子どもの学びや育ちにおいてとても重要なことです。
親が関わり過ぎてしまうことでうまくいかなくなってしまうこともあります。子どもが自ら取り組むことができるような形が望ましいです。
その具体的な方法や、子供が興味を持って取り組める部分を伸ばす方法について解説していきます。
家庭学習のメリットは「子どもの成長」
学校だけよりも「学校と家庭学習」を組み合わせることで飛躍的に向上します。学校と家庭が連携することで子供の大きな成長につながることがわかっています。家庭学習の効果はいろいろなものがあります。一部をご紹介します。
▼家庭学習で学習内容が定着する
学校での学習内容を家庭でも繰り返し反復することで、学習内容の習熟・定着につながります。反復学習でより定着が進むことは脳科学で証明されています。
▼自分から学ぶ習慣を家庭学習でつける
学校以外での学習は、自分の意志で机に向かわなくてはいけません。宿題や興味ある事を調べるなど、少しずつ続けることで学習習慣がつきます。自から学習することに抵抗がなくなれば、将来仕事でも自ら調べて動くことが出来ます。
▼家庭での家族とのコミュニケーション
家庭学習は子供一人だけではできない部分も多くあります。わからない問題は親に質問をして、音読の宿題があれば親に聞いてもらうなど必ずコミュニケーションがあります。たとえば宿題という共通の話題で、親子のコミュニケーションが時間が増える事は子供にとってもポジティブな影響を与えます。
その他にもさまざまな効果がある事がわかっています。単純な勉強ではなく子供の成長につながる大切なプロセスなのです。
では実際にどんなことを家庭で勉強すればよいのでしょうか?
家庭での学習内容について解説していきます。
家庭学習には「学校の宿題」「良いところを伸ばす学習」の二種類がある
一般的に家庭学習と言った時には2つのものが含まれます。1つは「学校の宿題」です。もう1つは「家庭で取り組む宿題以外の学習」です。
この2つを分けて、考えていくことでスムーズに取り組むことができるようになります。「学校の宿題」「それ以外の学習」のどちらも大事です。
まず「学校の宿題」はやっていかないと様々な問題が発生してしまう可能性があります。
「宿題をやらなかったことによって先生から叱られる」「成績が悪くなる」などです。そういったことになっては、子どもも親も学びへの意欲が下がってしまいます。それなので、そういったことは避けることが懸命です。
次に「宿題以外の学習」とはどのようなものでしょうか?
「宿題以外の学習」 は 子どもが興味のあることについて取り組む「自主学習」です。 本当に子どもの創造的な力を伸ばす可能性があるのは自主学習なのです。
「虫が好きな子どもが虫の図鑑を見る」「お城が好きでいつもお城の絵を描いている」などです。学校などでは「〇〇博士」などと呼ばれる子どもがいます。そういった子どもは、自分が興味のあることについて、かなり時間をかけて研究しています。
こういった子どもが好きなことすることに対し、親は「勉強に関係ないから…」というような声かけをしてしまいがちです。
確かにそういった知識はテストの点数に反映するものではないことが多いです。けれども、物事に取り組む集中力、問題を見出す力、解決していく力などをそういった好きなことに取り組んでいる中で身につけることができることが多いです。
家庭学習の時間は「学年×10分」で充分
家庭学習の時間は「学年×10分」が目安となります。
1年生であれば10~15分ほど、2年生であれば20分前後となります。
家庭学習では遊びの誘惑なども多いため、集中力が続く時間で取り組むのが良いです。無理に長時間やらせる必要はありません。この時間だけでも学習効果はありますし、学びの習慣をつけることが最も意味があります。
低学年の場合は、机に向かうところから習慣にする必要がありますので、初めは読書やお絵かきなど何でも構いません。まずは習慣になるように毎日少しづつ積み重ねていきます。
また、家庭によっては家庭学習をする時間にばらつきがあります。帰ってすぐに行ったり、夕食前の1時間に行う、夕食後に行うなどある程度ルールを設けておくと習慣化しやすくなります。
スケジュールの立て方については後半で詳しくお伝えします。
家庭学習の具体的な始め方
高学年であればどんな学習をするのか、ある程度任せても大丈夫です。ですが低学年のうちは何をすればよいのかわからない事も多いため、一緒に考えてあげるとよいです。
ここで具体的にどのような方法で、家庭学習をしていくのかを例をつかってお伝えしていきます。
▼帰宅後の家庭学習の流れ
