育児と向き合う

理想の母親の悪循環は「ポリシーを持たない子育て」で抜け出す

育児と向き合う
この記事を書いた人
夏野 新さん【心理カウンセラー】

虐待防止や家庭環境についての専門家。心理カウンセラーの資格を活かしながら「妊娠、出産、育児」といった女性向けのサポートをするための情報を発信しています。2児の子どもを育てながら、2019年には自身の書籍「世界が変わる! アダルトチルドレンの自己観測」を出版し、悩みを抱えるご家庭への問題解決に尽力しています。

あなたの子育てのポリシーは、どんなことですか?

最近は、子供の教育方法も多様化し、子育てで大切とされていることが山のようにあります。例えば、習い事一つとっても、目移りしてしまうほどのジャンルがあり、将来どれが子どもの役に立つのかということも未知数です。

また、褒めて育てるべきか、ある程度叱ったほうがいいのか、どんな言葉をかけて育てればよいのかなど、迷うことも多いですよね。

でも実は、子育てで一番大切にしてほしいのは「ポリシーを持たないこと」なのです。

今回は、ストレスのない育児をするために、お母さんが大切にしてほしいことをお話したいと思います。

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子育てのポリシーって必要?

「子育てのポリシーはどんなことですか?」という質問に対して、質問掲示板には様々な意見が寄せられています。

・イライラしない
・感情的に叱らない
・笑顔でいること
・どんなときも子供第一にする

こんなポリシーを掲げている方、とっても多いですね。しかし、こういうポリシーを持っていると、逆に子育てがつらくなってしまうこともあるので、注意していただきたいなと感じます。

というのも、これらのポリシーには「理想の母親像」というものがとても強いからなのです。

理想の母親像を捨ててみて!

誰しも、心のどこかに理想の母親像を持っています。子供がお腹いるときから、もしくはお腹に出来る前から「こんなお母さんになりたい」というイメージを持っている人は多いですよね。

しかし、そのイメージこそが、自分と子供を苦しめてしまうことがあるのを知っていただきたいのです。

理想の母親像を作ってしまうと、そのイメージと違う行動や状況に陥ったとき、あなたはものすごく大きなストレスを感じるはずです。これが育児のイライラの原因なんですね。


人は、想像した通り、計画通りに物事が進まないことに、とてもストレスを感じる生き物です。

そのため、自分の理想というものが高ければ高いほど、あなたの育児ストレスは強くなり、子育てのポリシーに反してしまうという、悪循環に陥ることも考えられます。

子育てのポリシーは「ポリシーを持たないこと」

「母親として」のポリシーは、正直自分と子どもを苦しめるだけ。でも、やっぱり子育てする上で大切にしたい考えやポリシー的なものを、何か一つは持っておきたいと思いますよね。

そこで、私が推奨したいのは、「そのときいいと思える自分でいること」です。
自分という人間は、そのときの状況や環境、外部からの刺激などによって変化しています。つまり、どんな自分も「自分」なのです。「母親としてどうあるべきか?」ではなく、自分でいることの方がよっぽど大切なことだと知ってください。

例えば、同じ母親でも料理が得意な人もいれば、苦手な人もいます。そして、バリバリ働くワーキングマザーの人もいれば、専業主婦の人もいます。疲れて何もしたくない日もあれば、朝からテキパキ動ける日もある。それぞれの特性や、環境は本当に多種多様でバラバラ、体調ひとつとっても毎日違います。

しかし、世間の「いい母親」のイメージは似通っていて、いつも同じように動くのがベストのように感じてしまいがちです。無数の個性を持った人間が、1つの母親像に向かってポリシーを掲げても、絶対にうまくいきません。生身の人間が、毎日同じことを機械のようにできるわけがありません。

しいてポリシーを作るのであれば「そのときいいと思える自分でいること」のほうが、自然なのです。

子育てのポリシーとしつけの違い

そうはいっても、何のポリシーもないまま自由にするばかりでは、子供に真っ当な教育ができないのでは?と思う方もいるはずです。

このとき頭に浮かぶ「子供への真っ当な教育」とは何でしょうか。子供は、自由に感情を表現することができ、食べ物に感謝しながらもりもり食べて、日々困らない程度の生活習慣が身に付いていればよいのです。

誰かを傷つけるようなことをせず、よっぽど危ない行動さえしなければいい。あとは、そのときどきの自分がいいと思うこと、必要だと思うことを、導いてあげればいいのです。

「私が教えなきゃ!」「分からせなくちゃ!」「これではダメだ!」こんな、〇〇すべき思考は、単なる固定観念です。子育てのポリシーでもなんでもないということを、多くの親御さんに知ってほしいと思います。

子育ての大変さは、自分でコントロールしていこう

子育ては本当に大変です。人間をひとり、育てていくのですから大変じゃないわけがないのです。でも、その子育ての大変さをコントロールしていくのも、逆にもっと苦しくしていくのも、自分次第なのです。子育てのポリシーを作る前に、自分をうまくコントロールできることを目指しましょう。

もちろんコントロールするためには、家族に頼ったり、サービスに頼ったりすることが必要です。そして、子育てを楽にしたり、周囲に頼ったりする自分を許すのは「あなた」です。

現代の母親が、自分を適度に甘やかすことは、子供を守ることにも繋がると思ってくださいね。

子育てのポリシーで自分をがんじがらめにしては身も蓋もありません。本当に子育てに大切なことを、見失わないようにしてほしいものです。

▼家庭にあった子育てを考えるヒント

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