- 配布物、連絡帳、洗い物を出す
- まず「学校の宿題」を行う
- 残った時間で「自主学習」を行う
基本的にはこの3つの流れを考えるとよいです。この時に子供が家庭学習に取り組みやすいように環境を整えてあげると、学習効率は良くなります。いくつかポイントをご説明します。
▼「勉強したこと」を褒める
家庭学習をはじめた頃は家庭で「勉強している」という行為自体を褒めます。親が家庭で勉強を見ていると、問題に正解したときに褒めることが多くなりますが、取り組んでいることがとても凄いことです。学びへの関心とやる気アップを親がサポートしてあげましょう。
▼学習環境を整える
せっかく机に向かっても環境が悪いと、集中力は長持ちしません。テレビは消し、学習机やリビングテーブルなどで座って行いましょう。当たり前のことですが近くで兄弟が遊んでいては集中できません、幼い兄弟がいれば一緒にテーブルで絵をかいたり、自主学習を一緒に取り組むのも良いです。
▼親子で一緒に取り組み
学習時間を一緒に過ごすことが出来ると、親子でよい刺激となります。子どもの学習時間に親も本を読んだりすることで、子供は安心して学習に取り組むことが出来ます。是非一緒に机に向かう事をおすすめします。
家庭学習を子供から取り組むようにする方法
先ほども書いたように「自主学習」では様々な力を身につけることができます。ですが「学校の宿題」に取り組まず「宿題以外の学習」ばかりに取り組んでいては、問題が生じてしまいます。
そのため、まず家庭で取り組むべきことを明確にする必要があります。
「自主学習」も含めて、学校から家に帰ってきた時に取り組むべきものが何であるのかをリストアップする必要があります。
取り組むべきことは、一般的には「学校の宿題」「連絡帳・配布物を出す」「洗い物を出す」などです。
子どもの年齢、通っている学校などによって、少しずつ違ってくる部分もあるでしょう。
取り組むべきことを明確にする際は、子どもが主導で考えていくことが大切です。そうでないと「親が決めたので渋々取り組む」というようになってしまうからです。
取り組むべきことは「自分で決めた取り組むべきこと」にすることが望ましいです。
そうすることで、日々取り組んでいくこと(成功体験を繰り返すこと)で自信を付けることができます。自己肯定感も高まっていきます。それらは単に家庭学習だけでなく、生活全般に良い影響を与えます。
また、何か問題が発生した場合、例えば、実際にリストに書いてあるものができていない時などに、「勉強をしなさい!」「配布物を出しなさい!」という声かけをせずに済むようになります。
「自分で決めたものなのだから頑張ってやりなさい」という形の声かけになります。そういった声かけは親にとっても子どもにとっても感情的にならずに済むことが多いです。
チェックシートで家庭学習などのタスクをスケジュールする
取り組むべきことがはっきりとしたら、あとはそれをスムーズに取り組むことができる仕組みを作ることが大切です。オススメな方法は「チェックシートを作ること」です。
「チェックシート」は、両面に書き込みができる短冊型のマグネットシート(縦10センチ、横2センチくらい)が便利です。
A4サイズなどのシートになっているものを小さく切ることで簡単に作ることができます。
それらをすべきことの数だけ作ります。マグネットシートが貼り付くA4サイズくらいのホワイトボードに貼り付ければ完成です。
すべきことが貼られているホワイトボードは子どもからも親からも視野に入りやすいところに置きます。
学校から帰ってきたら、子どもが自分ですべきことを確認し、取り組むためです。取り組みが終わったら、シートを裏返します。「やり終えたもの」と「まだやり終えていないもの」が明確になります。
このように形(ルール)を決めると人は物事に取り組みやすくなります。一度決めたことは、できれば破りたくないという心理が働きます。
特に先ほども書いたように自分で決めたこと(ルール)は、さらにきちんと取り組みたいという心理が働きます。
もし冷蔵庫など、マグネットシートが付くものが子どもの目に付きやすい所にあれば、それでも構わないでしょう。どちらにせよ、子どもの目から見える場所に置くことが大切です。
今回、家庭学習の取り組みについてまとめました。日々の家庭での学びは、単に取り組む時間を増やすということだけなく、子どもが自ら取り組めるような形になることがより良い学び、育ちにつながっていくのだと思います。
子どもの自主性、主体性を大事にしながら日々の生活が送れるように親として関わっていきたいものです。